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高すぎる売上目標に吐き気を感じている方へ。予算に勝つための「フォーキャスト管理」の実践。

こんにちは、カミナシの富澤(@tomizawa1988)です!
21年10月よりVP of Sales & Marketingの役割を預かり、売上予算の責任を担う立場で、過去最大の挑戦をさせてもらっています。

カミナシはT2D3の急成長を目指すスタートアップであり、予算が驚異的な角度で上がっていく環境なのですが、正直な話、僕はQが締まるたびに次なるQ予算の重圧に飲み込まれそうになります。高い目標ドンと来い!と本音で言えたらカッコいいのですが、実態は青ざめた表情からのスタートです。

そんなQの始まりですが、メンバーの泥臭い努力と経営や他部門の支援もあり、現在4Q連続で予算達成を実現しております。吐き気からはじまる分喜びもひとしおですが、その背景にはチームでPDCAを回す仕組みができてきたからだと振り返っています。

その仕組みの根幹を支えているのが「フォーキャスト管理」です。フォーキャストというのは、実績の着地見込のこと。ヨミと言う会社も多いと思います。今回はこのフォーキャスト管理に焦点をあて、その重要性や、実際にどのように取り組んでいるのかを紹介していきたいと思います!

  • 予算にコミットしているセールスの方

  • チームの売上責任を担うマネージャーの方

  • 売上が安定せずに悩んでいる経営の方

上記のような方々の、吐き気を抑える胃腸薬のようなnoteになればと思いますので、ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです!

フォーキャスト管理の目的や意義

フォーキャスト管理とは、営業で追いかけている予算に対して、「このままだとどのくらいの着地になりそうなのか」の着地を予測する作業を指します。一般的にその目的は、①経営が外部(主に株主)に報告義務があるため、②売上を予測して方針を決めるため、③個人の営業進捗を可視化するため、など様々です。

フォーキャスト管理に力を入れた背景

恥ずかしい話、1年前までカミナシはフォーキャストが全くできておりませんでした。全社MTGなどで売上の着地を聞かれても「達成できるかもしれないし、できないかもしれない」という何も答えていないのと同じ状態が半年くらい続いていました。数字をコントロールできていないので、大幅に未達することも大幅に達成することもありました。

強い営業組織を目指すためにはこのままじゃいけない。なんとかして売上の着地が博打になる状況から脱却したい。そこで、外部の知見や支援もいただきながら一番最初にテコ入れをしたのがフォーキャスト管理です。

なぜ大事なのか

一言で言うと「手遅れにならないうちに、次の一手を打つため」だと僕は思います。

営業上のアクションは無数にあります。無数にあるアクションを上から順番にこなしていると日が暮れてしまいます。高い予算を乗り越えるためには、その中から「最も効果的なアクション」を選択しなければなりません。その判断軸になるのが、フォーキャストです。

上の図をご覧ください。フォーキャストの数字がAの場合、「足元がやばいからリカバリ策をなんとか練ろう」となります。一方でBの場合だと「足元はこのままで大丈夫そうだから、翌Qの数字を作るためのアクションを増やそう」と判断できます。

「足元の数字を作る」のか「未来の数字を作る」のかにより、組織としての力点の置くポイントは大きく異なります。以下はほんの一例ですが、例えば足元の数字がやばいのにリードタイムが長いEnterpriseの案件開拓に注力しても数字にはつながりません。一生懸命Marketing施策を走らせても、潜在顧客はすぐに受注になりません。力点の置き所を間違えると、欲しいところに欲しい成果は得られないので、「このままだとどうなるのか?」という見立ては超大事です。

フォーキャストの算出方法

では、カミナシでは具体的にどのようにフォーキャストを算出しているのかを紹介します。まだまだPDCAを回している最中ですが、少しでも参考になれば幸いです。

方法1. 取引ステージによる算出

最初に試したのは取引ステージによる運用です。カミナシではSFAで案件を7つに分けてステージ管理(01〜07)をしており、そのステージごとに係数を掛け合わせて着地見込を算出する方法です。

例えば、ステージ02だったら20%、ステージ03だったら30%・・という形で受注確度を係数にし、それぞれのステージの案件数と係数を掛け合わせたて合計で出す、というやり方です。

例えば、この例だと40件案件のうち12件受注できる着地予測

このやり方は、全体像は見やすいですが、ステージの浅い案件が算出結果に大きく影響を与えることにもなるので、数字がブレ続けると言う欠点がありました。なので、今はこちらを利用していません。

