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早坂忠・正村公宏「戦後日本の経済学」1974

 日経新書である。早坂忠(1931-1995)はケインズのほか日本の経済学史の研究者として知られるが、1995年に早逝された。正村公宏(1931-)は論客として知られているが、他面息子さんがダウン症であることを公表されている。
 早坂忠の日本の経済学史研究
 心の絆結び合う
 さてこの本は、自分が1960年後半から1970年代前半に大学院で勉強していたときに、渉猟していた範囲がそれほど外れてはいなかったと感じることができてほっとしたという本である。本書が取り上げている本の多くは私自身も読んだ記憶がある。早坂―正村の評価で、改めてその読書の時間を意味を振り返ることができる。大変ありがたい本ではある。
 たとえば私は、学部時代に杉本栄一さんや熊谷尚夫さんも読んでいたし、ケインズやハロッドなども読んでいた。読書範囲は経済学に限られるが、その限りでかなり広かった。また大学院に入る少し前からは英文の資料を読んでいた。毎日図書館にこもり時間があると古本屋で本を集めていた。第二次大戦後から70年代まで幅広く。他方で、あの時代は、何を読むべきかは、単純だったとも思う。古典は何かははっきりしていたし、古典の何をどのような順番で読むかも悩むことではなかった。現在は専門分野が細分化されている。私の担当している分野で言えば、それぞれのトピックについての最近の論文や、関連する統計資料などに習熟してもらうことがどうしても先になる。自分が学生時代やったように、古典を読めという指導がなかなかできないのがつらいところだ。

#早坂忠 #正村公宏 #経済学

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