見出し画像

サンタクロースとワンコ

季節外れだが、サンタクロースを信じていたのは何歳までのことだったろうか。

もはや記憶にない。ただ、母が弟にクリスマス前にサンタクロースとして手紙を書いていたことを思い出す。弟が幼稚園の頃だったろうか。小学校になってからだろうか。これも今となっては記憶にない。

大人が子供に対しサンタクロースの実在を否定せず子供の夢想力(?)に託す。これに対し子供の方はどうだろう。いつだったか何かの映画かドラマで大人がサンタクロースからのプレゼントを子供に託し貰う。子供は喜んで本当のサンタクロースから貰うフリをする。その後に大人に向かって演技するのも楽じゃないよ、と言ったセリフを吐くシーンがあった。

言葉は悪いがだますのも楽じゃないがだまされるフリをするのも楽じゃないということだ。

話は変わって飼っていたワンコのこと。

かつてワンコと一緒に住んでいた一軒家は2階に寝室があり朝は2階から1階へ降りてくる。最初ワンコは階段を独りで降りることが出来ないらしく逡巡して階段の前で動かずにいた。なので階段を降りる際はワンコ(小型犬)を抱いて一緒に降りていた。しかしこのままだとワンコが2階に取り残されたままになる可能性がある。あまり吠えないワンコだったので気付かずに取り残されたままになることが少し怖かった。仕方がないので自分独りで階段を降りられる様に訓練してみた。2階の階段前でじっと立つワンコを促す。しかしなかなか動かない。我慢強くじっと待つ。ようやく意を決して階段を降りてくる。1階まで降りると手を叩き大げさに褒める。ワンコは褒められて尻尾を最大限にフリフリする。こんなことをくりかえしていた。

しかし、あることでこのワンコは階段を普通に降りることが分かった。最初は信じられなかった。なかなか訓練しても階段を降りるには時間がかかる。朝急いでいる際は諦めて抱いて一緒に1階へ降りる。そんなことが続いていたからだ。本当はうちのワンコは階段を自由に降りられる、そう知った際褒めずに普通に階段を降りる様促してみた。はたしてやはりというか意外というかワンコはスッと階段を降りた!

今まで飼い主に付き合ってあげたんだけど、もうその必要はなさそうだね。そんなワンコのつぶやきが聞こえてきそうな瞬間だった。

少し信じられない(信じたくない?)出来事ではあったが子供のサンタクロースを信じていますフリとどこか通じている気がしてワンコを責める(つもりはもともとないが)気にはなれなかった。

成犬は人間でいえば3歳児程度の脳と言われるがそれが本当に正しければ3歳の幼児でも大人の望む子供の姿を無意識にでも演じている可能性がある。そこまででは必ずしもないにしても、ワンコでも飼い主の心理を読んで行動することに何かちょっとヤラレた!という感覚が残った。

ワンコ、恐るべし。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?