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中国経済学史

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経済学三巨頭の比較 張曙光

経済学三巨頭の比較                             張曙光 張曙光《中國經濟學風雲史》八方文化創作室,2018より p.1022 マルクス経済学において、孫冶方(スン・イエファン 1915-1974),薛暮橋(シュエ・ムーチアオ 1904-2005),于光遠(ユー・グアンユアン 1915-2013)は三巨頭であり、改革開放前の30年間、彼ら3人は当時の国内経済学の理論研究を主導した。改革開放以後、孫冶方は早く亡くなったが、薛暮橋と于光遠はなお続けて前

董輔礽(1952-57年ソ連留学):人生軌跡及其轉向 張曙光

董輔礽:《有偽學者的人生軌跡及其轉向》載《中國經濟學風雲史》八方文化創作室,2018,p.1046-1094, esp.1046-1048(董輔礽(トン・フーレン 1927-2004)は最初、武漢大学で西欧の経済学に基礎を学び、それから20代半ばでソ連に留学した。ソ連留学時に孫冶方の知己を得て、帰国後、間もなく経済研究所に招かれている。国民党支配地区で正規の教育を受けたためにまず大学で西欧の経済学の基礎を学び、そしてその後、新中国建国後の大学人として、ソ連の経済学のメッカに留

孫冶方(ソ連留学1925.10-30.9):真人品格和學者情懷 張曙光 2018

 張曙光《中國經濟學風雲史 下巻Ⅲ》八方文化創作室, 2018年3月 (有名な孫冶方(スン・イエファン 1908-1983)のお話(孫冶方:真人品格和學者情懷 孫冶方:その本当の人ととしての風格と学者としての志)だが、張曙光の記述は多くの点でこれまでになく詳細である。張曙光は長時間の聞き取りをしたとしており、その内容は注目されてよい。なお最後の憲法改正の提言も、中国の知識人の間では知られていることかもしれないが私には新鮮であった。) p.1038 孫冶方の一生は順調でなく、お

劉国光(ソ連留学 1951-55):官学難以兼得 張曙光

張曙光《中國經濟學風雲史 經濟研究所60年》八方文化創作室, 2018,pp.1095-1148 esp.1095-1097 (明らかに張曙光は劉国光を官僚学者になり下がったとして嫌っている。劉国光(リウ・グオグアン 1923-)は、董輔礽と経歴は似ていて、国民党統治下の中国の大学で西欧の経済学にまず触れたうえで、新中国になってからソ連留学の機会を得ている。当時はそれが最高のエリートの道だった。文革中の挫折、改革解放後の活躍も同じである。ロシアでマルクス経済学の教育を受

顧准:探索的過程 by 張曙光 2018

張曙光《中國經濟學風雲史》八方文化創作室,2018 p.948 顧准(グー・ジュン 1915-1974)の探索(人生上の大きな疑問に対して答えを得ようと探し追い求めること)は前世紀の50年代初めに処分を受けてから始まった。その思想の発展と探索の内容からみて、3つの段階を経ている。  第一段階。発芽期(萌芽期)。1952年から1956年ソ連共産党20回大会前後。党校での学習期間が進んでいる。顧准の探索はすでにマルクス主義理論から開始され、(しかしまだ)完全にマルクス主義の範囲に