【日報】2020/03/27

※この記事は読みにくいです
※また、文中紹介する読み切りを読んでないと分かりづらいと思います

■自分が過去に面白いと思った読み切りの構造を分析した■

分析した作品は過去にジャンプ+に掲載されていた藤本タツキ先生の『妹の姉』。僕が今までに読んだ読み切りの中で最もクオリティが高いと感じた一本です。

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(『妹の姉』あらすじ)
美術高校の女生徒である主人公が登校すると、玄関に自分のハダカの絵が飾られていた。その学校ではコンクールで金賞を獲った絵が一年間玄関に飾られるのだ。そして、その絵を描いたのは彼女の妹だった。

辱めを受けた彼女は、今度は自分が妹のハダカを描き、その絵で金賞を獲ることを思いつく。妹の部屋に乗り込んで服を脱がせ、妹のハダカをデッサンしながら、ぎこちない会話を交わす中で、徐々にこの姉妹の境遇が浮かび上がってくる。

彼女は自分より絵の才能があった妹のことを遠ざけ、絵を描くことからも離れてしまっていたのだ。場面が転換し、自分のハダカの絵をボーっと眺める主人公。すると先生から、この絵は「自分の目標」を描く授業で描いたものだ、ということを告げられる。

そのことを知った主人公は奮起し、デッサンを猛練習。一枚の絵を描き始める。「教えなければいけない」「妹よ、ハダカとはこう描くものなのだ…と」「だって私は、妹の姉だから」。

卒業式の日、絵が貼り替えられる。「妹よ、教えてあげよう」「私のハダカとはこう描くのだ」。するとそこには足を広げて椅子に座り、こちらを睨みつける主人公のハダカが。「私はね、アンタの絵みたいに胸大きくないし、乳首もそんなにキレイじゃない」「スタイルもそんな良くないし、あんな切なげな表情もしないの」「次は私を良く見て描きなさい」

そして主人公が就職してから一年後。「なぜか妹と二人暮らしすることになった」「だって二人の方が家賃やすいよ」「結局、私は妹から離れることはできないのだ」「だって私は妹の姉だから」

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…書き起こしてみて驚きました。この漫画、無駄なセリフや展開が一切ないんです。例えば、妹が主人公を美化して描いていることは、僕が『辱めを受けた』と省略しているエピソードの中で友達に「あれ…?絵の方がもっと胸あった気が…」というセリフで伏線が張られているし、

冒頭の「共学なのにクラスに男子が一人もいない」という箱書き(+作中ほとんど男が出てこない)によって、ヌードを描かれる、ということの「悲惨さ」を低減している(主人公のキャラクター込みで)んですよね。

すごいネーム力だ…。

■『妹の姉』の構成の秀逸さ■

僕が使っている「モチーフ」の意味

…作劇上、目に見える人間ドラマ以外の要素。
 舞台装置。物語的ガジェット。

(例)
『ワンピース』における「海賊」「悪魔の実」「ワンピース」
『寄生獣』における「パラサイト」
スポーツ漫画における「試合」「大会」

『妹の姉』の素晴らしい点は、「モチーフ的な掴み」から入り、中盤に「人間ドラマ」を浮かび上がらせ、最終的にモチーフと人間ドラマが同じ地点で解決される、という無駄のない構成です。


【妹の姉】
起(掴み)…「他人にヌードを描かれる」センセーショナルで強い掴み

承(展開)…「ハダカを描き返して復讐する」「起」を受け、面白く展開させる

転(真に乗り越えるべき壁の出現)…「姉妹間の才能の差による確執」人間ドラマを浮上させる

結(解決の仕方の面白さ)…「自分のハダカを描く」モチーフ・人間ドラマ両方を解決させる


僕が面白いと感じる読み切りは大抵こういう構造になっている気がします。


【からくりの君(藤田和日郎先生)】
起(掴み)…「からくり人形を操って戦う姫様の登場」

承(展開)…「父親が自分の生皮で作ったからくり人形を壊したいから敵の城に討ち入りたい」

転(真に乗り越えるべき壁の出現)…「父親の人形を壊したいがために戦っていた」『お前は父親のあやつり人形じゃねえぞ』

結(解決の仕方の面白さ)…「自分が人形に化けて敵を倒す」『人形ではありませぬ』

この『からくりの君』のさらに秀逸な点は、「転」で浮上する「真に乗り越えるべき壁」の前に、「自分の皮で動く人形を壊したい」という「手前の動機」を設置している所です。


■なぜこの構成が好きなのか■
僕がこの構成が好きな理由は

①まずモチーフの面白さで読ませる、という誠実さ
②人間ドラマが浮かび上がった瞬間に解決に向かうスピード感

①…やっぱりあらすじだけ聞いて「面白そう」って思えるような漫画が好きなんですよね。掴みが早いのも大事だし。

②…冒頭から主人公が「俺は…孤独だ…」みたいなことを言ってたら、逆算して着地も分かっちゃうじゃないですか?アンチ・テーマから入るのが物語の定石ですが、露骨過ぎると先が読めてしまう。そうじゃないのが良いんですよね。

という所まで昨日は考えました。
今日(2020/3/28)は「ではどうやってこのフォーマットにあう話を作っていくのか」を考えていきたいと思います。


※ちょっとまとめに時間がかかり過ぎたんで、次からはもうちょっとサクッとまとめます

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