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【過敏性腸症候群】トイレの神様に祈ることについて(後半)


本当に治したいんだが…

薬をもらい始め、毎食ごとに飲む日が続くが、やはりいい日と悪い日があり、そしてそれが起こる原因がわからなかった。
薬を飲み忘れた日は不安になるし、飲み忘れたのに無事に一日が終わる日もある。けれども、社会人になってから「お腹痛いです…」と治るまで30分くらい居なくなる、職場のいろんな人が使うトイレを占領する(10個とかあればいいけど、そんなにない!!!)、その日の体調に気を遣う、お昼ごはん食べた後の胃と腸の動きを見極める(かなり難しい)ことに変わりはなかった。
1日だけのお出かけもランチ食べるという一番楽しくて「どこにする?」とまず一番初めに決めることが憂鬱だった。14時集合とか、お茶だけ(昼ごはんがネック)の夕方だけ、体調を少しでも整えて参加できる夕方の飲み会(もちろんその日他に予定はないことが前提)の方が、私はよかった。
しかし、好きな演劇を観に行って、幕の途中で席を立つことも何度かあり、せっかくのシーンが見られなかったり、もちろん同行者いたりで気持ちのいいお出かけがなかなかできなかった。
 また、おしりの方が一度限界になり、切れ痔にもなってしまった。二十代半ばで痔の専門医に行くという…地元の病院に行く勇気はなくて、少し離れたところまで電車で通った。早めにいったおかげで、飲み薬と塗り薬ですっかり良くなった。しかし、短期間とはいえ交通費と薬代、実家住みとはいえ、年間10万かからないとはいえ、若いうちの医療費負担は堪えるものがあった。
 一度仕事を変えてやめた時、落ち込みもひどく一時期精神科で薬をもらったことがあった。その時改めてやはり体を整えなければ今後仕事を続けるのもつらいと思い、「過敏性腸症候群 病院」でネットで探すことにした。
すると…精神科や心療内科など、過敏性腸症候群ではかかったことのない科名がたくさん出てくる。家からは遠くて乗り換えも必要になるが、もう次のステップに進むしかないと思い、そこの診療を受け始めた。

・ジェイゾロフト(ジェネリック医薬品だとセルトラリン)

選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)となり、脳内のセロトニン(うつ病の人の脳内に少ない、気分の落ち込みに関係している)という物質が吸収されるのを阻害することにより、セロトニンの数を増やしてやるという仕組みになっている。

大学で精神医学の授業を取った時、度々聞いた薬品名。私もついにデビューなのか!!!ちょっと身構えても締まったが、同じように聞いたことで、海外は精神科やカウンセリングのようなものがより身近にあって、利用されているということだ。どうしてもまだ日本では抵抗があるが、社会生活を送るためにやれることをやるというのは、より開かれたものとして考えなければと思った。
はじめは、副作用にもある気持ち悪…と思うこともあったり、タイミング間違えて飲み会などあり、最悪な状況にもなった(アルコール×と処方箋に書いてある)
なので量を増やしたときや、飲み忘れとかあると、頭くらっとしたり、飲み忘れ後に飲んだ時に体内の成分が変わるのを感じ取るのか、胸やけのような感じがすることもあった。
しかし確実なのが、今までの対症療法みたいなのをしていた時より、明らかにお腹を壊す機会が減っている!!!ということだ。
最大1日100ミリグラムまで増やし、その後少しずつ減らしていくという体調を見ながらの調整がつづいた。先生は、その間の体調の様子や環境の変化を聞いてくれてストレス具合もかんがみてくれた。カウンセリングルームも併設している場所だったが、希望しなかったし、状況として薬物療法で効果が出てきたので、カウンセリングはなかった。
病院と薬を変えて約2年少し、薬をもらうのを卒業することができた。もちろんずっと付き合っていくタイプの病気なので、おなかが痛くない日がないわけではない。他の理由で壊すこともある。
突き詰めれば腸の問題は自律神経的な側面があるので、ちょっとした睡眠不足、いつもと違う食事時間、残業や土日出勤でサイクルがずれることによって起こされることもある。

IBSだけじゃない。また始まった。

過敏性腸症候群による腹痛や下痢の頻度が少なくなったおかげで、日々のストレスや自律神経による影響、そしてさらに『月経前症候群(PMS)』の症状があることが分かった。

