【今日のコラム:嘘のようなホントの事件】
私は中古のロードスターNC(2006年製)を乗っている。
約半年まえに65万円で買ったがこれが良く走る。
とうてい、20年近く前の車とは思えない。
ひとつ難点なのは、ロードスターと言えば、オープン走行であるが、
私のはフォロが布(?)のタイプなので、オープンにしようする場合、
どこかに車を停めて、手動でフォロの開け閉めをしないといけない。
これが面倒なので、ほぼオープンにはせず、屋根付きで乗っている。
つい先日の話である。嘘のようなホントの事件が起こった。
事故とでも言えようか。
信号待ちで、私の前の車もロードスター(最新式であった)であり、
フォロが金属で出来ているため、ボタンひとつで、走行中でも、
オープンに出来るのだ。オープンになるまで、確か12秒と最速と言えよう。
天気は気持ちの良い青空。
信号が青になり、前の車が動いたと同時に、屋根(金属のフォロ)が開きだした。
おお~、やっぱいいなあ、その時の気分で、ワンタッチでオープンに出来るなんて!
前の車のオヤジがフルオープンになったころ、2速から3速へ加速。
さらにスピードがのってきたころに突風が。気持ち良いだろうなと思ったその時、なんと、そのオヤジのヅラ(かつら)が吹っ飛び、私のロードスターのフロントガラスに張り付いたのだ。えっ?!と思ったが、運転側のフロントガラスに、とんで来たヅラが張り付いているので、前がみえない。こりゃ危ないと思い、ワイパーで強引に吹き飛ばして、サイドミラーから遠ざかるヅラを見届けた。
やべ、なんて酷いことを、本来は降りてヅラを取って、前のオヤジに渡すべきだった、が時すでに遅し。ヅラは後方車両数台に踏んずけられ、ヅラの原型をとどめていないのが確認できた。気になったの、もちろん前のロードスター(新型)の禿げオヤジだ。
慌てているかと思ったら、何もなかったように、(より)涼しげに、ギアを上げて、加速していた。必ず、ヅラが飛んだのは気づいているはずだ。しかし、私が彼の立場でも、もう諦め、恥をさらすくらいなら、知らん顔して加速するわな、と思う。
今日の朝の話である。
いつもの通勤道路で信号待ちをしているとき、何となく電信柱に目をやった。
電信柱には張り紙が貼ってあった。
目をこらしてみると、「この周辺で、このカツラを見かけませんでしたか。みつけた方は此方の携帯番号にお知らせください」と書いた張り紙だ。
新型ロードスターのオヤジ、諦めていなかったのね。しかし、残念ながら、私の知る限り、もう使い物にならないくらい、ズタボロになってるよ、と笑いを堪えながら思った。
こうして、ああ、新型のワンタッチでメタルフォロが開くタイプに乗っていなくて良かったと、心底思った。
それ以前に禿げていなくて良かったと思ったのは当然のことである。
良く出来た話で嘘と思うかもだが、これは本当にあった恐ろしい事故だ。
つづく
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