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薛暮橋(1904-2005)、孫冶方(1908-1983)

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薛暮橋(1904-2005)そして孫冶方(1908-1983)の関係資料を採録。二人はかなり肌合いが違うが、上海そして北京で接点がある。
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2019年2月の記事一覧

社会主義の建設(薛暮橋「中国社会主義経済問題研究」第1章1979/1983)

薛暮橋「中国社会主義経済問題研究」(1979年人民出版社 なお1980年外文出版社から邦訳 手元の1983年版を原書として引用する。) → 最初の第1章では、中国で社会主義化のために取られた措置(共有化 協同化)が、その生産力の水準と対応していなかったために、かえって生産力を低下させたことがまずと指摘される。共有化・協同化で、労働の成果が、個人に帰属しなくなり生産の意欲が損なわれたことが重要だと思われるが、その点は書かれていない。農業に関しては、生産単位を小さくすること、個人

工商業の社会主義改造(薛暮橋「中国社会主義経済問題研究」第2章1979/1983)

薛暮橋「中国社会主義問題研究」(1979年 人民出版社 なお1980年外文出版社から邦訳 手元には1983年版 人民出版社もある。以下ページ数は邦訳版-外文出版社のもの)  → 第2章 ここでは所有制の改造に伴う問題が記載されている。一つは実際にどのように改造が進められたかである。ここでは順調に進められたことが書かれているので、プロセスを美化しているように思える。改造に不満をもったり反対した人たちなどの問題が消えているように思う。記述の最終部分では、商工業については、商品の

農業の社会主義改造 (薛暮橋《中国社会主義経済問題研究》第2章1979/1983)

薛暮橋「中国社会主義問題研究」(1979年 人民出版社 なお1980年外文出版社から邦訳 手元には1983年版 人民出版社がある。こちらを原書として引用する)第2章後半。邦訳pp.61-78 原書pp.30-50(写真は心光寺石仏。) ここで最初に引用されている毛沢東の言葉邦訳p.62。「分散的小生産こそ封建支配の経済的基礎」這種分散的個體生產,就是封建統治的經濟基礎「このような状態を克服する唯一の方法が、次第に集団化することである」《組織起來》毛澤東選集第三卷 これは毛沢東

薛暮橋 私営経済開門を提起 1979/03

 薛暮橋の貢献として知られることの一つは、都市の待業青年問題の解決のために、個人事業=私営経済を認めるために尽力したことである。改革開放中的薛暮橋:探索社會主義市場經濟改革 http://www.reformdata.org/content/20140717/26862.html 2015/06/15閲覧より, 生産資料(手段)の個人所有というこの方向が、さらにその先に進むのに多くの時間はかからなかった。 彼(薛暮橋)は理論界で最も早く個人(個体)私営経済の発展

薛暮橋 社会主義経済の在り方(中国社会主義経済問題研究より) 1979/1983

薛暮橋「中国社会主義問題研究」(1979年 人民出版社 なお1980年外文出版社から邦訳 手元には1983年版 人民出版社がある。こちらを原書として引用する)第3章。邦訳pp.79-106 原書pp.51-67 (薛暮橋は社会主義的共有制には全人民所有制の国有経済と集団所有制の協同組合経済があるという。最初は工業については全人民所有制への発展を描いている。つぎに企業内の管理を論じたところでは、企業に経営自主権を与えるべきことを明確に主張している。その後、集団所有経済を議論する