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「使っていないサブスクをすぐに解約せよ」という貧困

佐藤ひろおです。会社を休んで早稲田の大学院生をしています。
三国志の研究を学んでいます。

とある対談動画を見ていました。ニュースや読み物、動画を配信しているサブスクリプション(定額制)サービスの運営者が、どうやってサービスを存続させるか??という議論をしていました。
「今月は配信が少なかった。でも、このサービスが続いてほしいから、サブスクの契約は切らずにおこう」と思ってくれる会員を、どれだけ作ることができるか。これが大事なのだ、と言ってました。

だれが言っているのか?によって意味が変わりますけど(一歩まちがえば、ただの搾取ビジネスになるので)、ぼくはこの発言に、一片の説得力のようなものを感じました。

世間一般の風潮、経済的な正義としては、「利用頻度の低い定額制サービスはどんどん解約しましょう」が奨励されている。分かりますよ。かつて買い切りだったビジネスモデルから、延々とお金を吸い取り続ける定額制のサービスが主流になった。
サービス提供者にとって最良の顧客とは、「契約していることを忘れて、無限に料金だけを払ってくれる顧客」です。あなたは搾取される側になってはならない、というのは、きわめて合理的なメッセージです。異論があろうはずがありません。定額制サービスの提供者は、満腹になることがないヒルに近しい(とも言える)。絡め取られてはならない。

さてぼくらは、サブスクの利用者であるとともに、潜在的には全員がサービスの発信者になると思うんですよ。だから、料金を払う側としてではなく、料金を頂く側として上記の対談を見ることができます。それぐらいの心の余裕というか、意欲をもって眺めるとき、「そうそう、そういう活動がしたいものだな」と感じます。

いじわるな見方をすれば、「未来永劫、自分でサービスを提供することがない大衆に対し、自分もサービス提供者の一員なんだと錯覚させ、対談動画に釘付けにし、再生時間を稼ごうとしているのだ」という見方もできましょうが、それは(正しいけれども)心がひねくれてます(笑)。

ぼくが思うに、単月でコスパが悪いから、速攻で「家計の健全化」のために契約を整理するという態度は、ぎゃくに貧困というか、窮屈で貧しいような気がします。「今月の発信がほぼなくても、毎月500円なり1,000円なりを払いたいと思えるような発信者、サービス提供者を見つけられるような人でありたい/なりたい」と思ってます。
本を買うお金がないことよりも、買いたい本がないことのほうが不幸だと思っているんですよね。もちろん、「本」である必要はなくて、ここには皆さんの好きな媒体・経験の種類を代入してください。

あくまで一般論として書いています。なんなら、上の動画に出演し、「サブスクを解約せずにおこうというファンを作りたい」と言っているひとの提供しているサービスを、ぼくは契約していません。
このnoteの記事のあと、「そんなアナタは、このサービスに契約すると幸せになれますよ。投げ銭こそ尊いんですからね」と続いたら、とたんに胡散くさくなるというか、詐欺師ムーブだと思いますけど、そういうことじゃないです。サブスクとの付き合い方、世間との接点の持ち方として、それぐらいの余裕と意欲を持っていたいというお話でした。

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