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ビジネスを崩壊させる最短方法は「一方的な値切り」

はじめに

この記事を書こうと思ったきっかけは、こちらのツイートでした。

自分もコメントさせていただきました。

このことに関しては、自分も本当に痛感しておりまして、闇雲な値切りは間違いなく、プロジェクトやビジネスを崩壊させます。
長期的ならもう100%だし、下手したら1プロジェクトだけという小さな範囲だとしても、失敗に導くことになります。

「ビジネスは自分の利益を出すことが目的だから、値切りは当然じゃないか!!」と思う方、もしかするといるかもしれません。
では、なぜ一方的な値切りがいけないのか?持論を書いていきます。

■一方的な値切りは「相手をガン無視」

そもそもビジネスとは、基本「Win-Win」が前提です。
ネットビジネスとかでよく使われるこの言葉を使用すると、途端に胡散臭く感じる人もいるかもしれませんが、でもこれは間違いなく大前提です。

つまりどういうことかというと、基本的にビジネスは

・あなたが欲しいものがある
・相手がそれを持っている
・あなたがお金を出す
・相手はお金を対価に、その持っているものを提供する
・あなたは欲しかったものを手に入る
・相手はお金が手に入って利益を得る

という流れで成り立ちます。

相手が持っているものは、物理的なものかもしれないし、労働力かもしれない。もしくは専門知識かもしれない。
パターンは様々ありますが、基本的にこの流れであることは間違いないでしょう。

このビジネスのやり取りにより、あなたは欲しいものを、相手はお金を手に入れます。
その利益を使用して、相手は相手自身のビジネスをさらに広げていくかもしれません。商品を増やしたり、人を増やしたり。
もしくは、相手が必要な何かを得るために、また別の相手とビジネスをするかもしれません。

色んなことは想定できますが、とにかく言えるのは、
何かを対価にお金を得て、その利益を使用して別の何かに変える」、こういった流れが出来上がります。
この流れを作るため、利益のために、相手は頑張ります。

ところがここで、最初の価格交渉の段階で
「無条件に値切る」
ことを行ったら、どうなるか?

単刀直入に言うと、

相手の利益が減ります。

つまり相手にとって、あなたとビジネスを行う旨味が減ります。
頑張ったところで、旨味は少ないです。次のビジネスにも回せません。

そうするとどうなるか?
相手は頑張らなくなります。
一応契約があるので、そこそこはやるかもしれません。
でも決して、あなたのために頑張ることはしないでしょう。

そしてもう一つ言えること。これは100%言えることです。それは、

次はありません。

プロジェクトが終わり、次またお願いします、とあなたが頼んだとしても、相手は確実に断るでしょう。
そして相手はあなたから離れていきます。
だってあなたと一緒にやっても旨味ありませんし。
今後どうしても頼みたい、とあなたがいくらお願いしたとしても、相手は決して力を貸してくれないでしょう。

つまり一方的な値切り行為は、「相手の利益やビジネスを完全無視」ということになります。
その後、相手のやる気を無くし、中途半端なものしか仕上がらなくなります。
最終的には、相手はあなたから離れていく結末が待っています。

■一方的な値切りは、相手のビジネスを軽く見ているから出来る

これまではあなたが値切る側でしたが、それでは相手が値切る側、つまりあなたが一方的な値切りを迫られる側だったらどうするべきか?

結論は一つです。

その時点で断りましょう。

そもそも、なぜ相手は一方的な値切りをしようとするのか?
それは端的に言うと、あなたのビジネスを軽く見ているからです。

例えば、
もし誰かの持っているものが超絶専門的で、
喉から手が出るほど素晴らしいもので、
出来る人がこの人しかいない!
この瞬間しかチャンスが無い!!!
という状況であれば、それがどれだけ高かったとしても、多分お金を出すでしょう。

つまりなぜ、一方的な値切りが出来るかというと、

・他に出来る人がいると思っているから
・そこまで欲していないから
・簡単なものと思っているから
・あなたの技術や価値を軽く見ているから

に、他なりません。

そんな相手と手を組んだらどうなるでしょう?
間違いなくあなたは軽く見られ、こき使われるでしょう。

そして、このように一方的な値切りをする人は、例外なく要求も理不尽です。
当然ですよね。だってあなたの仕事は大したことない、簡単なものって思ってるんですもん。
難しさを理解しようとせず、独りよがりで一方的な感覚だけで判断しています。
そんな相手と手を組んでしまったら、あなたまで大変な目に遭ってしまいます。

価格交渉や見積の段階で、相手が無条件に値切ってきたら、このような様子が見える前兆です。
前兆が見えたらラッキーです。その段階で去ることが出来ますからね。
その段階までに時間を使って、多少損失があるかもしれません。
それでも、それ以上の損失が出ない段階で去りましょう。

■「やりがい詐欺」にも要注意

また、値切る際に「やりがい詐欺」を使う人も、よくいます。
例えば、
「一緒にやると、あなたはこれだけ貴重な経験ができるよ!」
「成長して、今後あなたのビジネスが加速するよ!」
「こんな素晴らしいプロジェクトは、絶対良い経験になるよ!!」
という感じです。

