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セミオトコと音楽文

本日、ドラマ『セミオトコ』についてRCサクセション&BUMPの音楽文として、掲載していただけたので、補足を書きたくなり、音楽視点ではなく、ドラマ視点で少しだけ、書いてみようと思います。

ほとんどドラマレビューみたいなことを書いてしまいましたが、投稿文に書いた通り、ドラマの根底には「スローバラード」の世界が描かれている気がして、これは音楽文になる!というか、音楽文にしたい!という気持ちが湧き上がり、長々と書いてしまったというわけです。

バンプを登場させていいものか迷った挙句、ドラマが放送されていた夏の時期、目覚めた瞬間、聞こえて来たセミの声と『ガラスのブルース』がリンクして、猫とセミは同じだ!とひらめいて、どうしても双方を絡めたくなったというわけです。

セミオトコのノベライズ本が発売されることを知り、発売されるとすぐに購入。リアルノートにメモしていた気に入ったセリフを確認しつつ、音楽文の執筆に取り掛かりました。

少し前に映画『アイネクライネナハトムジーク』についての音楽文を書いた際、斉藤和義を対象とした音楽文として掲載してもらえると思っていたら、タイトルに伊坂幸太郎の名前も書いたせいか、伊坂幸太郎の音楽文としても掲載されているため、今回は岡田惠和という名前は敢えてタイトルからは外しました。本当は岡田さんのことを一番書いたようなものだから、タイトルに含めたかったけど、厳密にはアーティストではない伊坂さんとか岡田さんを音楽文に書かれたアーティストとして残してもいいものかと少し悩んでしまったためです。

そもそも私は正統な音楽文が少なく、悪目立ちしてたらどうしようとか、そもそも掲載されるかされないかのギリギリの辺り(掲載基準は不明だけど)で書いていることが多いと思っていて、音楽文らしくするために、せめてタイトルは音楽に寄せようと努力しているつもりです。

話がかなり脱線していますが、肝心のセミオトコについて。毎回泣けるシーンがあったし、むしろ常にクライマックスだったし、セミなんてほんとはめっちゃ地味で、嫌われ者なのに、そんなあまり主役になれそうもない生き物を敢えて主役にしてしまって、しかも人間版を山田涼介というイケメンに演じさせてしまったところが、意外性があり過ぎて、まずは引き込まれる一因となりました。

続いて、ヒロインは演技力あり過ぎの木南晴夏のため、毎回安定感のあるこじらせ女子を楽しむことができました。

脇役の方々もキャストとして申し分なくて、冴えないように見えるそれぞれの人物像を巧妙に演じていて、実はみんな理由ありで、影を抱えた人生を送っているところが、さすが岡田さんの脚本だなと感動しました。

それぞれの人生にスポットライトをあてて、それぞれスピンオフドラマにできそうなくらい魅力的な人物ばかりでした。

岡田さんが人物たちに語らせる、やさしくて深いセリフのひとつひとつが心に刺さって、まさに私が描きたい世界はこれだ!と思いました。まるで今田美桜演じるデザイナー志願の美奈子ちゃんが百徳着物と出会った時と同じような心境です。

セミが人間になって恩返しをするとか、短い命を大切に生きるとか、なかなか浮上できず、セミのように潜って生活していた人間を輝かせるとか、虹が出たら流れ星の時と同じように願い事を言うとか、童話のようなのに、妙にリアルな部分もあって、よく出来た脚本だなと尊敬してしまいます。

ヒロインは27年間一度も浮上することなく、潜った生活をしていましたが、私もここ10年くらいは潜った生活をしていました。別にひきこもりとかではなく、戦場みたいな家庭の中で暮らしていて、余裕がなくて、たいした発言もできず、発信もできず、ただ日常に追われる生活を送っていて、ついに自己主張したくなったというか、地上に出たくなったんですよね。

基本的に謝ることしかできなくて、何も言い返せなくて、つらい思いとか悔しい思いばかりしていたから、そろそろ発言したくなり、いろいろ手当たり次第書き始めたというわけです。

理想的な世界を描いて、自己救済したかったのかもしれません。その理想の世界が岡田さんの描いたセミオトコでした。

「スローバラード」をチョイスした音楽センスも素敵だし、人間像も魅力的だし、それにうつせみ荘というみんなが暮らすアパートの内装とかもいちいちかわいくて、すべてが私好みでした。

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全然違うけど、自分の部屋でも使っている好きな色味(ミントグリーンとか水色)のステンドグラスが使用された窓が、なんて素晴らしい部屋なんだ!と思いました。

朝日が差し込むと柔らかい色味になるし、夜は部屋の明かりを通して深みのある色味に変わっていて、ああいう部屋に住みたいって思えました。

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衣装もそれぞれの個性に合わせた、洗練されたシンプルさが見られて、特に女性陣の衣装がかわいらしくて好きでした。おかゆさんのパジャマとか。

ひさしぶりに熱く語りたいと思えるドラマでした。主題歌がHey!Say!JUMP「ファンファーレ!」でしたので、一言くらい触れるべきかなと思ったのですが、音楽文には結局書けなかったので、ここで少し触れたいと思います。「ファンファーレ!」も普通に良かったんです。明るくて、まさにジャニーズという感じで。でも私はそれほどジャニーズの曲は知らないし、聞き込んでいないため、音楽文には書けませんでした。

少し熱っぽくて、なんだかとても眠いので、歯切れが悪いですが、今日はこの辺にしておきます。いい夢が見られそうです。

そうそう、絵本作家の春さんが絵本を仕上げて、おかゆさんにプレゼントするという流れも感動的でした。

<ぼくら夢を見たのさ とってもよく似た夢を>

  #岡田惠和   #セミオトコ   #スローバラード   #BUMP OF CHICKEN  #音楽文



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