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厲以寧 所有制改革論 1986/04/25

厲以寧改革論集 中國發展出版社 2008 pp.7-17
這是作者在北京大學“五四”科學討論會上的報告
p.7  わが国の経済体制改革は始まってからすでに数年たった。これからの経済体制改革はいかに進められるべきか。私は個人的な見方を少し話したい。全体で7つの問題について計28のポイントがある。その中で一部の見方は議論(争論)を引き起こす可能性がある。でもそれはよいことである。議論(争鳴)がなければ経済学は繁栄できないものだ。
1. 所有制改革が改革のカギである
(1) 経済改革の失敗は価格改革の失敗のため起こるかもしれない。しかし経済改革の成功は価格改革により決まるのではなく、所有制改革すなわち企業体制の改革によって決まるのである。これは価格改革とは主として経済改革のために作られた商品経済の発展に適切な環境の一つだからである。そして所有制改革あるいは企業体制改革こそがまさに、利益、責任、刺激、動力問題にかかわるからである(太字化は訳者が行った)。
(2) 所有制改革の目的は本当に得失を自己負担する(真正自負盈虧)全民所有制企業を設立することである。本当に得失を自己責任するとは、第一に企業は損失を含め帯来したすべての結果を必ず負担しなければならない。第二に得失は対称(對稱)的であり、対称というのは対企業でありあるいは対企業責任者である。所有制改革のなかでもっとも必要なことは、全民所有制企業に得失の自己責任を負わせることで、とくに企業の損失をどのようにするかという問題である。得失は相手がいるが、利益というおいしいところを企業に帰属させると同時に、損失も企業に負担させるべきである。現在のように損失を国家に国家に帰属させないことが、企業の経営動力の改善に将来つなp.8  がるのである。一分の資本を集め事業を行っている企業は活力を持ち、動力・圧力をもつが、得失の対称性ももっている。利得が自身に帰属するように、損失も自身が負うのであり、最後は倒産破産に至る。目前のわが国全民所有制経済においては、企業が損失を出したら、責任者は配転になるか降格になる行政処分を受けるが、これはもう使わなくてよい(不管用的)。得失は必ず相手がいる。だから経営不振企業は破産すべきは破産し、破産後整理される。破産法が必要でありまた社会保障の規定が必要であり、労働者の就業などの問題を厳粛に処理せねばならない。
(3) 集団(集体)所有制企業は株式(股份)制を使ってよい。全民所有制企業体制改革で可能な措置の一つは株式制の実行であり、株式支配制(控股制)(の実行であり)、社会主義的公司財団(企業財団)を始めることである。
 ここで言うところの株式制は、主要には株券を職工あるいは個人所有に売り与えるものではない(当然また一部を職工、個人に売ってもよい)。主要には公有者の間で(持ち?)株に従い利益を得た。公股所有者は多種多様だった。国営企業財産評価以後、この一部の株権は国家に帰属した。これは国家投資のてにあるのに等しい。地方が投資を増加すると、地方の株券になる。企業拡大再生産部分の投資は、企業の株券である。その他全民所有制企業のもたらした投資は、その他全民所有制企業の株券である。このように、株券の多少に応じて、取締役会(董事會)は適切に配置される。取締役会成立後、取締役会はこの株式会社の基本方針(大政方針)を決定する。このようにして、政治と企業の職責を分ける問題が本当に正しく解決することができる。そうでないと、政治と企業を分ける問題がいつも正しく解決されていないことになる。まず取締役会を成立させる。それには株主大会を開いて取締役会を成立させる。株主はみな公開(公方)される。暫時一定の株券(假定股票)は私人に売られてよいがその比重は大きくあってはならない。株式支配制が実行されるが、全民所有制が可能な採られる措置である。株式支配制は可能であり、株式制が実行され、会社(公司)企業の株券は誰でも(大家)買えるようにされ、株式支配制は実行できる。西欧の国家では51%の株券を支配した大株主はこの企業を統制でき、自身の子会社にする。われわれもまたそのようにできる。つぎのように仮定できる。株式支配制を実行後、強力な社会主義大企業は何層かの株式支配を通じて社会主義的企業(公司)財団を作れる。この企業財団は企業の行動を変化させられる。戦略視点(戦略眼光)をもっているので、ただ短期経営にだけ注意している企業を長期経営にも注意するように変えることができる。つまり、今後の長期発展に根拠を置いて、政策をきめることができる。企業財団をつくることは、全般的な考慮をすることでもある。例えば、今後、西北地区の石油工業の勃興に注意p.9  できれば、利潤の一部を西北投資に向けることができるだろう。部門をまたいだ、地区をまたいだ経営ができ、自己内部で平均利潤を取得でき、このようにして西北開発を多いに促進できる。我々の今後の西部開発は、現在のやり方では全く進められないが、社会主義企業財団によれば開発経営できる。
(4) 所有制改革の必要性は業種、地区、企業規模によって異なる。企業については各企業の国民経済の中での重要性、それが求める資源の希少さ(稀缺)の程度,産業における割合を把握できる。そのあと、どの産業が発展するべきかを見てみよう。主として発展する企業はどのような企業であるか?全民(所有)か、集団(集体所有)か、個人(個体所有)のいずれだろうか?地区の違いというのは、各地区に特徴に応じて発展させるべきだということである。企業規模の違いというのは、企業は大小の違いによって分類されるべきことを指す。このように仮定するなら、全民所有制企業は、重要産業について一部の地区について、保持される。彼らは比較して大規模企業である。その他の企業は、賃借(租賃)すべきは賃借、請負(承包)すべきは請負であるが、集団(集体)あるいは個人(個体)に売り渡されてよい。(中略)

