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双子がおむつを卒業するまで

2020年4月、双子3歳9ヶ月にしてようやくおむつ卒業の気配をみせはじめた。ようやくこの時がきたかと安堵している。

思えばここまで長かった。まだ完全におむつがはずれたわけではないが、おそらく時間の問題だ。いや、そうであってほしい。

ちょっぴり浮かれているので、おむつが外れるまでの記録を残しておこうと思う。

自分のツイートを検索すると一番初めにトイレに行ったのは2019年3月、ちょうど1年ぐらい前だということがわかった。

まだ3歳になる前だ。この時はまさかこの後1年間もおむつで過ごすことになるなんて思ってもみなかった。ゴールは近いと思っていた。

もともとそんなに急かしておむつを外そうとは思っていなかった。誰しもそのうち外れるものだし、「そのうち恥ずかしくなって自分からパンツにしたいと言ってくる」なんて話も聞いたことある。

むしろ外出先で頻繁にトイレに行かれる、失敗される、余計なタスクが増えることのほうを心のどこかで恐れていたのかもしれない。できるだけおむつのまま、いけるところまで引っ張りたいという気持ちがあったのかもしれない。

なんにせよ何をするにも2人同時だ。せっかく外出も楽になってきたのに無理してトイトレする必要はない。そう思っていた。本人たちがトイレでしたいと言えば別だけどその気配もまだない。

トイレでできた時は思いっきり誉めたり、パンツを買いにいって自分たちの好きなものを選んでもらったりはした。だけどそんなふうに思っていたこともあって結局トイレに行くことは定着しなかった。

そうこうしているうちに2019年7月、妻の第3子妊娠が発覚した。

妻がつわりで動けない状態になった。安定期にはそれなりに動くことができたが、それでも日常生活を回すことで精一杯。

気がつけば双子のトイトレのことは僕たちの頭の片隅に追いやられていた。

日常生活はおむつでなんら問題ない。しかし10月になると3歳児健診があった。尿を自宅で採取して小児科へ持参しなければならない。

これは試練だったがアイテムの力を使って切り抜けた。

3歳児健診の前日に買い物にいったスーパーで、動物の絵が描かれている紙コップを見つけたのだ。さっそく購入しトイレに設置し、みごと双子の気を引きトイレに呼び込むことに成功した。

またこの期間には、来年の4月から通う幼稚園の申し込みがあった。面接(といっても簡単に話をききに行くだけのもの)と同時に説明があった。

ざっくりというとこんな感じだ。

『幼稚園にはおむつではなく、パンツできてください。どうしてもおむつがはずれていない子はトレーニングパンツであればOKです』

双子はまだ当分時間かかりそうだけど大丈夫か?と思いつつ、ここで無理をするのは家族にとって相当なストレスだ。まあ4月までにはなんとかなるでしょ。と思って保留にした。

とはいえまったく動かなかったわけではない。

2020年1月、多くの人が新たに目標を定める新年。僕の仕事も双子の保育園も休みだし妻も安定期に入っていて比較的体調も良さそうだった。

僕はこの冬休み期間で双子のおむつをはずすことを誓い、積極的に2人に呼びかけた。

幸先のいいことに、呼びかけに応えてくれて2人ともパンツを履いてくれた。これはいけるのではないかと期待した。

ところが長女は2日、次女はわずか1日で終了。

その後は「やだ、おむつがいい」と言ってパンツを拒否し、トイレに行ってくれることもなくなってしまった。

だめだった。3日坊主になってしまった。まあ新年の目標らしいといえばらしいのかもしれない。

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結局そのまま3月になり、妻は無事に赤ちゃんを出産し、里帰りした。

僕と双子の3人で過ごすこの1ヶ月がラストチャンス。なんとか妻が帰ってくるまでにオムツを卒業したい。

どちらにせよ4月になって幼稚園が始まればパンツだ。腹をくくるしかない。

けっしてパンツを履こうとしない双子だが、保育園ではトイレでできている。おそらく出るタイミングも自分たちでわかっていると思う。おそらく失敗して漏らしてしまうことはほとんどないだろう。

あとは本人たちの気持ちの問題だけなんだ。

出産直後のバタバタが落ち着いたころ、双子にことあるごとに言い聞かせた。

「幼稚園になったらパンツ履いていかないといけないから、今のうちに練習しておこう。4月になったらパンツにしようね。今はまだおむつでもいいけど、出そうになったら教えてね。一緒にトイレに行こう」

