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資金調達のお知らせと、クリスプが実現したい未来について。

この度、私たちは三菱商事さんから約5億円の資金調達を実施しました。

細かくいうと CRISP SALAD WORKS や R PIZZA を展開する株式会社クリスプと、モバイルオーダー運用ソリューション「PLATFORM」を開発する株式会社カチリを新設のクリスプホールディングスの完全子会社として、三菱商事さんにはクリスプホールディングス(以後、クリスプ)に18.4%の出資をしていただいた形となります(ちなみに、もちろんですが私は引き続き過半数を有する筆頭株主兼代表取締役として頑張ります)。

2014年末に麻布十番の小さな店舗ではじまった旅ですが、あれから5年を経て今では一緒に働く仲間はアルバイトを含め300人以上にまでなりました。こうやって成長できているのもクリスプを好きでいてくれるお客様や一緒に働く仲間、そしてクリスプに関わっていただいている様々な方のおかげです。本当に感謝しています。

ただ、私たちのやりたいことはもっともっと大きいので、その大きな未来を一緒に達成するために今回三菱商事さんに力を貸していただけることになりました。

そして、このタイミングで改めて社内の仲間はもちろん社外の方にも私たちの今までの成り立ちや、私たちがクリスプを通じて何を目指しているのかを知ってもらえればと思い、文章を書くのはあんまり得意じゃないのですが note を書くことにしました。

お店で働いてくれているパートナーはもちろん、外食をもっと働く人にとっても魅力的な場所にしていくことに興味がある人に読んでもらえると嬉しいです。(そして各ポジション絶賛採用中です!一番最後に載ってます!)



お店は大行列、、、だけど全然楽しくない。

2014年12月にカスタムサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」の1号店が麻布十番にオープンしました。最初は私が店長で、あとはアルバイトのパートナーが7人(ちなみにその時のパートナーのうち3名は今でもクリスプで働いてくれていて、そのうち2人は社員として活躍してくれています)。

私はアメリカの高校を卒業してからずっと飲食の仕事をしてきて、飲食店で働くこともその雰囲気も大好きで、当時はとにかく素敵なお客様と仲間に囲まれた良いお店をつくりたいという思いだけで「熱狂的なファンをつくる。」という経営理念を1号店の開業前に掲げました。

今でもそうですが、自分たちが信じるものを手を抜かずに、働く仲間に、お客様に、お店に、そして商品に愛情をもって本気で向き合うことが、飲食の一番大事な忘れてはいけない本質だと思っています。

というわけで、全くもって狙ってサラダを流行らせようと思っていなかったんですが、実際にお店をオープンしたら想定の5倍以上のびっくりするほど多くのお客様が来店してくれました。

お店もテレビでみる行列の店みたいな感じで外の通りまで毎日行列になって、周りの人は「宮野さんよかったですね!大成功ですね!」と褒めてくれたんですが、実はその時全然楽しくなくて、、なんでかっていうと毎日行列だとサラダをつくる作業だけで自分もみんなも一生懸命になってしまってゆっくりお客様や仲間とも話す時間もないし、お客様も何十分も待ってるからイライラしている人もいたり、最初からきてくれてた地元のお客様ほど行列をみて来店を諦めてしまったり、、、私がやりたかったのはただサラダを作ってたくさん売ることじゃなくて、素敵なお店をつくりたかったはずなのに全然できてないぞ、飲食店ってこういうことじゃないよな、と。

ただお店はとにかく売れに売れていて、当時1店舗しかない時でも毎月1000万円単位のお金が手元に残るような状態で、でも自分的には全然いい店じゃないし、嬉しくも楽しくもない。お店も毎日忙しくて人も足りなくて本当に大変。本来いいことのはずなのに、お客様から評価されて混めば混むほど大変になってクオリティが下がっていく、、これってどう考えてもおかしいな、どうにかならないのかな、と思って。

飲食って人を喜ばせるのが好きな人、人を笑顔にできる人、魅力的な人がたくさん働いているすごく素敵な業界なのに、そんな人たちに機械でもできるサラダづくりや注文や会計などの定型業務をやってもらってるのは本当にもったいない。

例えば夜にスーツ姿のお客様が来たら「まだ仕事だったんですか?夜遅くまで大変ですねぇ、今日も1日お疲れ様でした!」ちょっとしたことだけど、そんな一言こそがお店の価値であり競争優位性であり、注文や購買に必要ない無駄な会話や行為こそが飲食店が飲食店にしかできない価値を生み出す源泉のはず。

だったら機械でできることは全部機械に任せて、人間は人間だけが価値を生み出せるような人らしい行為に時間を使えるようにできないか?そうしたらもっと接客の仕事も楽しくなって人気職業になるかもしれないし、お客様も商品や価格だけでお店を選ぶんじゃなくて、もっと人と人とのつながりで飲食店に来てくれるようになるんじゃないか?

