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中国思想・短編小説・歌曲選

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https://blog.goo.ne.jp/fu12345/e/7cc5e1ad373775c11668b88a748c64a6 中国的な考え方を知る手がかりを探しています。
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#論語

孔子と孟子の違い 浩然の気

                             福光 寛  孔子の論語の世界と、孟子ではかなり人生観が違うが、一つの原因は言葉を述べたときの孔子、孟子それぞれの人生の年代や、そのとき社会から受けていた処遇など環境の違いにあるのではないか。孔子の言葉はおそらく孔子が晩年のもの。60代から70代だろうか。その言葉からは孔子の不遇が伺われ、晩年に至り、処世について、ポストをめぐる争いから少し距離を置いた、やや達観した心境が伺える。(写真は孟子像 立命館大学朱雀キャンパスに

知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は恐れない(論語子罕篇第九)

                             福光 寛  『中庸』の以下のフレーズは学問への姿勢を言っているように読める(写真は湯島聖堂にある孔子像 2020年2月24日)。  先生(孔子)はいう。学ぶことが好きなものは知に近い、努力して学ぶものは仁に近い、(知らないことを)恥と知るものは勇気がある。この3点を知るものは、努力して自身の徳を高めることを知っている。徳を高めることを知った人は、すなわち人を治めることを知る。人を治めることを知った人は、天下国家を治める

責任を果たして満足する 先義後利 孟子

 「先義後利」は有名な言葉で、商道徳を説いた言葉のようにも日本では理解されている(写真は湯島聖堂仰高門 2022年4月23日)。  孟子の梁恵(リアンホイ)王上が出典とされているが、出典だという意味は「先義後利」を孟子がここで教えとして説いたという意味であって、「先義後利」という言葉が梁恵王上に出ているわけではない。  孟子と会った梁恵王は、あなたはわが国にどのような利をもたらすのかと質問する。そこで孟子は、なぜ最初に利をいうのですか。義をあとにして利を先にいうのは、国を危う