OTとITの関係は(製造業DX)
運用技術(OT)とは
運用技術(OT, Operational Technology)とは、機械や設備などの物理的な対象を制御し、運用する技術のことです。この運用技術にはコンピュータによる運用技術が多く占めていますが、人や規則などによる運用技術も含まれています。しかしここではコンピュータ、つまりITによる運用技術に絞ります。
例えば、製造業で言えば、工場にある機械設備をコンピュータによって制御し運用する技術になります。具体的には、製造実行システム(MES)や製造オペレーション管理(MOM)、産業監視制御システム(SCADA)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などがOTとして存在します。
OTの概念は上記のように抽象的で広範ですが、ここでは1個の機械設備のみを単純に制御する運用技術ではなく、複数の機械設備、複数の原材料、複数の製品、複数のオペレーションを連動して、運用する技術をイメージしています。さらにこのOTが、営業管理システムなどの一般的なITシステムと連携するイメージです。OTには色々考えられますが、ここではこのようなイメージで考えていくことにします。
情報技術(IT)との関係は
情報技術(IT)もさらに抽象的で広い概念ですが、ここでは営業や総務で使うシステムや、OTとも関係が深いサプライチェーン管理(SCM)やエンタープライズリソースプランニング(ERP)などに限定します。いわゆる「エンタープライズ系」と呼ばれているITです。
このエンタープライズ系のITは、対象はデジタルデータです。物理的な実態がない純粋なデジタルデータが対象になります。ここが物理的な対象を相手にするOTと異なります。
しかし物理的な対象を相手にするOTでも、物理対象からセンシングしたデジタルデータを取得すれば、これ以降はITと同じになります。この後、ITと同様にデジタルデータに処理した後は、その処理結果を基にOTでは物理的対象を制御することになります。つまり真ん中のデジタルデータ処理は同じですが、最初に物理対象からデジタルデータを取得するところと、最後の物理対象を制御するところが異なります。この意味ではエンタープライズ系のITはOTの真ん中、その一部です。
でもIT(情報技術)は抽象的で広い意味を持つので、この意味ではコンピュータによるOTはITの一部になります。お互いが相手を自分の一部だと言い張っています。
OTとITはなかよしに
製造業において、一般的には、OTとITは仲良くありません。というか、喧嘩をしているわけではなく、お互いに無関心だということです。両者の結びつきは弱いです。疎結合というよりも無結合でさえ、あります。困ったもんです。
これこそが問題です。この無関心の無関係が問題です。ITとOTは仲良くなるべきです。少なくともデータ交換はできるようになってほしいものです。
OTとITが仲良くなるためには、物理的に両者の間をネットワークでつなぐだけでは駄目です。データ交換がスムーズにできるように、両者のデータの意味論を合わせる必要があります。
そしてこれが大変です。両者は言葉が違います。文化が違います。お互いの言葉を合わせ、お互いの文化を理解し、相互にデータをやりとりできるようにならなければいけません。これに比べれば、システムの違いは気にならないくらい小さい問題です。
OTの未来
OTとITの融合のためにはデータの属性データであるメタデータレベルで調整し、データ自身の形式や意味論を定義し、ひとつのデータスペースを作る必要があります。同じ会社、組織なのですから、これはできます。できるはずです。できればいいかな・・・ぜひ、やってみてください。
このように両者のデータを最終的には統一するべきですが、それができないときはインタフェースを設け、意思疎通ができるように変換する必要があります。ここがOTとITのなかよしの開始点です。
これが実現できれば、コンピュータによるOTとエンタープライズ系のITはシームレスに、透過的に、融合できます。お互いの情報を相互に利用できます。例えば、営業先でも工場の生産状況がリアルタイムで把握できます。
ということで今日の結論。「OTとITはなかよく」 以上です。
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