しかしこれは本当に軽いほうで、もともと生理痛はあった(バファリン的なので何とかなる)し、自分でも自覚がなかった、生理前に下痢になるという現象!!!おそらくは、筋肉の収縮とかで腸が影響受けて、過敏性腸症候群のように腸が動いてしまうのだと思う…。
 そして自律神経的な面として、年齢を重ねてきたせいもあるのか、雨の日や台風が接近(なぜか沖縄に接近するとき)、急な天気の変化の前、そしてまた異動後で経験したトンガで火山の噴火があった時等、気圧の変化でつぶれてしまう時が増えた。頭痛、めまい、気持ち悪い…時々下痢。
 私が下痢になる原因は、IBSだけではなかったということが分かったことも、IBSの症状がよくなったことの現れだと思う。
 だんだん読めるパターンができた中、職場内での異動があった。残業、土日勤務等が常にある、職場内でも大変だと有名な部署だった。
当時の部署も土日勤務や残業はあったし、人間関係や多すぎる土日勤務が嫌になっていた時期でもあったので、気持ちが変わることは嬉しかった。
しかし思っていたより業務はきつく、環境の変化、前部署での経験から4月5月を切り抜ければ何とかなると思っていいた矢先、見事なまでの5月病になってしまった。すでに、薬をもらっていた時ぐらいの不調が出始めていて、業務の説明や離れた倉庫等に行っている間に身体の冷えもあったのかお腹を壊すという経験をしていた。まずいな…ということはわかっていた。
そして、せっかく上向いてきた体調が戻されてしまったショックが大きかった。こんなことは初めてだが、自分が2年少し時間もお金もかけて上げてきた健康状態が、あっという間に崩れていった。
もちろんこんなことは誰も知らないし、部署のメンバーもつらい所を頑張って仕事をしているし、仕事をする上ではみんな協力的でいい所もあった。それがまた、「また今日もお腹痛くしないかな」「外で事業ある日なのに、お腹壊さないか心配…」と思いながら、やっていくことを辛くした。ごめん今日は帰るを何回かはやっていたが、事業のある日はみんな備えてやる日。何かしらの役割も与えられている。大した仕事でもないときもあるが、いないと迷惑がかかる。
 過敏性腸症候群になる人は、真面目な人、完璧主義な人、神経質な人等言われたりもするが(どことなくうつ病ともかぶる…)そういうことから気分の落ち込みも起こしやすく、ストレスが人によっては腸と脳に影響が強く表れて、結果として過敏性腸症候群となっているのかもしれない。私は自分自身についてそうは思っていないが、外から見てわかるものとわからないものがあるので、何とも言えない。
しかしこれは性格や脳内の神経伝達物質のせいもあるので、それこそ生活環境や遺伝も関係する。何でもかんでもその人のせいではないし、また環境や遺伝のせいだけでもない。外からの評価も、私だけが悪いわけじゃない。わかっていても、トイレで一人苦しんでいるときは、どうしようもなく辛かった。

もう一度病院へ

このままでは仕事のモチベーションがキープできないので、再び心療内科を探した。前に行った場所は距離があり、ただでさえ残業や土日出勤があるので、土曜日か代休に行くしかなく、ハードルが高かった。
自分も実家を出て引っ越ししていたので、引っ越し先エリアから近い場所の病院に行き、今までの過敏性腸症候群との付き合い、一度薬をやめたこと、現在の状況等を説明した。
再び同じ「セルトラリン」を処方してもらい、気象病による頭痛やめまい改善のため、漢方の「五苓散」をもらうようになった。先生は仕事の状況やトラブルなどについても聞いてくれたり、一般的な職場状況がどんな感じなのか等客観的にみられることについてアドバイスをくれた。
ちょうどコロナの時期に当たり行きにくい病院に通い、また悪くなった体調と付き合うのは辛かったが、薬がないとやはり仕事に支障が出る。薬が切れる前の土曜日や代休の日、また異動があってからも病院には通っていた。
もちろん職場の方には、持病としてIBSであることは報告していた。そしてこの度、また通院を再開したことも伝えた。ここさえも遠慮してしまう人や、組織での出世などに響くことを考えてしまう人もいると思う。そこは、何を大事にするかの判断だと思う。私はこれ以上体に負担をかけたくなく、とにかく仕事を続けられることが大事だった。
どうしてもセルトラリンだけでは腸が動き出してしまう日があり、昼食後にお腹壊すサイクルはかなりの頻度で発生していた。そしてもらっていたのは「トランコロン錠」。これは私にとってとてもいい効果があった。お薬手帳を振り返ると、一番初めの頃にもらっていたものの1つでもあった。

その後も3年くらい通っていたが、薬を飲まなくても、飲み忘れても大丈夫な日が出てきた。先生も薬の量はもうほとんど効果出るほども飲んでない、生活も安定してきているから大丈夫じゃないかと話していた。
それでもやっぱり最後の処方で残った薬を調子の悪いときに飲んだりして、体調管理をしていた。
 しかし、私が最後の処方をしてもらっていたころ(昨年末)あたりから手に入りにくい薬が出始め、この「トランコロン錠」も扱いが終わってしまったという。私のような人にとっては、すがるような人もいたと思うので、本当に残念に思う。私が何らかの事情でまた過敏性腸症候群の服薬が必要となった時、この薬はもらえないとなると憂鬱な気持ちになる。

