アカデミックイングリッシュのお勉強

今田です.前回に引き続き,英語に関する記事です.
日本生まれ日本育ち,最初の海外生活は21歳の時の交換留学(このときのスピーキングはかなり厳しかった)ですが,なんとかイギリスの大学で研究者やってます(今28歳).

今回は,アカデミアで生きるにあたって(自分が思うに)必要な英語能力,そしてこれまで自分がやった勉強について書いていきます.

日本人向けに書いてあるので,帰国でもともと話せる人とかそういう人向けではありません.


英文法

文法は本当に大切です.4技能(W: writing; R: reading; S: speaking; L: listening)のすべてにとって大事だと思います.
じゃあ,どのレベルの文法がわかってればいいのって話なんですが,自分の感覚としては大学受験レベルで大丈夫です(英語が理由で日本の大学から不合格をもらわないレベル).

Rreadingの速さ・正確さを上げるためには品詞・文型を理解すること,文法用語・用法を日本語でしっかり理解することが大事だと思います.文型,品詞,節・句がわかると,”英語の文章の意味が分からない(知らない単語がない限り)”ということがなくなります.

"単語の意味が分かるけど,英語の意味がわからない"状態の人はまず文法を頑張るのがいいと思います.大学受験の文法書だったらなんでもいいんじゃないですかね.自分は英語学習自体は好きだったので,ロイヤル英文法を全部読みました.ただここまでする必要は全くないです.普通の参考書でいいと思います.

Speakingに関してはそこまで正確な文法じゃなくてもいいんですけど,文法に則た英語を話した方がいいに決まってます.”英会話は壊れた英語で大丈夫!”っていよく言いますよね.初めての海外学会に行って,"海外で英語で発表をした"というレコードを作りに行くドキドキの大学院生はそれでいいんですよ.ただ高い金と時間を払ってわざわざ海外学会に行くのにそれじゃもったいないですよね,ドキドキ海外学会フェーズを終えた人たちはとくに.

単語

海外生活してみてわかったことなんですが,日常会話は中学校レベルの動詞と地域特有のスラング・イディオムで事足ります.have/make/take/getとかこの辺の動詞だけで回るぐらい.なので,単語はReading/writing向けです.

これは大学受験レベルじゃちょっと足りないかもしれません.
単語に関して自分がやったのは

  1. Duo 2.5(大学受験)

  2. 1100 words you need to know 

  3. GRE essential words

3に関してはちょっと難しすぎる節があるので,やる必要はなかったかなと思います.GREの単語は漢字検定準一級のために勉強する漢字,みたいな感じです.アメリカの博士課程にも出願したので自分はGRE単語を勉強してました.ちなみに4校受けて全部落ちました(Michigan, Clark, Duke, UC Berkeley).

で,具体的な勉強法なんですが,アカデミックな人(?)は,英→日対訳を覚えるのは卒業したほうがいいと思います;

英語の意味は英語で調べる
単語だけで覚えるのではなく,例文(用法)と一緒に勉強する

この2つ.
英語の単語がどういうニュアンスで使われているのかを英語でたくさん勉強していくと,「あきらかに非ネイティブが書いた文だ」と悟られてしまう文を書くのを卒業しやすくなると思います.あとは,大事ものを書くときに一単語一単語こだわって書けるようになります.騙されたと思って全部英語を英語のまま勉強してみることをお勧めします.

たくさんの似た単語を一つのざっくりとした日本語訳でまとめて覚えた方が効率がいいし,Readingを速くするためだけならまぁそれでもいいんですが,Writingの質・美しさ・説得力を求める段階に来た時に苦しくなります.「意味が理解される英語」で頭打ちが来てしまいます.

"論文の英語なんて理解されればそれでいい"

っていう人いますよね.いや,いいんですよその人がそれでいいなら.
ただ,desk rejection率が極めて高い雑誌の編集者に原稿を読んでもらうためには,書き物としての美しさ・読みやすさ・伝わりやすさは大事だと個人的に思っています.

自分の博士の指導教員に本当に文章を書くのが上手な人がいて,内容興味なくても彼が新しい論文をだしらイントロ読みに行っちゃうんですよね.自分の場合は,自分でもそういう文章が書きたいというinternal motivatoinもありました.今でも"論文の英語なんて理解されればそれでいい"の先を目指して日々頑張っています.

単語帳以上の単語に関しては,日々論文や本ででてきた単語の意味を調べて語彙を広げていけばいいかなと思います.前の記事にも書いたんですが,”知っているけどアウトプットに使ったことがない単語・アウトプットに使いたい単語/表現”リストを作るのおすすめします.これやらないとWritingの時の語彙が増えていかないので.

単語のお勉強はWritingの質を上げるモチベーションがある限り一生続く気がします.



英語を英語のまま理解する

英語を日本語にして読む
I like apples. 
私はリンゴが好きです.

いや,「私はリンゴが好きです.」って変換しなくてもこれ意味わかりますよね?

英語を日本語として読み下す
I like apples.
私 好き リンゴ

大学受験頑張った人は大体英語はこうやってよむんじゃないでしょうか.
いやでも,別に「私 好き リンゴ」って変換しなくても意味わかりません?

