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ウィンナーコーヒーの話

ミラノからはお隣のオーストラリアは近くウィーンまで飛行機で1時間ほど。とは言うものの、なかなかいく機会がないです。ドイツには大きな見本市会場があり、仕事で割とよく出かけるし、スペインも仕事でもヴァレンシアによく行ってたしバルセロナ近辺も何度も旅行してます。フランスはパリに何度も仕事で出かけたし、旅行でも何度も立ち寄ってます。多にもスイスやオランダ、スロベニア、イギリスなどは仕事や旅行で立ち寄っていますが、こんなに近いウィーンには縁がなかったのです。

息子が18歳になり、イタリアでは成人になる年なので、何かプレゼントが欲しいかと聞けば「パパと二人で旅行がしたい」と言うではありませんか。彼はイタリアの中学終了時に1年間ママと二人で(実家なのでおじいちゃんおばあちゃんも一緒でした)日本に滞在し日本でも中学3年生を1年体験し、イタリアに戻って高校へ通っていました。だからママと二人でどこかに行くという経験はあったので、パパともどこかに行ってみたいと思ったようです。

そんなわけで、息子と二人でウィーンに旅行することになりました。ウィーンにはギャラリーや美術館が多く、とりあえずそういう施設を見て回れば予備知識があまりなくても楽しめます。街自体は巨大なメガロポリスではないため、歩いて大体回れる感じでした。ミラノもそうだけどね。

ホテルは駅近くに確保してあったので、毎日ここから出かけて街の中央広場付近を回ったり、今は美術館になっている王宮にクリムトを見に向かったり、エゴンシーレが見れるギャラリーに行ったりという感じでのんびりノルマをこなしながら、通りで美味しそうなお店があれば入ってみました。

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街並みはイタリアの街並みに比べ新しく、特別うおおおと思うような感想は持ちませんでした。イタリアの美しい街をいろいろ回っていると目が贅沢になるようです。食べる方も、念願のウィンナーシュニッツェルやザッハトルテを食べましたが、まあ、これもうおおおと思うようなことはなく、おいしいイタリア料理になれて舌も贅沢になっているみたいです。

さて、日本ではウィンナーコーヒーというメニューがありますが、ウィーンにはそういう名前のメニューはなく、(エスプレッソ抽出した)コーヒーに生クリームをのせた「フランシスコ派コーヒー」が日本で言うウィンナーコーヒーに近いですが、エスプレッソ抽出なのでカプチーノの牛乳でなく生クリーム版と言った感じです。

日本では倉敷珈琲館のウィンナーコーヒーがべらぼうにおいしいことはここには関係ないので内緒の話にしておきます。

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正直、ウィーンはもっといろいろとケーキ類の種類も華やかなものが多いのだと思っていたら、イタリアのパスティッチェリアとさほど変わりない感じでした。それでも、シュトゥルーデルは味見するとおいしかったなあ。結構あちこちで味見したので今でもおいらが自分で焼く味の理想はウィーンの味です。ドイツでもシュトゥルーデルはやたらと食べるんですけれどね。

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ウィンナーシュニッツェルも牛の肉を使ったものはおいしいけれど、個人的にはミラノのコトレッタミラネーゼの方がおいしいのでは?と思ったので、ずっと疑問に思っていたカツレツの頂上対決はミラノの勝ちと個人的に結論を出しました。そうはいってもおいしいことには変りないけど。多分ウィーンのレシピではバターをそのまま使うので、ブッロキャリフィカート(バターが分離したときの透明になるオイル部分だけ)を使うミラノのレシピよりも重く感じたのだと思います。

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このウィーン旅行まではドイツで結構ウィンナーシュニッツェルのおいしいお店を探してあちこちで食べているのだけれど、ドイツでは牛でなく豚を使うところが多いし、本場の味にはずっと興味を持っていたのです。村上春樹のエッセイに時々出てくるからね、ヌードル付きのウィンナーシュニッツェル。まあドイツなら他にも美味しいお肉料理が沢山あるのですが、ドイツ人も好きなんですよ。だからどこにでもウィンナーシュニッツェル食べられるお店があるわけです。

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オーストリア国立図書館へ行くと、ここは博物館としての展示なので本を手に取ったりは出来ませんが、なんとも立派な本がずらっと並ぶ様は圧巻でした。ここはうおおおと声が出てしまう。

こうしてクリムトやエゴンシーレのアートも満喫できたわけですが、個人的にウィーンで一番うおおおとなったのは、なんといってもフンデルトワッサー美術館。ここは圧巻。

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これは個人的趣味でもあるのだろうけれど、フンデルトワッサーの世界観は大好きです。美術館にあるカフェのシュトゥルーデルもすばらしい。そんなわけで、個人的にはウィーンと言えば、クリムトもすごいけれど、より時代が近いフンデルトワッサーの街としての印象を持ちました。あの美術館はまたいつか再訪したいと思います。何しろ、床までぐにゃぐにゃしてた。

ウィーンの旅行の思い出をダラダラと書きましたが、ミラノに住んでいてうれしいことの1つにこうして気軽に「外国旅行」が出来ること。それこそ、ミラノからは南イタリアに列車で旅行する計画と立てるより、飛行機でヨーロッパの外国の街へ旅行へ行く計画を立てる方が簡単だったりするのです。

これを書いているのはコロナの2021年なので、今はどこへも(それこそイタリア国内の街へも)行けませんが、こうやって気軽にウィーンに行ったりベルリンに行ったりできる日が戻って来るのはまだ最低でも1年はかかりそうです。阿呆列車ならぬ阿呆飛行機が出来る日が1日も早く戻ってきますように。

Peace & Love



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