このようなことを言う人のプロジェクトは、大体ショボいです。

そもそも値切ってる時点で、あなたの価値を見極められてない人ですし、そんな人の言う経験は、その人が見えている範囲での「良い経験」です。

それに、本当に素晴らしい経験を積めるとしたら、どれだけ安くても人が殺到します。
例えば、もし「宇宙開発の仕事に携われる」というチャンスがあったとしたら、たとえ利益を度外視してでも、プロジェクトを掴みに来る人達はいっぱいいるはずです。
こういうのが「良い経験を積めるプロジェクト」です。
つまり、あなたにわざわざ出向き、値切りをしてきている時点で、そのプロジェクトは大したことないです。

あ、これもめちゃくちゃ良くありますが、「次は大きな仕事回すから!」も同様です。
次は絶対ないですし、あったとしても「今回」と同じ価格でやらされます。

■一方的な値切りが生んだ亀裂

過去、私は「一方的な値切り」を繰り返すプロジェクトを何回か見てきました。
そして、その全てでプロジェクトは大崩壊しています。

一例として、とある「あったかもしれない、フィクションかもしれない物語」を書きます。


とある一大プロジェクトのMTG内で、他の業者の見積が出てきた時に、とにかく

「安くしろ」
「値切れ」

を繰り返すリーダーがいました。
それも値切るのは自分ではなく、他のメンバーにやらせていました。

更には、とある紙で出来た備品を調達するための、業者の見積に対し、

「なんでこんな大したことないものにこんなお金かかるんだよw
ただの紙だろw」

と言っていました。

相手の業者はいないMTGなので、その言葉が直接届くことはありません。
ですがそのような態度は、確実に相手に届きます。
そして、相手への敬意のないそのような態度は、切り替えているようで、他の業者やメンバーにも確実に伝わります。

事実、様々な業者が、プロジェクト途中で抜けました。途中で抜けずとも、「やってられません」「もういいです」という言葉も、様々な所から聞こえてきました。

プロジェクトの結末は、ここでは伏せることにしますが、きっと皆様の想像通りのものだと思います。

■どうしても価格感が合わない場合の方法2つ

ここまで読んだあなたは、「じゃあ本当に高い場合はどうすれば良いんだよ」と思うかもしれません。
その方法はたった2つだけあります。

【1. 自分も身を削る】
ここまで、「一方的な値切り」と何度も書いてきました。
なぜ「一方的な」と書いたかというと、それは「一方的でない」値切りもあるからです。

つまりどういうことかというと、「自分達も身を削った値切り」です。

例えば、
・どうしても欲しかったこの機能は、今回は断念する。その代わり、この分を安くしてほしい
・このフェーズの人員を、自社から提供する。その代わり、そのリソース分安くしてほしい
といったことです。

つまり自分をある程度損した上で、価格を抑えてほしいというご依頼です。これは理不尽な要求ではなく、価格交渉です。
ある程度自分達も損しているので、そこで相手に不快感を与えることはそこまでは無いでしょう。

【2. 自分で他の安い業者を探す】
それでも値段感が合わない場合、その相手と一緒にやることは素直に諦めましょう。
そして、他の業者を探しましょう。

注意点として、ちゃんと相手に謝罪しましょう。
見積を出したりしている時点で、相手は時間をすでに使っていて、コストをかけてしまっていることになります。
そこに対する謝罪はちゃんと行いましょう。人の時間を使ったら詫びる。

そして、別の業者を探しましょう。
探せばきっと、あなたの中の予算に合った業者も見つかるはずです。
なおあまりにも合わない場合、それはあなたの中の相場が間違っていることになりますので、要注意。

■まとめ:真っ当でないと勝ち抜いていけない時代

値切りが100%悪、という訳ではありません。どうしても値切りが必要な時も、確かにあるでしょう。
ただ、相手のことを考えない、自分のことしか考えない一方的な値切りは、長い目で見れば、確実にプロジェクトやビジネスを崩壊させます。

ただでさえこれから先、日本ではどんどん労働者が少なくなっていきます。そうすると、「優秀なパートナー」の候補がどんどん減っていくことになります。
昔なら横暴が通っていた、自分のことしか考えない会社やリーダーは、どんどんそっぽを向かれ、まともにビジネスできなくなります。
「真っ当でないと生き抜けない時代」は、すぐそこまで来ています。

もしあなたがこれまで、一方的な値切りをしてきたとしたならば、今すぐそれを止めるべきです。
長い目で見れば、それは確実に損です。ちゃんと払うべきものは払いましょう。

そしてあなたが、一方的に値切られる側だったとしたら、すぐにそこから離れましょう。
そのままいても、その相手が奇跡的に良くなることは決してありません。
あなたの仕事や価値をちゃんと評価してる人は必ずいます。その相手と一緒に仕事をすることにしましょう。


すべてのお仕事が、お互いのためのものであり、健全に回りますように。

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