英語を英語のまま読む
I like applpes. 

これ,どう考えても「I like apples」って意味じゃないですか(?).
日本語に直して理解する必要,ないですよね?"英語を英語のまま読む"というのはこういうことで,文法が分かっていて,単語力があれば(いつも英英辞書をひくのとても重要),根気よく日本語を介さずに英語を読み続ければ,日本語変換なしで読める英語のレベルが上がっていきます.

I like apples. 

I like applpes because they are a delicious and nutritious snack.

I like apples because they are a delicious and nutritious snack that provides a satisfying crunch with every bite. 

I like apples; their versatility allows me to enjoy them in various ways, whether sliced in a salad or blended into a smoothie. 

I like apples not only for their tastes but also for the fact that they are a rich source of antioxidants and dietary fiber, which promotes well-being. 

ほら,日本語にしなくても全部意味わかりますよね?(わかるようになるんです).

英語を英語のまま読み続けると,ネイティブだったらこうかく・英語論文ではだいたいこういう表現する,というのが結構わかってきます.それをもとに,日本語を介さずに英語を書くことを心がけて生きていけば,そのうち英語で英語を書けるようにもなるかと思います.自分の場合は研究関連の思考をすべて英語で行うので,英語で考えて英語で書くのが自然だったんですが,普段日本語で思考する人は日本語を介さずにwritingをするのは大変かもしれませんが.

これListening/Speakingにもまんま同じことが言えます.I like apples!って言ってる人がいたとして,これ日本語介さずに何言ってるかわかりますよね?
ただ,そもそもI like applesと聞こえなかったらお話にならないわけです.じゃあどうすんの,というのを最後に書いてこの記事を終えます.

発音を勉強する

これ前の記事にも書きましたが,発音をちゃんと理解するとListeningが劇的に伸びます.マジでなんて言ってるかわかる.単語同士がつながっていてもわかる.

発音記号の勉強しよう,につきます.自分は21歳になってから,cat, bat…とかぶつぶつ言いながら発音記号の勉強して発音の練習しました.それでも間に合います.

発音の練習しだすと,発音をちゃんと勉強しないまま英語の発音の模倣をする日本人特有の発音がわかってきたりします.例えば,Ideaという単語,これどう見ても語尾にrついてないですよね.でも多くの日本人があたかもrがあるかのように発音している気がします.いや,それがだめだとか言ってないし,意味通じればなんでもいいんで,べつにいんですけどね.


じゃあ発音勉強したらSpeakingも劇的に良くなるかといったらこれはそうでもないです.これは努力の量次第.英語のSpeakingは筋トレと同じ.我々に日本人には正しい英語の音を出すための筋肉がありません(半分比喩).ひたすら練習して筋肉つけて,正しい音がだせるようになるしかありません.完璧を目指すとやっぱ厳しいですが,非ネイティブに理解されるぐらいを目指す分にはcritical periodすぎてても全然いけます.自分もいけたんで.

Speakingに関しては文法通りに話すのも結構最初は大変ですよね.

私,昨日日本から帰ってきました.
I came back from Japan yesterday. 

最初はやっぱり,「あ,過去形だからcomeじゃなくてcameだ」とか考えますよね.もうこれも慣れ.マジで慣れ.日本語で考えるのをやめてひたすら独り言言い続けると,そのうち文法に沿った言葉が出てくるようになります.

自分の経験に基づいて,「やればできる」「なれればできる」と書いてきましたが,自分がこれまで(そして今も)英語学習に費やした時間はかなり多いです.1日1時間1年ぐらいで,「やってもできないじゃんふざけんな!」って怒らないでください.英語学習の結果はすぐに出ません.継続と根気,これだけです.


どこまで英語学習に投資すべきか

研究者になりたい,というだけでそこまで英語を頑張って,できるようにする価値あるの?って思う人いると思うんですが,これ人に依ると思います.特にspeakingとlistening.

長く研究者やるならreading/writingは突き詰めていくといいことけっこうあると思います.なので全然コスト回収できると思います.論文出版の役にも立つし,論文を読んだり書いたりするのにかかる時間がめちゃくちゃ減るのでその分他の仕事ができる時間が増えますし.

もちろん,AIの発展を待ってなんもしないのもそれはそれでいいかと思います.

前の記事にも書きましたが,speaking/listening技能がそこそこ高いと

・英語での議論が楽
・英語での議論が楽しい
・英語話者の友達を作るのが簡単(一回限りじゃない友達)
・英語話者とふざけるのが楽しい
・海外学会が楽しい
・サマースクールが楽しい
・覚えてもらいやすい(翻訳とかデータ収集の依頼来たりしやすい)

とかまあいろいろ良いことがありますが,まぁ,Speaking/Listeningは娯楽のため感が強いですね笑

海外で就職するなら投資したコストを回収できるかもしれませんが,そうじゃないならなかなか回収難しいと思います.なので正直,1年1回程度しか行かない海外学会でふざけたおすためにspeaking/listeningにたくさん投資するのはわりに合わないと思いますw

おわり




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?