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中国金融・資本市場 2013

 川村雄介監修『最新中国金融・資本市場』2013。中国の資本市場のハンドブックを作ろうとする試みは日本で何回かあって、そのなかで6年前に出された本書は刊行時点大変注目された(きんざい2013年)。とくに斎藤尚登氏執筆の第4章「中国の三板市場」。これは新興企業向けに2006年に稼働し始めた新三板市場の稼働後の情況を伝える貴重な報告だった。また編者の川村雄介氏執筆の第6章「中国債券市場の歴史と概況」は短編ながら、債券市場の問題点に視角を絞って議論しており有益だった。
 同様の中国資本市場の全体像を描く試みには、野村資本市場研究所編『中国証券市場大全』日本経済新聞出版社2007年があった。こちらは刊行されて10年以上経ってしまったが、しかし刊行時点での制度や認識を記録している点で今読み返しても興味深い点が多い。たとえば中国株式市場での信用取引の開始は2010年4月からだが、信用取引開始に向けて試行実施細則が定められたことを(2006年8月)伝えている(第1章)。また本書刊行はちょうど非流通株改革が終了に近づいた時点だったので、この改革を詳述していることは特筆できる(第6章ー7章)。あるいはM&Aに関する法的な仕組みの記述も(第6章)、その後の変化があるとしても、この時点の制度の紹介として貴重な記録だといえるだろう。

#中国

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