拓奈-hirona-

昔書いた詩とか小説とかを置いておきます。絵や写真をつけて下さる方を募集中。ツイッター:…

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昔書いた詩とか小説とかを置いておきます。絵や写真をつけて下さる方を募集中。ツイッター:@hirona76502

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君だけが振り向いてくれない

生きる ということは 腐らない ということだ。 生物が死ねば亡骸は腐る。還る。 例えそれを望まぬ者がいようとも。 外側は白木でシンプルに、 それでいて内側は白を基調とした花々で綺麗に彩られた棺の中に 君は安らかな微笑みで、いる。 いる、以外の動詞ではどうもしっくりこないといった様相で、そこに、いる。 こんなにきれいな君を、僕は知らない。 いつもすっぴんで、部屋着はジャージかスウェットで、 髪はぼさぼさで、チューハイとマルボロが大好きだった君が、 僕は大好き

    • とある日に思うこと。

      なんてことない春の日。3月11日。 この日付、「3.11」がメディアやなんかで意味を持って使われるのを見る度に、「歴史って、こうやって作られて行くんだ」と実感する。 「あの日」から7年。 長いようで短く、短いようで長く、 あぁ、もう7年なんだ、ふぅん、と22歳の私は思う。 ——この文章は、人生の節目の年と、震災の節目の年が偶然重なった今日の私が、あの日を振り返ったりしながらツイッターには長ったらしくて書けないようなことをつらつら書いた日記のような何かです。オチは無

      • 朝なんて来なければいいのに

        朝になったら君はまた 私がアイロンをかけたシャツを着て 私がプレゼントしたネクタイを締めて 「いってきます」と笑顔で私に手を振って あの女の元へ向かうのだろう そんな朝など来なければいいのだ だから私はこうして 私がアイロンを放置してシャツを燃やし 私がプレゼントしたネクタイで寝ている君の首を絞め 「一緒に行こう」と笑顔で君にキスをして 共にあの世へ向かう覚悟で カーテン越しの朝日が眩しくて 目をあける 明るさになれない視界も 横たわる病院のベッドも

        • (はじめに:この小説は数年前にとある方の放送の『安価で小説を書く』企画内で決まった冒頭の一文に続きをつけたものを、公開にあたり一部編集したものです。R18ですご注意ください!) ―男は女にこう言った。「乳房。」 ________ 8月のとある昼下がり。 外は日差しが強いが、それは裏通りの寂れた小さなアパートを薄暗く、蒸し暑くするだけだ。 今朝羽化したばかりなのだろう。 窓の外では蝉が、たどたどしく、しかしやたらとうるさい声で鳴いている。 窓は閉め切っているはずな

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        君だけが振り向いてくれない

          時計

          ガッ ガッ ガッ  何を刻んでいるの? (次元?) コッ チ コッ チ 何を呼び寄せているの? (未来?) シャッ シャッ シャッ 何を削っているの? (自分?) いつまでも 同じところを 永遠に回り続けているのに いつまでも 同じ速度で 永遠に進み続けている。

          己の宿命を忘れた蝶 冬空の下  たった一匹で狂ったように羽を動かし 本来の生きる目的を見失って その永遠の輪廻から お前は はぐれてしまったのか それとも自ら絶ちきったのか 己の中の熱を自ら外に出すことはなく ただ飛び回る 何をすればよいのか分からず どうしたら生きられるのか どうしたら死ねるのか 何も分からず 変わってゆく景色 変わってゆく感覚 飛び疲れた蝶は 生き疲れた蝶は 今私の指の上 黙ってこっちをみている "お前は、幸せだったか?" 答えに

          無くした櫛を見つけた (久しぶり、元気そうだね) 青いポーチは見つからない (溶けてなくなっちゃったみたい) スカートは膝が寒い (私の縛られた土曜日が打ち砕く) 粉雪が降り積もる (何を隠そうっていうの?) 冬至の夜明け前 (あの残像は何だった?) 私の嫌いな季節のこと。