2人ともわりと前向きなようで

「うん、幼稚園になったらパンツになる」と返事が返ってきた。

うん、とてもよいお返事。

だけど行動はすぐには変わらない。これまで通りなかなかトイレにはこなかった。若干不安だが、まだ3月だし約束の4月まで焦る必要はない。そう思って双子のペースに任せることにした。

そんなある日、双子はYouTubeを見ていた。アンパンマンのおもちゃで遊んでいる動画だ。

そして珍しく動画に出てくるおもちゃを欲しがった。これまでどんな動画に出てくるおもちゃでも自分から欲しいと言ったことはないはず。だから驚いた。

と同時にこう口にしていた。

「4月になってから幼稚園始まるまで毎日パンツ履けたら好きなおもちゃ1つずつ買ってあげるよ。だからトイレにきてね」

ご褒美で釣るのはいかがなものかと思ったが、それでやる気になってくれるならいいだろう。時には目の前にニンジンをぶらさげてあげることも必要だ。

そして次の日。いきなり長女の行動が変わった。

朝起きてからトイレに行ったかと思えば「今日はパンツ履く」と言い出したのだ。

めちゃくちゃやる気になってるじゃないか。

びっくりするとともに、これは今度こそいけるのではないかと思った。

しかしそううまくはいかない。

長女はその後2回ぐらいトイレにいき、そして「やっぱりおむつがいい」と言い出した。

OK、OK!よく頑張った。とりあえず今日はここまでできれば十分だ。

おむつを装着する長女。そして一言。

「パンツがんばったから、おもちゃ買って」

なに、そうきたか!

いや、こちらが言ったことが全部理解できるなんて思ってはいない。たしかに「4月になってから幼稚園が始まるまで毎日」は3歳児が理解するには複雑すぎる条件だったとも思う。

そこはこちらが悪かった。だけど今はこの場をどう乗り切るかだ。

長女のなかでは買ってもらえると思ったおもちゃが買ってもらえなくなったわけだ。どんな言葉で説得しても絶対泣くことは目に見えている。

だけどここは耐えるしかない。ここで折れてしまうわけにはいかない。

「今日はがんばったけど、おもちゃを買うのは幼稚園にいくまで毎日パンツで過ごせたらだよ」

本当にそんな風に言ったのか、実のところあまり覚えてはいない。

ただやはり長女は号泣してしまった。だけど意外とすぐに気を取り直したようでさっさと遊びに戻る。

とりあえず切り抜けたのかもしれないが、そのあと2人ともパンツを履いてくれることはなくなってしまった。

そして4月になった。

いよいよパンツを履く約束の日だ。あれから毎日言い続けてきた。

前日にも「明日からパンツだよー」と何度も言った。

いつも「うん」といい返事が返ってくる。だけど本当に大丈夫かな。

そして4月1日の朝、できるだけ機嫌のいいタイミングでパンツを勧めてみた。すると思いがけず次女はすんなりと履いてくれた。

長女は最初嫌がっていたけど、次女がパンツを履いているのを見てちょっと心が動いたか。

今がチャンス。家にあるすべてのパンツを持ってきて広げ、「どれがいい?」と選んでもらうことにした。

長女の反応がいい。にっこりしてパンツを選ぶとそのまま履いてくれた。

その日はトラブルもなくそのまま1日過ごすことができた。心配だったからか次女は30分おきぐらいにトイレにいったのでちょっと大変だったけど。

また「このパンツ飽きた」と言って別のパンツに何度も替えるなどの行動もみられた。でもおむつに戻らずにパンツで過ごしてくれた。それだけで100点だ。

夜寝るときはまだおむつでいいことにしているので、次の日の朝起きてからまたパンツを履いてもらうのに少し苦労した。だけど1回履いてくれればあとはもう大丈夫。

2日目からは次女も頻繁にトイレに行くことはなくなった。4日目にもなると、1日に何度もパンツを替えることもなくなった。

いったんパンツの生活になってしまえばあとは意外とすんなりだった。

どうやら幼稚園が始まるまでにはパンツが定着しそうでひと安心だ。

そして妻の里帰り中に双子のおむつをはずすという僕の目標もどうやら達成できそうだ。

ふふふ、妻よ。家に帰ってきたら2人ともパンツになっているぞ。

2人とも頑張ったね、お疲れさま。勇気を出して挑戦してくれてありがとう。

妻と赤ちゃんが帰ってきたら約束通り好きなおもちゃを買ってあげなくちゃ。

おしまい


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