絶対に我慢はしないで

なんだかんだ、薬をもらうことはなくなって約1年。ふと気が付いたことがある。薬がなくても、私大丈夫。昔の不安か壊す日8割から、大丈夫な日8割になっている…。
仕事の変化はいくつかあったけれど、「そういうもんだ」と思えることが多くなって安定できる期間が増えた。
そして、あるIBSについて書かれた本を見つけた。

IBSの人たちは、少しでもいまの生活を変えたくて、いろんな本を読んだりネットの情報をみたり、病院で薬をもらったりしていると思う。低FODMAP食みたいな食事を心がけたりして、生活習慣改善をしようとしていると思う。
しかしどれが本当に主な原因となっているかは人それぞれ。
しかも、過敏性腸症候群の患者は、20代~40代に多くいるという。…10代や40代以降はどこに行った?
その中で、自身もIBSという著者の本には、30代を過ぎると回復に向かうという記述がある。著者は、オジサン化・オバサン化により脳の神経が厚かましくなっているからではないかと推論している。
そうはいっても…20代でそういう心配のない日々を過ごしたかった。これは本当にそう思う。しかし、このさきもずっとこのまま…と思っている場合には、この情報はありがたい。理由はわからないらしいが…。その通りかわからないが、私自身も年齢を重ねていくうちに、明らかに前より良くなっている。経験談でしか言えないことだが、私は前よりましだということははっきり言える。薬を飲んでいる期間に、腸と脳のお互いストレスを作り合うよくないサイクルを断つことができたのかもしれない。
他にも著書では、IBSに対する気持ちの持ちようから東洋医学的な治療法、自律神経を整える生活習慣などを紹介している。
私の場合は、もともと不安になりやすい所、日常の小さなストレスの影響を受けやすくそれが自律神経に現れていた。そして、脳と腸の関係によるストレス関係から、IBSの人になっていたことが大きいのだと思う。FODMAP食で改善する人は、腸が食事内容により刺激を受けやすいタイプなのだと思う。
IBSも主な理由は人によりけりで、こうすればきっとよくなるよ!がすべての人の正解でない、効果的な薬も精神系な人もいれば内科系の薬で体調が向上するという場合もあると思う。なので、本当に変わるための第一歩を踏み出してみるしかない。
そして、ある程度の経験を重ねてくると、本当に厚かましくはなれる。経験の少ない若い頃は、ちょっとしたことでも繰り返し気になってしまう。それが、本人も知らないうちに緊張を引き起こしているのかもしれない。それを感じない若い人もいるし、感じていてもお腹などに出てこないからIBSじゃない若者もいるのだと思う。

そしてなにより残念なのは、このIBSで自分の好きなことややりたいことをあきらめたり楽しめなくなってしまうことだと思う。私も自由が利かない思い、100%の力で動けないというのはずっと長い間感じていたし、もっと若いときに思い切りやり切るという経験をしたかったこともある。
細かな後悔を上げたらきりがないが、ただ諦めるだけ、諦めてやらないにはしてほしくない。
お腹すぐ壊して迷惑かけるから、旅行に行かないではなく、私はおいしいもの食べたり見たりするのは好きだったので、一人で旅行に行っていた。これなら旅行はできる。
昼ごはんをはさむお出かけをしたくなかった。私は、13時とか14時集合にして、昼ご飯を食べなくていいようにした。
舞台を観に行くのはできれば昼の回、お茶か夕食一緒にして解散にした。
演技や声優の勉強したいと思ったときは、生活習慣変わってしまうのもあったけど、やりたいこと我慢する方がストレスだと思って、やってみることにした。
なかなか体力的にも厳しいときもあったが、やらないで我慢している方が辛かったし、より年を取った時に後悔するように思った。

いまIBSのせいで暗い人生だとおもっている人がいるなら、まずは、今の病状を我慢しないでほしい。是非病院に行って、少しでもいい薬や療法に出会って、何が主な原因なのか見つけてほしい。
そして、IBSのせいでやるのを我慢していることをやって欲しい。今からやれば、体調が追いついてきたときにもっとできるかもしれない。
残念ながら、脳内物質なのかIBSのせいなのか、何をする気力も起きないよとなっている場合もある。そうなるとやりたいことも特にない。明日お腹痛くならないことが一番大事。そういう時もある。
でも、少しでも体調が向上した時には、なにかやってみたくなるものだと思う。その時にも、また我慢はしてほしくないと思う。

もし、周りでお腹壊しやすい、便秘になりやすい、ガスが出やすい…そのせいで生活や仕事に支障が出ているという友人や家族がいたら、このIBSも疑ってみてほしい。もちろん他の胃腸の命に係わる病気の場合もあるので、病院に行くのは早いほうがいい。
IBSがひどかった時からなんだかよくなってきた時期を経験した私から、明るい兆しが見える方がいればうれしい。
三十代後半を迎えて、この病気はだいぶ前よりもよくなっています。
この前トイレの神様に祈ったのはいつだっけ? というくらいに減っています。

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