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どんなに忙しくても、営業マネージャーが失ってはいけない「案件を知り続ける習慣」

こんにちは、カミナシの富澤です!
今回はフィールドセールスのマネジメントに関する内容です。

カミナシのフィールドセールスはこの1年で5名から10名と倍増し、僕自身は営業責任者として予算達成の責任を担う役割で働いています。この1年で、単月予算が未達に終わった月も経験しましたが、その際の営業マネージャーとしての自分の動きははっきり言って「微妙」でした。
なぜなら、マネージャーとして価値を発揮すべき、戦略的な意思決定やリソース配分、メンバーが持つ案件の支援といった、すべての活動の起点となる「現在進行形で進んでいる案件の解像度」を下げてしまったからです。

そこで今回は、未来の自分が間違った判断をしないためにも営業マネージャーとして失ってはいけない「案件を知り続ける習慣」に焦点を当てて書いていきたいと思います。

  • 予算の重圧に苦しんでいる営業マネージャー

  • これからマネジメントにはじめて挑戦する方

  • マネージャーともっと協業したいメンバーの方

こんな方に読んでもらえたら嬉しいです!

営業マネージャーは一人では何も成果が出せない

営業マネージャーの役割は多々ありますが、最重要ミッションはやはり「予算達成」です。予算達成を目指す上で、営業マネージャーは営業プレイヤーと比較すると戦い方が大きく異なります。

  • 予算サイズが大きい。予算を外した時のリカバリーが難しくなるので、単月単位で達成し続けないと年間達成は困難になる。

  • 予算達成のための実行主体がメンバーであり、自分ではない。メンバーの成果の総和がマネージャーの成果となり、メンバーの支援が主な活動となる。

  • お客様とのコミュニケーションの実行主体がメンバーであり、自分ではない。メンバーからの情報共有を頼りに、現在地を把握して次の行動を決めなくてはならない。

営業プレイヤーがマネージャーになるときにつまづきやすい理由は、こうした「他者を介した成果創出」が「自分一人で成果創出する」というものと性質が大きく異なることにあります。営業マネージャーは一人では何もできないので、メンバーと信頼関係を作り、いかに正しい情報を知りながら成果をあげるかが鍵です。

営業マネージャーが常に知っておくべき情報とは

では、営業マネージャーは予算を達成し続けるために、どんな情報を知っておくべきなのか。常に知っておくべき情報は大きく2つに大別されます。

  1. メンバー個人ごとの予算達成の進捗、フォーキャスト(売上の着地見込み)

  2. それを構成する具体的な案件の情報

営業マネージャーが常に知っておくべき情報

①の個人ごとのフォーキャストは、「全体のフォーキャストを算出するために把握する」という意図だけではなく、「個人の進捗を理解し、どのように支援すべきか判断する」ためにも最低でも週1回はマネージャー/メンバー間ですり合わせるべきです。これはメンバーの現在地そのものなので、それを把握せずにマネージャーは正しい支援はできません。

ただ、①を知って満足しているだけでは不十分。②の「具体的な案件情報」を正しく知っているほど、①が確からしいか判断できます。しかし、組織が大きくなったり、自分自身の役割が多岐に渡ってくると、この作業の難易度がどんどん増していきます。僕自身も自然と優先順位が下がり、「①の情報やダッシュボードを見て全体感がわかっていればいい」となった時期がありました。

マネージャーの案件解像度が下がると、何がいけないのか。案件の解像度を失って失敗した僕自身の経験を紹介します。

案件の解像度を失って失敗した経験

カミナシの営業組織を急拡大した2022年度において、僕自身の役割は10名規模のセールス・マーケ部門の責任者(管轄はB2Bマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス)から、20名規模の責任者になりました。

この時点での大きな課題は、フィールドセールスの人員増に耐えうる商談量を供給することです。リードを増やすためのマーケティング施策や、そのリードを案件に変えるインサイドセールスの仕組み化・育成に僕自身の時間を大きく割いた結果、いつの間にか失っていたものは「クロージング予定の具体的な案件の解像度」でした。