方法2.自信度による算出

こちらは、取引ステージだけではなく営業の直感や感覚も加味した「自信度」で算出するというものです。in / up+ / up- の3つの選択肢を全ての案件に登録する形で運用しており、細かい定義は以下の通りです。

ここからフォーキャストの算出対象とするのは、in / up+ の2つのみです。up-に関しては数字がブレる原因になるので、見てはいますが算出の根拠にはしていません。特にスタートアップのように常に新しいメンバーを迎えている環境だと、定義を完全に揃えながら運用することには限界があると思っています。その点、up+以上の案件に絞ると、マネージャーやリーダーの目を入れることができるので、めちゃくちゃブレる・・ということは避けられます。

自信度と契約予定日が全ての案件に登録されると、以下のように予算とのGAPが可視化できます。週別でフォーキャストが進んだかもすぐわかります。カミナシではこの方法がハマり、今もこちらを元に運用しています。

予算 vs フォーキャスト

自信度を揃える「案件sync」

とはいえ、人によって自信度はやはりブレます。楽観的・悲観的といった性格の部分もありますが、1案件に対する失注リスクの考え方が異なるとブレやすい。リスクは挙げればキリがありませんが、プロダクトや事業によって絶対に押さえていなければならないポイントが必ずあります。

カミナシではそのリスクを言語化し、主観で判断するのではなく、案件担当者以外の客観的な視点を入れて案件のステージや自信度を判断する「案件sync」という取り組みを行なっています。本来の目的は、案件ごとのリスクを洗って、リスクを潰すためのアクションの精度を高めるというものでしたが、副次的に案件ごとの自信度の目線合わせもできており、とても有用な取り組みです。

他には、自信度が更新されたらSlackで通知が飛ぶようにしています。その際に定義とズレていると気付いたら確認を入れるなどしており、チーム内で定義を揃えていきます。

フォーキャストを活用する

メンバーが自信度を登録してくれて、かつ定義の目線も揃っていれば8割型運用は回ります。あとはそれをどう活用するかの問題です。ポイントを2つ整理してみました。

フォーキャストはピンポイントで

1つ目は、フォーキャストに幅を持たせすぎないことです。よくあるのが悲観と楽観など複数軸を算出することですが、悲観〜楽観の幅が大きいと何も判断ができない状態になってしまいます。なので、個人的にはニュートラルの数字しかみていません。

特に運用初期はピンポイントで算出するのは非常に難しかったです。精度が低いことで意思決定を誤るのではと不安もありました。しかし、曖昧にし続けて何も学習が積み上がらないよりは、早めに失敗して正しく見込めるようにPDCAを回すのが良いと思います。カミナシもこれからまた失敗すると思いますが、以前より精緻に見込めるようになりました。

フォーキャストの理想ラインを描く

2つ目は、少なくとも週次毎の理想ラインを描くことです。カミナシはQ単位でフォーキャスト管理をしているのですが、「Qの予算に対してどのくらいフォーキャストがあれば良いのか」という目安は切り取る時期によって異なります。

point 1:
Q開始の時点でどのくらい積み上げていれば良いのか。考え方としては、「Q開始以降に追加で作ることができる案件がどのくらいあるか」から逆算するのがオススメです。これは過去の実績から概算することが可能です(先Qの実績の中で、先Q中に取引が新規立案された案件の比率を見ています)。ぎりぎりになって足りなかった!!ということがないように悲観で想定し、それ以外はQ開始以前に作らなければならないということを明確にしておきます。

point 2:
いつまでにフォーキャストベースで予算ラインに到達しなければならないか。例えば、カミナシのプロダクトは案件化してから受注するまで最短でもリードタイムが1ヶ月かかるので、Q終了の1ヶ月前までに予算金額を満たしている状態を目指します。

以下はカミナシが実際に使っている理想ラインとフォーキャストの進捗管理表です。理想ラインに対して、週次ベースで進捗を更新してGAPを洗い出し、次の一手を考える拠り所にしています。

最後に

以上、カミナシのフォーキャストに対する考え方やその具体的な活用方法をまとめてみました。フォーキャスト管理にこだわることでちょっと先の未来を見通すことができます。それにより、チーム体制を決めたり、インサイドセールスのトスアップ方針を決めたりと、意思決定力も上がりチーム運営が非常にスムーズになりました。

高い予算を追いかけている尊敬すべきセールスの方々にとって少しでも参考になれば嬉しいなと思っております!!

中盤でご紹介した「案件sync」の具体的な方法は弊社セールスの大西さんが書いてくれているのでそちらもご参考いただけると嬉しいです。

meetyもやっています!よろしければぜひ直接お話ししましょう〜〜


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