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雨水

冬の間の雪や氷が解けて水となり、雪が雨にかわって降る頃。
外気があたたかくなりはじめると水も温んで、土の下から草木が芽吹こうとしはじめます。

昔からこの時期は農耕の準備をはじめる目安とされてきました。

寅の月のちょうど半ば。

「寅言萬物始生螾然也,故曰寅。」(史記)
寅は万物が螾然とうごめいて生じ始めることを言うのであり、ゆえに曰く、寅。

螾然(いんぜん)とは、みみずやもぐらが春の気配に誘われて地上に出ること。螾は「動く」という意味で、陽気が増していくにつれ、万物が活動的になる時期だから寅ってことですね。
地上に芽を出そうとする植物の姿を、物陰から獲物を狙い飛びかかろうとするトラの姿になぞらえたと考えられているそうです。

陰の気に包まれて深くに眠っていたものが目覚め、動きはじめた気配が外から感じられたり、実際に現れ出る時期。
寅月も中盤までやってくると、実際に物事の動きが目に見え、次第に互いに影響を及ぼしあうのではないでしょうか。

この頃、山の雪がゆっくり解け出して田畑や人を潤す雪解け水のことを「雪汁」。またの名を「雪消の水」というそうです。生命が生きていく上で欠かせない水も、これくらいなら恵みですが、ときに川に大量に流れ込み、土石を巻き込むほどの奔流となるものは、「雪代」といいます。この記事のトップイメージの用に購入した煉切が「雪代」という名前だったので、調べてみたら想像以上にパワフルで深刻な自然現象でした。(→雪泥流:Wikipedia

あらゆるものが活動し始めれば、当然、物事は影響し合います。しかも、個々に持ってるペースやパワーはそれぞれ違うから、タイミングや組み合わせで起きる現象のバリエーションは限りない広がりを持っています。

今年はどんな年になるのか、ワクワクするタイミングですね。

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