そう考えた結果が「よし、儲かったお金はとにかくテクノロジーに投資して、既存の飲食のあり方を全部再定義しよう」という決断でした。確か2016年くらいだったと思います。

モバイルオーダーと完全キャッシュレス店舗

とはいえ、高校卒業から20年間ずっと飲食で働いてきたのでテクノロジーとは全く接点がなく、紆余曲折があったり本当にいろんな人に助けられたりしつつ2017年に株式会社カチリを設立、同年7月にモバイルオーダーアプリ「CRISP APP」をリリースしました。いま見返してみたら当時まだ4店舗でした。

また、2018年には自社オリジナルのセルフレジとモバイルオーダーを組み合わせた完全キャッシュレス・レジレス店舗をオープン。その後、麻布十番・丸の内・新宿・虎ノ門などの店舗もこの形を導入しましたが、特にビジネス街では混雑時のスループット(1時間当たりの提供数)が1.7倍近くまで伸びています。

現在では CRISP SALAD WORKS の60%以上の注文がモバイルオーダーやセルフレジなどのデジタル経由のチャネルで発生していて、つまりそれってお客様の過半数以上がもう既に実際の店舗じゃなくてスマホの中のアプリを「クリスプ」だと思っているって事だから、やっぱりもう店舗をただ増やしていくことにお金を使ってる場合じゃないですよね。

ちなみにモバイルオーダーだけだとクリスプ全店平均で30%くらいで、アメリカのスタバがもう6年やって17%くらいなのでクリスプは特に多いと思います。

SaaS事業「PLATFORM」 

2019年6月から「CRISP APP」などの開発・運用ノウハウを元に、飲食店向けのモバイルオーダー運用ソリューション「PLATFORM」を提供開始しました。

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PLATFORMをはじめた理由は、それまで2年間自分たちでモバイルオーダーを作ったり完全キャッシュレス店舗を運営したりしてみて一定の効果はでたものの、正直なところまだまだ山で言ったら2合目くらいで、自分たちだけでは全然スピードも足りないし、知恵も足りない。だったら私たちよりも外食という軸ではもっと優秀な素晴らしい企業や経営者の方はいっぱいいるので、そんな会社さんと一緒に協力して外食産業を前に進めたい!という思いがとにかく大きいです。

リリースしたばかりの事業でまだまだ解決しないといけない課題も多いですが、愛のあるクライアント企業様に支えられてこれからさらにモバイルオーダーという枠を超えて一緒に成長し、今後間違いなくクリスプの大きな柱になっていく事業です。

「CRISP BASE」と注文チャネルのさらなる多様化

海外では既に起きていることですが、今後間違いなく日本でも飲食店における店頭以外の注文チャネルでの売上が増えてきます。なぜならお客様は自由が欲しいからです。UberEats を週に15回以上使っている私がいうので間違いないと思います😉

モバイルオーダーで事前に注文すれば店舗で大切なランチタイムを待ち時間に使う必要はないですし、デリバリーだったら家やオフィスで待ってるだけ。アプリで注文すれば私はサラダ、奥さんは違う店でブリトー、なんて食事を家に帰って20分くらいでできちゃいます。テクノロジーの力で(ようやく)美味しい食事を楽しみたいお客様に自由が生まれました。

CRISP BASE は提携企業のバーチャル店舗をモバイルオーダーアプリ内に作成し、企業の従業員がアプリから自分の好みにカスタマイズしたクリスプのサラダを最短でランチの1時間前までに注文することで配送料無料でオフィスにお届けするサービスです。2019年の春からスタートし、既に WeWork 各拠点やメルカリさん、Expedia さんなどに導入していただいていますが、今年から本格的に拡大展開を予定しています。

オフィスケータリングは今まで決められた選択肢の中でしか選ぶことができず真の意味での自由がなかったと感じています。CRISP BASE は、アプリだけではなく受注・製造までがシームレスに連携しているので最大限まで短いリードタイムでパーソナライズされた商品を提供することが可能になります。

また、これからはプラットフォーマーだけに任せるのではなく外食事業者がお客様と直接つながって様々なチャネルで顧客データを蓄積することが、今後の外食事業者が顧客体験を高める競争優位性になると考えています。

なぜなら、これから美味しいものは誰でも作れる時代になるし、利便性はコンビニには勝てないので、そうなったらコンビニでクリスプと同じくらい美味しいサラダを作って数百円安く売れる時代はすぐそこまできているからです。

その時代がきた時に、とにかく強いのは生の顧客データをもっていて、かつそのデータを使って自分たちで検証・改善ができる現場をもっている企業です。なので、私たちは店舗にもアプリ(PLATFORM)にもCRISP BASE にも、もちろん実店舗やパートナーが笑顔で働けることにも、めちゃくちゃ本気です。

資金調達したお金で何をやるのか?