案件の解像度が下がることで、マネージャーには以下のような現象が起きます。

  • 具体の情報を把握していないので、数字のサマリーであるダッシュボードに現状把握を依存するようになる。その結果、数字の変化の背景が想像できなくなる。

  • フォーキャストが予算に満たない場合の打ち手の引き出しが少なく、一般的なものになる。その結果、打ち手の効果が下がる。

  • 予算達成のために、チーム単位で重要な案件を見誤る。その結果、予算未達となる月が出てくる。

「このままではまずい、、」と思い、原点回帰でフィールドセールスの案件解像度を高めるために、自分自身の行動を改めることにしました。

案件を知るために続けている習慣

メンバーが少ない頃に案件を把握できていたのは理由があります。僕自身がインサイドセールスとしてお客さんと直接会話していたこと、まだフィールドセールスのメンバーが3-5名程度で直接会話する頻度が担保できていたこと。しかし、メンバーが10名に増え、自分の役割もマネジメントロールに専念する中ではやり方を変えていかなければなりません。そこで、今は以下の2つの方法で情報収集をすることにしています。

情報収集1:メンバーから週次レポートで教えてもらう

まず、メンバーがまとめてくれる週次レポートです。これが何よりも大事です。個人の予実状況、フォーキャストなどの全体感のサマリーと、それを構成する案件情報を記載するドキュメントのことですが、ポイントは「前週からの変化」の項目です。この項目があることで、マネージャーの認識漏れが防げます。

1. 予実管理表・実績のサマリー
2. 進行中の案件一覧表
3. 前週からの変化
4. 成否をわける重要案件の進捗状況
5. 正直不安があって相談したい案件
6. マネージャーに知っておいて欲しいこと
7. 今週の意気込み

カミナシで実践している「週次レポート」のアジェンダ

週に1度の1on1でこのレポートを元にQAを繰り返すわけですが、試しに隔週の頻度にしてみたところ、この作業をしていない翌週は僕自身のパフォーマンスが下がる感覚がありました。最低限、週1回は必要です。

情報収集2:CRMの通知機能で案件のアップデートを知る

上記だけだと週に1度しかないため、状態の変化を認識するには遅すぎます。そこで重要なのがメンバーが更新してくれるCRMのアップデート情報。この貴重な情報を活かさない手はありません。

カミナシでは重要な案件の商談ステージや自信度、クローズ日が変更されたらSlackに通知が飛ぶ仕組みを採用し、客観的に日々の変化を把握できるようにしています。

情報収集3:案件一覧をながめる

そして意外と大事なのがこれです。今保有している案件の一覧をながめること。金額、商談ステージ、クローズ予定日、商談日数など、必要な変数を揃えた一覧をながめる。更新漏れに気づいたり、アップデートに気づいたり、メンバーに確認したいことがでてきたり。僕の場合、インサイドセールスマネージャーや他部門責任者と会話するためのレポート作成時にセットでこの作業時間をとるようにしています。

営業マネージャーが案件を知り続けなければならない3つの理由

具体の案件を同期し続けるにはそれ相応の負担を、マネージャーにもメンバーにもかけることになります。その上でもやり続けるべき理由は3つあります。

1. フォーキャストの精度が上がる

営業メンバーから上がってくるフォーキャストは、固定メンバーでしばらく活動できる場合はそこまでズレません。ただ、急拡大する組織でメンバーも可変するような環境では、フォーキャストの根拠となる案件ごとの商談ステージや自信度の登録がズレます。

特にフォーキャストへの影響が大きい商談ステージが進んでいる案件は、細かく情報を聞いて、マネージャー視点でその定義とズレがあれば、商談ステージやクローズ予定日の登録変更をリクエストします。

経験上、変更をリクエストすることが多いのは「クローズ予定日」。メンバーも「1件でも多く、1日でも早く」の意識で営業活動をしてくれているので、どうしても実態より早い予定日が入力されることがあります。これを放置すると月末のスリップが増え、月末の土壇場でフォーキャストを下方修正することになるので、そうならないように調整します。

