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日誌2020/7/20 ラノベ&アニメ紹介1「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」

ふと思い立ったので、現在楽しんでいるライトノベル&それを原作とするアニメの紹介などしてみようと思う。

概要

 迷宮都市オラリオ
「ダンジョン」と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。未知という名の興奮、輝かしい栄誉、そしてかわいい女の子とのロマンス。
 人の夢と欲望の全てが息をひそめるこの場所で、少年は一人の「神様」に出会った。
 どの【ファミリア】にも門前払いだった冒険者志望の少年と、構成員ゼロの神様が果たした運命の出会い。
 これは、少年が歩み、女神が記す、【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】
              (アニメ公式サイトイントロダクションより)

通称 ダンまち

作者 大森藤ノ

作中世界は「モンスター」「魔法」「神様」が実在するファンタジー世界。

その世界に存在し、モンスターたちを生み出し続ける地下巨大迷宮「ダンジョン」
人類の脅威の源であると同時に莫大な富が眠るその秘境に挑み続ける勇者、或いは愚か者を人々は「冒険者」と呼んだ。
彼らは地上に娯楽と未知を求めて降り立った「神様」から「恩恵」を授かり、人を超えた力を手にして巨大迷宮に挑む。
舞台はダンジョン攻略の最前線であると同時に冒険者たちが集う世界最大のメガロポリス「オラリオ」

おとぎ話の英雄に憧れる田舎育ちの少年、ベル・クラネルは自らの「英雄願望」を叶えるため、そして「女の子との出会い」を求めてオラリオにやってきた。

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彼は二つの運命と出会う。

1人は女神「ヘスティア」
彼を守り育む慈愛の竈火(ウェスタ)

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もう一人は剣姫「アイズ・ヴァレンシュタイン」

初めての恋と鮮烈な憧憬を抱かせた、現代の英雄

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憧れた「剣姫」に相応しい漢になるため、そしてのちに抱くことになる「願い」のため、仲間と共に数多の困難を乗り越えて、優しい少年は英雄への階段を駆け上がる・・・というストーリーだ。


王道一直線の英雄譚

 

 世にライトノベルは数あれど、この作品ほど「英雄譚」という言葉に相応しい作品も数少ないと思う。

 そしてこの作品最大の魅力といえば、主人公ベル・クラネルである。

 子供の頃、おとぎ話や神話の主人公に憧れた人は多いはずだ。魔物を討ち、国を、人々を、愛する人を救うヒーロー。彼らのようになりたいと夢想する経験は誰にでもある。あるいは成長しても、自分がこの世で何か特別で、偉大なことを成し遂げたい、できるはずだと根拠もなく信じている。

 主人公のベルも最初はそういうありきたりな若者だ。優しく、甘く、未熟で楽観的。華やかな成功物語に憧れて、のこのこやってきた田舎者。

 憧れるのは若干16歳にして数多のモンスターを討伐し、人類最強の一人に数え上げられる剣姫。自分もそうなりたい、なれるのだと信じ込んで彼はダンジョンに足を踏み入れる。

 そんな彼を現実の洗礼が打ちのめす。

 英雄になれるのはほんの一握り。絶大な才能と不屈の闘志、そしてどうにもできない幸運を手にしたものだけが、その座に就くことができる。輝かしい栄光の下には無数の敗北者たちの屍が埋まっている。

 現実を知った時、人は折れるか妥協する。自分の限界を見極め、抱いた夢を大なり小なり諦めて、手に入る幸福で満足すること。それは全く恥じることではない。むしろ賢く、正しい生き方だ。

 だがベルは違った。

「優しすぎる、冒険者には向いてない」とまで言われた少年は諦めない。

 最初は憧れに追いつくため、そしてのちに自分が胸に抱くことになる理想を叶えるため、少年は目の前に迫る困難に立ち向かっていく。

 試練の形は様々だ。強大なモンスター、悪辣なダンジョンギミック。予期せぬトラブル、渦巻く人間の欲望と悪意。あるいは世界のシステム、神々の気まぐれ,etc. 手を変え品を変えてベルに襲い掛かる数々の困難は、ギリシャの大英雄ヘラクレスが乗り越えたという12の難行を彷彿とさせる。

 そうした困難に時に打ちのめされ、大事なものを失いかけ、嘆き、苦しみ、それでも彼は前に進む。一歩前に進むたびに、彼は一歩ずつ強くなる。

 しかしベルは「優しさ」を失うわけではない。数多の困難を乗り越えてなお、ベルは自分を見失わないのである。

 成長すれば、子供時代の純粋さなど失われるのが常だ。この作品に登場する「英雄」達も、並外れた人物達ではあるがそれまでの道のりの中で子供っぽさを捨てねばならなかった。世界の厳しさ、理不尽さ、或いは彼ら自身の野望が、純粋であることを許さない。

