「チームに仕事をサボる奴がいる!」と嘆くマネージャーが確認すべき「目標設定」で押さえるべきポイント
目標設定は、組織マネジメントの根幹に関わるテーマだと思っています。僕自身も、これまで、毎期、毎クオーターごとの目標設定に取り組んでおり、そのときにこだわっていることについて、まとめたいと思います。
目標設定上、重要な論点は2点あります。
1. 目標の意義
2. 目標の難易度
の2点です。
1. 目標の意義
目標とは、目的地に辿り着くための重要な道しるべです。
「今晩中に川崎までは進んでおきたい」といった定性状態、または定量的な数値となります。
目標だけがおろされると、最初はゲーム感覚で達成することが面白い時期もありますが、時間が経つと、熱量もだんだん下がっていきますし、なぜこの目標を追いかけているのか悶々としてきてしまいます。
・目的地はどこか?
・なぜその目的地を目指しているのか?
・その目的地にたどり着くために、今クオーターはなぜそこまで進むのか?(目標を設定するのか?)
目標の意義、目標の理由をセットで設定・シェアする事が非常に重要です。
2. 目標の難易度
意義や理由を十分に理解できたとしても、組織あるいは個人としての能力を加味せず、目標の難易度の設定を間違えてしまうと、取り組みが全てが水の泡になってしまう場合があります。
例えば、ブラジルのある企業との提携の実現のために、
「相手キーマンとの対面商談を5時間以内に実現して欲しい!」
と上司から言われたとすれば、「5時間では絶対に実現はアリエナイ!」となるため、このようなアリエナイ目標が設定されることは、ほぼありません。しかし、不確実性が高いビジネスの中では、こういった無理難題な目標設定を課されるケースは、頻繁に起こりがちです。
そのため、目標を設計するために必要となる要素である難易度への理解を深めておくことが欠かせません。
縦軸を目標の達成難易度、横軸を組織または個人の能力と定義します。
その際に、能力に比して目標の達成難易度が高すぎると、
・そんな高すぎる目標は到達できるはずがない
・目標に到達するイメージが全く湧かなくて不安
という状況になり、本来、組織と当人が持っていた能力を十分に引き出すことが出来ないケースが生じます。その場合、目標との乖離が次第に大きくなり、組織と人は崩れ、人がだんだんと離れていってしまいます。
一方で、能力に比して難易度が低すぎると、
・寝ていても達成できる
・毎回同じようなことの繰り返しで挑戦がなく退屈
・成長実感がない
という状況に陥りがちとなります。当然やる気も出ず、成果もそれなりにしか現れず、個人の成長も鈍化します。優秀な人ほど挑戦的な環境、自身の成長をそれぞれ求めるため、退職してしまう場合も少なくありません。
「組織・個人にとって挑戦的であり、この目標達成が出来ることで成長が促され、組織としてインパクトのある目標」を設定することが、マネージャーの腕の見せ所です。
難易度設計のポイント
組織と当人の能力を見立てることは非常に重要です。ポイントとしては、個人・組織の能力を鑑みての目標難易度にトライ&エラーで試しながら、常に最適化を図っていくことが欠かせません。
また、前回の目標が達成できていたのか、未達成であったのかにより、組織と当人のメンタルコンディションにも異なった影響を及ぼします。
下図のように、達成可能性が五分五分に設定する組織をセンターラインに定めると、コツとしては少し可能性を上下させて目標設定しながら試してみることも重要です。
「目標は高ければ高いほど良い」という発想は適切でないと思います。また、毎回の目標を達成し続ける組織も、右下に下降していく状態にならないよう常に見張っておかなければ、結果的に間違った目標設定をしてしまうケースもあります。
最後に、「チームに仕事をサボる奴がいる!」というマネジメントの人にしばしばお会いするのですが、この手の発言が生まれてしまう原因としては、目標設定の方法が適切でないことが多いです。(本人のやりたいテーマと、チームメンバーに共有されている目標が違うことも合わせて)
・なぜその目標なのか、どの目的地を目指しているのかがわかっていない目標
・サボっていても、達成できるような退屈な難易度の目標
・どう頑張っても届かないあきらめに満ちた難易度の目標
であることが少なくありません。
「目標設定こそ、チームのマネージャーにとって重要なスキルだ」と肝に命じる人が増え、「人と組織の成長と成果が最大化される目標設定」が実現できるチームが、1つでも多く生まれることを願っています。
経営戦略、人事戦略、働き方について、自身の経験を通じて得た気づきや学びを書いていきます。フォローしてもらえると喜びます! リクルートにて営業→経営企画室長→広報ブランド推進室長→働き方変革推進室長→リデザインワークを創業+ベーシック取締役COO+情報イノベーション大学客員教授