2. 単月達成のための打ち手が具体的になる

案件を認識した上で「マネージャーから客観的に見たらこうだ」という数字が算出できると、フォーキャストに対して自信を持つことができます。こうなると予算に対する差分がクリアなので、先々のリスクを予測して対策がとれるようになります。

例えば、営業マネージャーでなければ取りにくい打ち手として、「個人予算を超えたリクエスト」があります。以下のような場合を考えてみると、Bさんに30万円をリカバリーしてもらうよりAさんに30万円をアドオンしてもらう方が現実的で実現度が高いことがあります。

チーム:予算200万円
- Aさん:予算100万円、着地見込100万円、残パイプライン50万円
- Bさん:予算100万円、着地見込70万円、残パイプライン30万円

誰しも予算達成を目指して努力している中ですが、必ずしも全員が100%で着地できるわけではありません。予算計画を立てる時点では見立てられなかった、大型案件の時期ズレや、新規商談数のショートなど、不測の事態が起きることはいくらでもあります。

営業マネージャーがこうした調整をしてくれるとメンバーは動きやすいはずです。マネージャーとしては難しい判断になりますが、こうした動きがないと短期的な達成のリクエストに終始して、お互い疲弊してしまいます。

3. マネージャーが支援すべき案件がわかる

プロダクト特性にもよりますが、フィールドセールスが10名になると、案件は300件を超えていきます。300件を一人の人間が支援をしてくことは不可能なので、優先順位をつけて重要なものから順番に時間を使うべきです。

個人ごとに分散している「重要案件」
全体から見て優先度が高い順に並び替える

上図のように、一つの大きなパイプラインとして取り扱うイメージです。このように見ると、きびしめの案件ではなく、チームの予算を達成する上ではずせない案件がクリアになります。そうなれば、マネージャーが支援できることは数多くあります。

  • 同席、同行、提案資料のレビューなどお客様とのコミュニケーションを支援する

  • 値引き対応、出張承認などイレギュラーな意思決定を早める

  • 開発部門やカスタマーサクセス、法務、経営などの社内調整・協力支援などをサポートする

これは、マネージャーのリソースが一部のメンバー・案件の支援に偏る不平等さも許容する考え方です。ただ、個人的には「チーム達成をしていない状態こそ、個人が成果を出す上で足枷になる」と考えています。チーム達成していないと組織は戦略や実行に対してどうしても疑心暗鬼になり、「このままでいいんだろうか」という漠然とした不安がチームを包みます。それは一人一人に対して100の力が90、80と徐々に蝕んでいくような力があります。

戦略に明確な欠陥がないのであれば、営業マネージャーはチーム達成を第一義に考えるべきです。それが個人を勇気づけ、成果へと好循環を生み続けるキードライバーになるからです。

メンバーとの信頼関係がすべての前提となる

以上、今回はマネージャーの成果創出のポイントとして、具体的な案件を知り続けることの重要性についてまとめてみました。ただ、この習慣は「メンバーが案件の情報を、正しくわかりやすく教えてくれる」を前提にしています。なぜなら、マネージャーの情報源はすべてメンバーのアウトプットに依存するからです。

そのために重要なのが「相互の信頼関係」。個人的に最も大切にしているのはここです。メンバーが営業マネージャーを信頼して、困っていることを開示したり、正直不安な案件を教えてくれたり、そうして初めて組織の現在地が見えてきます。今回書いた「具体的な案件情報」も、その気になればいくらでも見せ方は変えられるわけなので、正確で誠実な情報を集めるためにはやはり組織やマネージャーへの信頼が重要です。

そのために営業マネージャーは泥臭くメンバーが成果を出しやすい環境にこだわる。メンバーの立場に立って、一方通行にならないようにリスペクトし続ける。もし、需要があればこのあたりの考え方ややっていることもどこかでnoteに書けたらなと思います!

そしてこの場を借りて、日頃から嫌な顔をせず正確な情報を教えてくれて、リクエストに応えてくれるメンバーには本当に感謝です。ありがとう。

本日は以上です!カミナシでは引き続き一緒に事業を伸ばしてくれる方を大募集中です!興味がある方はぜひお気軽にご連絡くださいませ。

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