大きく3つあります。

これらは単純に儲かるからやる、とか、成長余地があるからやる、とかじゃなくて、そもそもやってかないとこれからの日本の外食自体がイケてる産業になれないと考えています。

1. テクノロジー基盤(PLATFORM)の強化を通じた店舗の顧客体験・パートナー体験の向上

これからやりたいことはいっぱいあります。今はモバイルオーダーなど注文を機軸にしたお客様側のテクノロジーが多いのですが、今後は自動発注や自動シフト作成、一人ひとりのパートナーの人間力とLTVをサイエンスして、お店で働くパートナーが正しく評価されてもっと楽しく働けるような機能も沢山開発していきます。

正直この2年くらいは、特にクリスプのセルフレジやモバイルオーダーなどをもっと早いスピードで改善したかったのですが、リソースや資金的な部分でもなかなか思うように進めることができず店舗のパートナーにも負担をかけてしまっていたので、今回の調達により CRISP APP と PLATFORM を統合して開発のスピードを一気に上げていきます。

PLATFORMはこれからもっと進化しますし、クリスプが一番最初にそれを現場で検証しパートナーやお客様の声を反映して改善する場にもなります。

それによって楽しくて笑顔なパートナーが、楽しいお店を作り、熱狂的なファンを作るというサイクルを強化していきます。そして、PLATFORMはモバイルオーダーだけではなく、お客様も働くスタッフもハッピーにする店舗のテクノロジー基盤にしていきます。

2. CRISP BASE 事業の本格展開

とんでもないポテンシャルがある市場だと思ってます。福利厚生・健康経営という文脈からもサラダはニーズが高いです。クリスプで言えば今までだったら3000人規模以下のオフィスビルは出店できませんでしたが、バーチャル店舗なら毎日5個からお届け可能です。将来的にはテナント区画がないような中小規模のビルの一角に2坪くらいのスペースに棚さえあればそれがお店の代わりになります。slack からの注文とかもやりたいですね。

3. クリスプブランドの強化

サラダを食べるのではなく「クリスプを食べる。」そんなブランドにしたいと考えています。アパレルで言ったらパタゴニアみたいに、人によって好き嫌いはあるかもしれないけど強いメッセージ性のあるブランドであるべきだと考えています。想いはあるのですが、今までは社内外にしっかりとまとまった形で体現しきれていなかったので、これを強化していきます。

また、デリバリーやピックアップはお客様はほぼ商品しか見れず商品以外の付加価値を感じにくい為、なおさら強いブランドは重要です。そして、店舗は特別な顧客体験やブランドを感じるための場になるので、今まで以上に店舗とそこで働くパートナーが重要になります。いま既にアパレルで起こっていることと一緒ですよね。

最後に、、、採用してます!

収益の柱である CRISP SALAD WORKS はブームは落ち着きましたが、外食事業としても店舗展開・デリバリー・toBなど成長余地はまだまだ大きいですし、なによりもお店や本社で働く300人以上のクリスプの想いに共感してくれている魅力的なパートナーが私たちの強みです。

ただ、私たちはこれからただ単純に店舗を増やしていくだけではなく、外食のビジネスモデルを180度ひっくり返すような、今までにない価値を生み出す「新しい外食」を目指しています。

私たちは、あくまでも外食事業者として本質である商品や接客・店舗・パートナーへの愛をもちながら、テクノロジーに本気で投資ができる会社です。

外食産業は例えるなら石器時代のビジネスです。それを現代のビジネスにアップデートすればめちゃくちゃ面白くて魅力的でイケてる産業になると思います。日本の外食はむしろ伸びしろしかないと考えています。

既にやりたいことはかなり明確で、展開できる現場(店舗網)もあります。ただ、それらを実行する人的リソースが全く足りていません。日本の外食のあり方を変える、世の中を変えるような会社にしたいと思っています。

外食で働く人とお店を愛するファンが幸せになれるような形で、一緒にそんな外食のイケてる未来を実現する手伝いをしてくれる方たちを募集中です!