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情報公開(開示)請求で「のり弁」を白くするためには、の巻。

 名取市議会議員のさいひろみです。

 職業柄(?)、情報公開請求(開示請求)を良く使っています。

 相手はもちろん名取市ですが、この他にも、一部事務組合の亘理名取共立衛生処理組合、時には宮城県だったりです。
 県内で名取市に関連する行政を相手にしています。

 この情報公開請求の手続きで、一番勉強になったのは、亘理名取共立衛生処理組合(以下、亘名組合)を相手にしたときでした。

◇ 亘理名取共立衛生処理組合(亘名組合)ってなに?

 亘名組合は、一部事務組合で地方公共団体になります。
 なので、条例などもそろっていますし、組合議会という議決機関もあります。
 条例の中には、情報公開条例もあるんですよ。これがあったので、活用させてもらうことにしました。

 欲しかったのは「管理者会議の議事録」です。

 管理者会議というのは、亘名組合を構成する、岩沼市、名取市、亘理町、山元町の首長の会議です。(現在の管理者は岩沼市長、他は副管理者)
 この会議録が文字起こしされているとの情報をつかんだので、公開を求めることにしました。

 当時、宮城県内では、放射能汚染廃棄物の一般ゴミとの混焼問題があって、亘名組合の対応がどうなるのか動きをつかまなければならない重要な局面だったのです。

◇ まずは条例を調べよう

 情報公開を求める!といっても、色々ルールがあります。なので、まず調べたのが条例(の内容)です。条例には、手続きや公開の条件が書いてあるのが一般的です。
 幸いなことに、亘名組合はネット上に例規集を公開しています。

 この中から条例と条例施行規則を、よーく読むところから始めました。
 そして施行規則に、開示請求の書式があるので、これを参考にワードで開示請求書を作ります。

 欲しい文書のところには「平成28年度第5回亘理名取共立衛生処理組合管理者会の議事録等」というのを書きました。
 さくっと書いて、これを組合事務局の窓口に持って行ったんですが・・・。

 「そんな文書はない」「あったとしても公開できない」「一般的に見せられるものではない」などなど、拒否られる(?)のなんのって(^^;)。

 いわゆる昔の行政みたいな感じでした。
 こういう対応には慣れている(?)ので「情報公開条例があるから、受け付ける義務がある」「受け付けてから非開示でも不存在でも、正式な返答ください」ということで、半ば押し付け(?)みたいな感じで提出完了です。

 亘名組合の場合は、15日以内に返事を出すことが条例で定まっています。(以下、条例の引用)

第10条 実施機関は、開示請求書が提出されたときは、当該開示請求書が提出された日から起算して15日以内に、開示請求に係る行政文書の全部若しくは一部を開示する旨の決定開示請求に係る行政文書を開示しない旨の決定、前条の規定により開示請求を拒否する旨の決定又は開示請求に係る行政文書を保有していない旨の決定(以下「開示決定等」と総称する。)をしなければならない。ただし、第6条第2項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。

◇ 非開示決定が出たけども・・・。

 そして「非開示です」との電話での一報。数日後に正式に来たのが「行政文書非開示決定通知書」でした。

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 初めての開示請求で見事に非開示決定でした。

◇ 異議申立てをしよう

 ここで引き下がるとそれまでになってしまうので、次のステップとしては、異議申立てです。
 この通知書の下側に「60日以内に異議申立てができる」と明記されています。

 なので異議申立書を書くことにしました。
 書式は自由ですが、感情的に「公開しろ!」というのは書いてもしょうがないので、A4用紙数枚にわたって、行政文書のあり方や、公共団体の情報は、住民に対して非開示にする理由がないことなどを理路整然と書いたつもりです。
 期限が60日以内なので、ギリギリまで内容に検討を加えています。

 亘名組合は、異議申立てされた場合の経験が無かったようで、名取市の情報公開担当や、他の自治体に条例の運用、異議申立てされた場合の情報公開審査会の運営などを相談したそうです。

 約半年後、管理者から情報公開審査会の答申及び非開示決定の変更についてという文書と、答申書と資料をもらいました。厚さにして15mmくらいです。

 数回開かれた審査会での議論の様子や、参考にした判例、審査会に提出されたであろう資料などが綴られたものです。審査会に参加した委員のコメントも入っていて、賛否も読み取ることができました。

 結果として、非開示だったものが部分開示になりました。こんな感じで、真っ黒が多いこと多いこと・・・。

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 中間ページは真っ黒なので、まさにのり弁当状態(^^;)。実物は下記からご覧下さい。

 ただ、答申書には「終局的な意思決定をした後は、・・・非開示情報を含む文書であることを理由に、その開示を拒んではならない」と結論づけられたので、区切りが付けば黒塗りが取れることが明確化されました。

◇ その後、時間が経つと・・・。

 時間が経って、報道などで亘名組合や宮城県全体の対応が出てきたので、改めて開示請求をしました。

 すると真っ黒だったのがキレイに取れた文書が公開されました。(上3枚の写真で、全体が真っ黒だったページ)

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 読んでみると、重要な議題なのに、割とあっさりした議論だな、と私は感じました。
 また、この当時の環境省や県の言い分が正しく、他の学者の言っていることには疑問や少数意見のようにとれる発言などを見ることができました。
 下記からご覧下さい。

◇ まとめ

 情報公開請求は難しいことじゃないです。
 地方行政の場合、国が相手の請求とは違って、ちょっと手間がかかるのは条例を読むことでしょうか。いろいろ条件、例えば申請の仕方や、異議申立てをするときなど
出てくるので、それに合わせた対応が必要になるからです。
 それでも理解できれば、難しいことではないですよ。

 この後も情報公開請求を繰り返すことになったのですが、亘名組合の応対も良くなりました。また、回答が出てくるまで速くなりました。鍛えられた(?)のではないかと考えています。

 情報公開(開示)請求で、行政が変わったことを体感できましたし、良い勉強になりました。

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