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桃太郎を迎え撃て(VS岡山)

2連勝のあとの岡山戦。上位陣が揃って白星を続けているいま、同じように上昇気流に乗れるか否かはこの試合にかかっています。イヨンジェという強力なFWを擁する岡山にどのように戦ったのでしょうか。

蜂と桃太郎の陣取り合戦(前半序盤)

岡山4-4-2、福岡も今までどおりの4-4-2で始まった序盤、互いに相手コートでのイニシアティブを取ろうと長短のパスを織り交ぜてアタッキングサードへの侵入を試みようとします。そのため、ゴールキックや、GKからのパントキックが蹴られる場合も、相手コートに蹴りこみ、陣地回復を図っていました。これは福岡にはフアンマ、岡山にはヨンジェが居るからこそです。この状況は試合終盤まで続きました。

変化の岡山。継続の福岡。(前半中盤〜終盤)

ボールが地上で落ち着くにつれ、ボールをポゼッションし始めた岡山に変化が出始めます。左SBがWBの位置まで上がり、19番の上門がポジションを中に移動し、ヨンジェをトップにした3-6-1の形を作ってアタッキングサードでの数的優位と、マークのミスマッチを作ろうとしていました。岡山は、ボールを保持する場合はこの3-6-1を、守備時や速攻時には4-4-2を、といったように使い分けていきます。

これに対して福岡は横のスライドを速くして対応していきました。

そうして一進一退の状況を見せていた40分頃、増山のキープからエミルにボールが渡り、相手の頭を越えた所に位置していた石津が見事なトラップからのハーフボレーで先制点を取ります。これぞまさに石津の真骨頂、といった鋭い弾道でした。


その後は、目立った展開もなく前半終了の笛を迎えました。

福満のタスク

特筆すべきものとして、今回FWとして起用された福満のタスクは多岐に渡るものでした。攻撃の選手としてフアンマの相棒は勿論のこと、岡山のDFラインからのパスがボランチや中盤に入ってきたFW、SHに通らないように阻害していました。このタスクの遂行により岡山の縦のパスが入りにくくなり、ほぼ右サイドからの攻撃を無効化していました。逆にフアンマが担当していた岡山から見た左サイドの攻撃が多かったのは、プレスやパスコース阻害が効きにくかったことによるかもしれないと推測されます(線の中が福満がカバーしている範囲)。

詰める岡山。カギは上門。(後半序盤~中盤)

後半は岡山がよりボールを保持する時間が長くなります。これにより、3-6-1に変化した際に一つ中に移動し、インサイドハーフ化する上門を使って執拗にハーフスペース攻略を図ります。上門はボールキープ力に優れ、また展開力もあることから、まさに適材適所ではないでしょうか。実際、何度か陥れられそうな場面もあり、後半最大の危機とも言えるフリーキックの場面も作られてしまいました。ここで、セランテスのスーパーセーブが出たことで事なきを得ましたが、岡山の狙いがハマった一つのシーンと言えるかもしれません。

ここで、セランテスのセーブに少しだけ言及します。映像を見返したところ、彼が最初にポジションを取った位置が若干左目でした。もしかしたらキッカーにボールをあそこに蹴らせるよう誘導していたかもしれません。本人に聞いてみないとわかりませんが。

4-4-2と勝ちにこだわる。(後半終盤)

福岡は77分に遠野、前、湯澤を投入し試合のクローズに入ります。ここで、これまでとは違うところがありました。4-4-2の維持です。前節までは湯澤が入ることは、5バック移行へのベンチからのメッセージのようになっていましたが、今回は、増山がいたポジションにそのまま入りました。これは、前線からのプレスの維持という面もありますが、前の復帰もあると思われます。中盤でのボールの奪取と、展開に優れる前がボランチに入ることにより、守備の面での安定も図れることから、4-4-2を残り数分まで使える目処が立ったのではないでしょうか(残り数分は放り込み対応のため5バックに移行)。

総評

今回のポイントは、

・戦術の醸成

です。

これまで、守備と攻撃をこなすためにコンパクトな陣形を取ることから、サイドチェンジなどにより4バックのボールとは逆サイドのスペースを使われることが数多くみられました。

この解消のためには、DFとMFの2ラインの速やかなスライドが必要となりますが、共通理解が進んだことにより、きちんとした素早いスライドが見られるようになりました。

また、ボールの位置によるプレス位置の浸透も図られていることから、そもそもボールホルダーに展開をさせない、といったことにも成功しています。まさに戦術の浸透といってよいと思います。

ただ、いまのところ、まだ守備の面しか大きく見えません。しかしながら、良い状況でボールが取れる回数が増えれば、比例して相手ゴールにチャレンジできる回数が増えることから、攻撃の方でも戦術面の成功が見られるようになるのではないでしょうか。

まとめ

久々の3連勝です。連休の最終日を喜びと共に迎えられたのは本当に素晴らしいことですね。

このまま勢いに乗っていけるよう、私たちサポーターは、声は出せませんが拍手やリモート応援、そして無言の圧でアビスパを支えて行きましょう!

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