2.我々は一定(比較)完全な(完善的)市場メカニズムを求めている
(5) 市場はそれ自身一種の自動調節作用(自行調節的功能)を持っている。それは需要と供給をバランスする方向に向かわせることができる。それはまた限界もあり、それゆえ政府の調節も必要である。だからと言って政府が一切をすることができると真逆のことは言えない。ただ目前力量が足らない場合、市場が足らないところを埋める(拾遺補闕)必要があるときに限られる。我々は政府調節と市場調節との関係は次のようだと考える。まず市場自身が、経済を自動調節でき、需給をバランスさせることができる、一種のメカニズムをもっていることが肯定される。然しそれはそれぞれ限界もある。p.10  例えば資源供給は有限的であり、経済情報システムに欠陥がある(不健全)など、それゆえ政府調節が必要である。改革の基本的考え方は、社会主義経済はまず商品経済であるということ、その次に計画をもって発展する商品経済であるということである。
(6) 市場調節と政府調節は併存的で互いに補うものである、一方が片方に置き換わることはできない。これは二元メカニズムなのだ。二元メカニズムは1枚の板の張り合わせ(板塊結合)ではない。その含意は政府調節はまず市場調節がなされることが出発点で、政府調節は市場調節の種々の限界を補うために存在するということである。市場価格は多種多様であるが、ただ完全競争の条件でもとでのみ自由価格である。その他の条件のもとでは不完全競争価格を形成する。市場ごとに自由価格と不完全競争価格があり、計画価格は市場の各種価格に依拠するべきである。同時に計画価格と市場価格は互いに上下となりうる。上下となる原因や幅は、政府調節におけるところであり、市場価格を出発点とすべきである。
(7) 比較完全な市場メカニズムは導入されるのではなく(不是靠引進的)自然に成長するものである。過去においては成長なく成長も不足していたのは発育の環境を欠き、社会主義商品経済の環境がなかったからである。社会主義商品経済の発展があれば、市場メカニズムはおのずと完全に向かう。ここで私は比較完全の4文字を使う。市場は現在の条件では完全競争市場を形成することはできないし、我々の経済が資源供給が有限の経済であり、さらに政府調節の必要性を考慮すると、ここでわれわれは「比較完全」ということができる。
(8) 社会主義の市場体系には4つの市場が含められねばならない。一つは商品市場である。(それには)消費品市場と、生産手段(生産資料)市場が含まれる。不動産市場は(このなかに)含まれる。住宅の商品化は我々の経済発展の必然(的)趨勢であるので。二つ(目)は資金市場である。証券市場は(これに)含まれる。企業が株式制を実行したあと、企業が株券(股票)を売買することが許されると仮定し、個人が株券を売買することを許されると仮定するなら、(このような証券市場がなければ)このような証券は活発性(靈活性)を持たない。しかし証券市場は調節が加えられてよい、あるいは専門の証券市場が存在してもよい。(すなわち)条件が未熟な情況では、銀行が株券発行を代理し、株券を売買し、株券仲買人を務め株券を担保に取り割引きすることも可である。三つ目は技術市場である。科学技術の成果を有償で譲渡する市場である。四つ目は労働力非商品化の条件の下での労働力市場である、簡単に労務市場となづけよう。(中略)

3.政府部門の効率の引き上げ
(中略)(9)~(12)

4.企業家精神と社会主義企業家
(中略) (13)~(16)

5.社会主義倫理原則に符合した経済行為規範
(中略) (17)~(20)

6.最近の需要が真剣な注意に値する問題
(中略) (21)~(24)

p.17  7.わが国経済の今後についての予想(設想)
(25)全民所有制経済の国民経済の中での主導地位は、全民所有制企業数が全国企業数の中の比率(比重)によるのでなければ、生産価値に占める比率によるのでさえない。(そうではなくて)国民経済の重要部門(命脈的部門)を掌握しているかどうかであり、いくつかの基幹(關鍵)商品生産量で大きな比率しめているかどうかである。長期的に見れば、全民所有制企業(の数)は多いとは限らず、多くの企業は混合経済あるいは集団経済でありうる。それにもし全民所有制企業だったとしても、我々が現在知っている、伝統的な意味での全民所有制企業ではなく、一種新型の、株式制の、株式によりコントロールされている企業であり(実行控股制的)、どこか一つの企業集団に属し、全民所有制が主である企業である。
 (26) 長期の角度から見て、指令性計画はなくせないとはいえないが、指導性計画はわが国の唯一の計画形式となりうる。当然これには、われわれの条件がすでに成熟しているかどうかを見る必要がある。条件成熟の主要な指標は、現在は大変欠乏している一部の資源の供給の緊張が、緩和される程度による。このほか、国家がその方面の十分な経済管理能力を考慮する必要がある。というのは、指導性計画の実行は、指令性計画に比べてさらに困難だからである。
(以下略)(27)~(28) 

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