自分を出すこと、あきらめんなよ。

僕はいつも少数派だ。

そんな気持ちは
小学校の頃から今にいたるまで
全く変わっていない。

僕が今までハマってきたものを
挙げてみると、

・ヘヴィメタル
・禅
・ジャズ、フュージョン
・バーで飲むこと
・ちょっと人には言えないこと
・茶道
・米作り
・合気道
・陰陽五行思想 ……


偏りまくったジャンルであることに加えて、
ひとつひとつのジャンルの中でもさらに偏った部分に
興味を持っていることが多い。

こんな話を気軽にその辺の友達に話しても
楽しめることなんてあり得ない。

僕は子供の頃から、
本音と建前はかなりしっかりと分けて
暮らしていました。

ひとりぼっちになるのは
怖かったしね。


でもね、
本心を隠して建前の気持ちで暮らしていると、
だんだん自分が何をしたいのか、
何を楽しいと思っているのかわからなくなってきて、
しんどくなってくるんよね。


僕が本当に思っていることと、
実際に僕がやっていることが
繋がらなくなってくる。

一生懸命やっていい結果もたくさん出てくるけど、
心の底から喜ぶことはできない。

これって、
僕の本心からずれていることをやっているから、
僕のやったことで何かうまくいったとしても、
それは心から楽しめないものやった。

だってこれは
当たり前のこと。

自分が本当に行きたいと思っていない場所に向かって
一生懸命走っていくんやから、
そこに着いた時に「やった〜!」って心から思えないのは、
そりゃ当たり前のことや。

さらに具合の悪いことは、

一生懸命やっているけど、
それは僕の本当にやりたいことじゃないから、
全身全霊で動けるわけじゃない。

どこかでブレーキを踏んでいる自分がいる。

アクセルとブレーキを同時に踏みながら
走っているようなもんやから、
結果が出たとしても
そこまで大きな成果は出ない。

中途半端な成果、
本心から喜べない達成感、
その割に大きい疲労感…

これらが
僕にもたらされた恩恵だった。


それに気づいて、
僕はもう建前で話すことをやめることにした。
建前で何かをすることをやめることにした。

そうすると
とても大変なことが
次々に起こってきたよ。

友達は減る。
夫婦関係が悪くなる。

これまでやってきたことをやめて
本当に自分がやりたいことをやるんや、
と決めても、

じゃあ
何をやって今までと同じ生活基盤を作るには
どうしたらいいかわからない、
しかも短期間に。

だって
生活は待ってくれないからね。


僕には幸い、バー時代に稼いでいたお金があったから、
それを切り崩してもがいてみたけど、
一向に光なんて見えてこない。
お金なんてあっという間に飛んでいくし…。

光の速度なんて
初めて見たわ…


そして離婚。

僕は
最愛の子どもたちと時間を共に過ごすことが
できなくなってしまった。


そして、いろいろ縁があって
子どもたちとは約500km離れた土地に
僕は落ち着くことになる。


その後ひょんなキッカケがあって、
無農薬の米作りを教えるワークショップを
開催することになった。


なぜ僕がバーテンダーから農家に転身したのか?
なぜお米を自分の手で作る必要があるのか?


米作りのイベントなので、
米作りに沿った話をする中で、
僕が日々大切に想っていることを
伝えていくことに専念する会を目指した。

すると、
僕に大きく共感してくれる人に
たくさん出逢えるようになってきたのだ。

もちろん100%共感しあえるなんてことはないけど、
深い共感の中で多くの人たちと作業する、生活を共にする、
そんな感触で生きていくことはできるんだ、

と思えるようになった。


これは嬉しかったね。
こんなマニアックな僕にも仲間ができた。


でもこれで
僕の物語は終わらないんよね。

来年からこの米作りワークショップを大きくして、
日々の暮らしと自分の心を大切にしながら生きられる方法を
探していく仲間たちを作りたいなあと思って動いているうちに、
僕は末期ガンになってしまった。

スピードの速いガンで、体力も奪われ、
一気に生死の境目まで追い込まれた。

当然農業なんてする身体なんて
残ってはいない。

喉のガンだったので食べることもできなくなり、
話すこともほとんどできなくなり、
一日のほとんどの時間を痛みに堪えるだけの時間に費やし、

生きているのがやっとの身体になってしまった。

あっさり死ねたら
こんな苦痛に耐えなくても楽になれるんやろなあ、
なんて思う日々。

今まで見聞きしてきた中では
あっさり逝ってしまう人もいるのに、
僕の場合はなかなか逝けない。


「僕は何のために生きてきたんやろう?」


布団の中で苦しみに耐えながら、
僕は毎日そんなことを考えていた。


そんな時閃いた。


なぜ僕は、
バーテンダーに憧れたか?

たまたま僕がアルバイトしていた店のマスターをはじめ、
みんなが本気で生きている姿を見てかっこいいと思ったから。


なぜ僕は、
やっとなることのできたバーテンダーをやめて
農家に転身したのか?

いい食べ物を食べると身体も心も満たされ、
自分が満たされたら、
不思議と他人にも共感することができることを知った。

だからもし、
この社会のみんなが
もう少し自分を満たす暮らしを送ることができたのなら、
この世界はもっと平和になるのではないか? 
そう思ったから。


僕の本心は
農家になることではなかった。

周りの人たちが満ちていくため、
サポートできる存在になりたかった。

周りの人たちが元気になっていくため、
サポートができる存在になりたかった。


満ち足りる…
元気…
元気ってなんや?

元の気?
この世界を創っている元々の気?

それって愛のことなんとちゃうの?

たまたま僕は食の世界にいたから、
その中の選択肢としてお米を選んだけど、
本当のところは、
僕は愛のおすそ分けがしたかったからじゃないの?


やっと繋がったんよね。



僕が生まれてきてから
今までやってきたことの意味が。

しかもこんな
死ぬギリギリになってから。


こんなことに気づけたのも、
苦しみながらでも生き続けることができたからや。


苦痛に耐えながらも
途中で生きるのを諦めなかったから、

そして僕の命を終わらせようとさせなかった
いろんな存在のサポートがあったから、

こんなことに気づけたんやと思う。


だからどんな状況になっても、
自分を出すことを諦めないで。
ギリギリでも諦めずに自分を貫いてほしい。

僕はそう想うよ。

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