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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか70】生後まもなく(12)今どきは

 さて、今どきの子育ては、ハイテクである。
 まず、子育てに関する情報がネット上に溢れている。横抱えにして飲ませる母乳の与え方は「フットボール抱き」というのだそうだ。動画で紹介されていた。医療職、保育職の人たちをはじめ、一般のお母さんだって、動画でもブログでも、いろいろ発信できる。
 勿論、情報は玉石混淆だろうし、日進月歩で上書きされている。親も子どもも一人として同じ人間はいないのだから、誰かに上手くいったことが自分に当てはまるとも限らない。

 知人、友人との交流も、「いえでん」しかなかった昔とは全然違う。娘は、フランス内外で妊娠・育児中の日本人の友人たちとソーシャル・メディアを通じて情報や愚痴や励ましを交換することで、随分と支えられていると思う。勿論、赤ん坊とは全然関係ない友人とも。職場の人とも時折メールなどで産休中もやりとりが続いているようだ。

 ネット上には、無料で様々なアプリが公開されている。娘夫婦と私が共有しているのは、授乳やおむつ替えの記録アプリだ。投薬なども全部記録できるので、忘れることがなくて便利だ。特に医療ケアが必要な赤ちゃんを育てるときには、周りの大人が状況を共有できて助かるだろう。入力が簡単で、使い勝手が良い。
 今現在、授乳中の人が453人います!とか表示されるのを見て、日本時間だと今は午前2時だよねえ、日本中でこんなにたくさんのお母さんがおっぱいやってるんだなあと、娘と感慨にふけったことがある。きっと、孤独な夜を支えられるお母さんもいるのだろう。
 ただ、これもよしあしで、昨日は7回うんちが出たのに、今日は5回しか出ていない!とか、数字に一喜一憂しすぎる人には副作用もありそうだ。そして、当然ながら営利企業から様々な形でサポートされているので、無料ではあるが、全ての機能をフルに利用しようと思うと、多分「お知らせ」とかがわんさか来るんじゃないかな。

 娘夫婦が出産前に購入したものの一つに、ベビーベッドに設置するセンサーがある。マットレスの下に敷いて、べべさんの呼吸や動きを感知する。20秒以上何も感知しないと、アラームが鳴る。だんだん大きく。試してみたが、ドアを閉めている状態で、リビングから廊下を経て寝室まで、ちゃんと聞こえた。
 赤ちゃんを育てたことがある人なら誰でも、本当に息してるかな、と不安になって、胸の動きを確認したり、口元に手をかざしたりしたことがあるだろう。それが、今やセンサー様が確認してくださるのじゃ。これほどありがたいことが他にあるであろうか、いやない(反語)。
 とはいえ、うっかりおばあちゃんは、ベッドから抱き上げたときにセンサーのスイッチを切るのを忘れて無駄にビービー言わせたり、逆にベッドに寝かせたときにスイッチ入れ忘れたりするので、使う人間のレベルが機械に見合ってないと無駄、こういうのを猿も木から落ちるじゃなくって、鬼に金棒じゃなくって、あ、宝の持ち腐れか。

 そして、もう一つ、これが昔からあったらなあって思うのは、Googleフォト。べべさんと一緒に暮らしている大人三人がそれぞれ写した写真をアップすると勝手に時系列にしてくれるだけじゃなくて、離れて暮らしている家族や親戚とも共有できる。これは本当にありがたい。私の両親は既に鬼籍に入っているが、婿の祖父母様はご息災なので(そして、気楽に会いに来られる距離ではないので)、曾孫の成長を喜んでいただけるのは大変嬉しい。私も、この一年が終わってからも、きっと毎日のように見返すことになるだろう。

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