マガジンのカバー画像

小説『時をかける彼女』

17
運営しているクリエイター

記事一覧

小説『時をかける彼女』エピローグ

          エピローグ・・・・1999年・・・・  1979年の夏、僕たち火縄銃はEAS…

青木宏野
4年前
4

小説『時をかける彼女』⑮

第15話 Hazuki did it her way. 「ケンジ!」  葉月の呼ぶ声がした。  あわてて立ち上がり…

青木宏野
4年前
3

小説『時をかける彼女』⑭

第14話「このダウン、記念にもらってもいい?」  着いた先は夜だった。相変わらず寒い。しか…

青木宏野
4年前
5

小説『時をかける彼女』⑬

第13話「葉月は21世紀の女の子なんだよ」  ドアを開けるスイッチを探して押し、バスを降りた…

青木宏野
4年前
3

小説『時をかける彼女』⑫

第12話 ケンジは思わず葉月を強く抱きしめた スキーバスはすぐに郊外に出た。関越にのるのか…

青木宏野
4年前
5

小説『時をかける彼女』⑪

第11話「お母さんが死んじゃったんだよ!」  恵がケンジとの間にできた子どもの葉月と二十一…

青木宏野
4年前
4

小説『時をかける彼女』⑩

第10話「しっかりしてよ、お父さん!」    翌日の午前中は火縄銃の練習日だった。EAST WESTを前にした最後の練習だ。  演奏の準備をしていると、葉月が5分ほど遅れてスタジオに入って来た。その姿を見て、野郎どもはみんな歓声を上げた。 ジョニー・ロットンの顔がプリントされた長袖の白いTシャツにエナメルの黒いミニスカ、赤いピンヒールという出で立ちだ。Tシャツにはところどころ安全ピンがさしてある。髪はショートカットにして、ディップローションを塗っているのかバッチリ立っていた。

小説『時をかける彼女』⑨

第9話「二十世紀が居心地いいのは、自分はみんなとは違うんだとあたしがきちんと意識してるか…

青木宏野
4年前
3

小説『時をかける彼女』⑧

第8話「お母さん・・・・」葉月は写真を見ながら静かにつぶやいた 家に戻ると母親も妹もまだ…

青木宏野
4年前
8

小説『時をかける彼女』⑦

第7話「ケンジはハーちゃんのこと好きなんだろ?」 「ケンジ、今日ヒマ?」  扇風機に当た…

青木宏野
4年前
5

小説『時をかける彼女』⑥

 第6話「ケンジ、サイテー!」  その翌日は火縄銃の練習日だった。スタジオに行くと岩澤が…

青木宏野
4年前
4

小説『時をかける彼女』⑤

第5話「つくづくめんどくせえ時代だな」  夏休みになった。高校最後の夏休みだ。  旭高校…

青木宏野
4年前
7

小説『時をかける彼女』④

第4話「ということは、ノストラダムスの大予言、外れてるじゃん」 7月頭の期末テストが終わ…

青木宏野
4年前
6

小説『時をかける彼女』③

第3話「なんでいきなり電話が出てくるんだよ」  火縄銃はケンジが3月にオーストラリアの留学から帰ってきてすぐに結成した。留学する前までは、ケンジはディープ・パープルのコピーバンドを組んでいた。かたや清水はこの3月までレッド・ツェッペリンのコピーバンドを組んでいた。  しかしセックス・ピストルズの登場に衝撃を受けていたケンジたちは、それまでのハードロック路線を捨て去り、パンクに転向したのだ。  練習はこの日でまだ4回目だったが、さすがにセックス・ピストルズの曲はパープルやツェ