 そんな彼らの背中を追いかけながら、「優しさ」と「純粋さ」を失わないまま、ベルは強くなる。その危うく、愚かで、しかし輝くような在り方が、仲間たちを、冒険者たちをそして英雄たちさえ揺り動かす。

 ベルの生きざまに目を向けるのは人間だけではない。天上より来る神々でさえそうだ。好奇の目を向ける者、嘲笑するもの、彼を手に入れようとするもの。あるいは「最後の英雄」と呼ぶもの。

 一方では彼に助けられ、或いは彼の助けにならんと数多の仲間たちが彼のもとに集い始める。種族も職業も様々だ。人間、エルフ、小人、獣人、鍛冶師、魔法使い、斥候、妖術師、……

 頼もしい仲間たちと助け合いながら進み続けるその姿は、名高きアルゴナウタイの似姿だろうか。英雄イアソンが数多の勇者たちを一つの船に束ねて伝説となったように、ベルと仲間たちもまた伝説になる日が来るのかもしれない。

 この物語はベルがモンスターを打ち倒す物語であり、人を救う物語であり、そして何よりも白き少年ベル・クラネルが英雄となる物語なのである。


登場人物達

彼を取り巻く登場人物達も魅力的だ。

 普段は子供のような姿と態度でありながら、一点の曇りもない真摯な慈愛をもってベルと仲間たちを見守る女神「ヘスティア」

 非力で小さな体に秘めた、人一倍の知恵と勇気で少年を支え続ける小人の少女「リリルカ」

 気さくな兄貴分として、同時に誰よりも頼れる腕前を持つ鍛冶師としてベルと共に成長する青年「ヴェルフ」

 最初は友人として、のちに頼れる仲間として活躍する極東の女戦士「命(みこと)」

 ベルと命に救われ、か弱き姫君から仲間を支える妖術師になろうと奮闘する狐人「春姫(はるひめ)」

 ここには書ききれないが他にも数多くの魅力的なキャラクターたちが登場する。仲間として、敵として、様々な立場で登場し物語を彩る彼ら、彼女らは夜空に輝く星々のようだ。

 そしてベルの憧憬の対象である「アイズ・ヴァレンシュタイン」

 正真正銘の天才であり、現代に生きる英雄として最前線で命を懸けて戦う彼女もまた、ベルと交流することで変化を得る。頼もしい先達の英雄や才気溢れる仲間たちとは異なるベルの生き様が、ひたすらに続く戦いの中で彼女の心を支配せんとする「黒い炎」から彼女を守ることになる。

 英雄を目指して少年が強くなるように、英雄もまた少年の生き様から失いかけたものを取り戻し、更なる一歩を踏み出すのである。


壮大な世界観

 

 物語の舞台となっている世界もまた魅力的だ。

 メインの舞台となるダンジョンは数えきれないモンスターや悪辣な仕掛けをもって主人公たちを迎え撃つ。ミノタウロス、ドラゴン、巨大昆虫、植物クリーチャー、アンデッド、巨大なボスモンスターまでより取り見取り。

 原作の文章からは広大且つ脅威に満ち満ちたダンジョンの様相が生き生きとして伝わってくる。

 多くのストーリーはダンジョンと都市オラリオで展開されるが、時としてベルたちは都市外で冒険を繰り広げることになる。広大な世界には数多の都市と国が存在し、多様な人々が生活している。

 アニメ映画では実際にベルたちが都市外の秘境を訪れた。

 また大森先生はこの世界の歴史もまた詳細に作りこんでいる。

 千年前、いまだ世界中にモンスターがあふれていた古代。その時代に人類の絶滅にあらがい、未来への希望を託した数多の英雄たち。

 同時に、古代のダンジョンから飛び出した最強のモンスターにして、今もなお地上の厄災として君臨する「黒竜」などなど。

 オラリオとダンジョンを中心に組み上げられた壮大な世界観が、キャラクターたちの活躍をより一層際立たせる舞台として機能している。

 今もなお成長し続けるベルは、やがてこうした世界の根幹にかかわる謎、冒険に挑むことになるのだ。


ぜひ一度

 もし、この記事を読んで少しでも「ダンまち」という作品に興味を持って頂けたなら、ぜひ一度原作小説第一巻を読むか、アニメを視聴して頂きたい。

 ベルと仲間たちが織り成す英雄譚を楽しんでくれる人が一人でも増えたら、ファンとして嬉しい限りである。

また更にこの世界を楽しみたいという方はこちらのスマートフォンゲームもお勧めだ。


10月からはファン待望のアニメ第三期放送が予定されている。

これまでの原作における最大の山場にしてベストバウトが描かれる予定となっているため、自分としては今から待ち遠しくて仕方ない。


この記事ではできる限りネタバレを避けつつ、この作品の魅力を伝えられるように書いたつもりだ。

拙い文章ではあるが、この記事が少しでもダンまち読者を増やす役に立てば幸いである。



 

 


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