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住みにくい星


せがれの風邪がダンナに感染り、ダンナの風邪が私に感染った。せがれもダンナも2、3日寝ただけでピンシャンしているが、私は4日を過ぎても熱が続き、頭と喉が痛い。またコロナが流行ってきたので医者にいくべきか悩んでいるが、近所のかかりつけ医は夏休みだ。月曜には開くだろうが暑い。病身でおもてに出たら死ぬんじゃないかと思う。またコロナが五類に移行したおかげで薬が高い。既往症のある私はそうでない人よりさらに高い。つらい思いをして金もとられる。世の中真っ暗闇である。

去年の夏も暑かったが、今年も異常だ。夕方になるとゴロゴロ雷が鳴り、ザーッとスコールが降る。これじゃヨロンにいた頃と同じだ。いや、ヨロンより暑い。ハイビスカスもついに屋外で越冬したし、ズバリ亜熱帯である。
来年には熱帯になっているかもしれない。

温暖化は地球規模の問題なので、山火事や洪水や海流の変化など問題山積みである。海水温も全体的に上がっているから魚の生息地が変わったり、サンゴが被害を受けたりしている。魚に関しては私の愛するインドまぐろが豊漁なのはうれしいが、以前より多様性がなくなったような気がしている。やたらとブリが安い。カツオも安い。夏の魚ってこんなだったっけ?

サンゴは伊豆あたりまで北上しているようだ。水温が上がって生息域が広がっているのだろう。が、南の珊瑚礁は暑過ぎて弱っている地域もある。私が初めてヨロンを訪れた1999年は世界レベルで海水温が上昇した年で、あちこちのリーフで白化現象が見られた。こうなってはお陀仏ということで裏寂しい景色となる。サンゴが弱るとオニヒトデが蔓延るのでこれも駆除しないといけない。温暖化は海の中にも大きな影響を与えるのだ。

ところが今年の4月にヨロンを訪れた時には今までに見た事がないほどサンゴが元気で、お魚だらけであった。ウミガメもいたし、百合ケ浜(大金久海岸沖にあらわれる幻の砂浜)もいい感じで出ていた。サンゴが再生するには長い時間がかかるというが、それにしても逞しい自然の姿に嬉しくなった。台風は島の人にとっておそろしいものだが、波と風で海中をかき回し、水温を下げるという効果があるそうだ。もともと旱魃になりやすい島だけに台風の雨水も貴重だ。時折り屋根が飛ぶこともあるが、島の人々は島の天候と共に生きている。

南極の氷も北極の氷もどえらい勢いで溶けているから、すでに海面上昇で家や村を失った人たちがいる。CO2もなかなか減らないし、放射能廃棄物の問題もなんでこんな難儀なことを始めたのやらと思うし、地球は人間たちの手ですっかり住みにくい星になった。
ただでさえこんなに住みにくいのだから、わざわざ戦争などして殺し合わなくてもいいのに。さんざんいがみあってきた歴史があるのに、いつになったら学ぶのだろう。多くの人がそう思い、終わらない戦争がある。地球に巣食う人間は、まこと因果な生き物だ。


#地球温暖化
#創作大賞2024
#エッセイ部門

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