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テレワークの活用レベルに合わせた、必要な準備「まとめ」

各企業が緊急対策として、在宅勤務やテレワークを推進されていると思います。コロナウイルスが早く収束してくれることを願うと共に、これまでなかなか進まなかったテレワークの大幅な進展の機会となることを願っています。

リクルートホールディングス全社の働き方改革の責任者としての経験、大手企業の働き方改革を請け負うリデザインワーク株式会社の代表として、これまでの経験や成果をまとめてシェアしたいと思います。

今回noteを書こうと思ったのは、今回の取組の結果、多くの企業において、「テレワークはやはり生産性が下がるなぁ。」という結論になることへの懸念です。
今後、テレワークの準備をしっかりしていなかった企業では、様々な問題も見つかってくると思います。それらを受け止め、評価し、対策を立てていく事が重要です。
テレワーク自体が問題なのではなくて、テレワークを活用できるだけの準備ができていないことが問題なのです。

テレワークを評価し、今後の方針を決定する経営層の方や、実際に推進する実務トップの方向けに書こうと思いま。なので、概念的な話が多く、TV会議をもう少しうまく取り組みたいといった具体的な話は割愛しています。

テレワーク活用レベルに応じた目指す状態と準備

対面会議の活用について_4

テレワークの活用レベルを大きく3段階に分けて、それぞれの目指す状態と準備を整理しました。
オフィスワーカーにとっては、コミュニケーションが仕事のコアを占めると思いますので、テレワークで、コミュニケーションが減っている組織は失敗だと考える必要があります。
テレワークでも大部屋でワイガヤで仕事を進めていくことは変えてはいけないポイントです。

テレワーク活用レベル1 「2〜3時間/週の活用」
個人業務のテレワーク化について

テレワーク環境下でも仕事が出来、コミュニケーションを担保するには、前提としてオンラインオフィスの構築が必要です。業務のオンライン化です。

経理や人事など個別の業務オンライン化は別として、重要なポイントは二点です。
1.必要な時に、必要な情報がオンラインで検索して手に入るようにする
2.必要な時に、必要な人と必要なコミュニケーションが取れるようにする

そのためには、オンプレミスのサーバーをVPNなどで外部からでもオンラインでデータ活用ができるようにするか、クラウドストレージを活用する必要があります。

また、コミュニケーションにおいては、対面と電話、メールだけでは不十分です。ビジネスチャットとTV会議を導入・活用する必要があります。

これらが、一定程度活用できる状況であれば、活用レベル1の、一人ひとりが、自分や組織の業務に合わせて、週に数回、数時間程度、集中してワークをする目的のために、テレワーク・在宅勤務の活用できます。
このレベルは、会議があるときにはオフィスに行くか、一部TV会議を活用することで問題なく業務推進でき、生産性も向上が見込めます。

テレワーク活用レベル2 「1日単位×複数日/週の活用」
ホワイトボードを活用する濃密なディスカッション以外はテレワーク

レベル2である、一日単位のテレワークを週に複数回活用しながら働いていくようになると、更なるサイバーオフィスの活用を進めながら、大きく2つのポイントに注力する必要があります。

1.成果型のマネジメントに移行すること
2.
コミュニケーションの内容によって、対面、チャット、TV会議の
  使い分けが出来るようになること

1点目の、成果型マネジメントについては、今回は割愛しますが、オフィスに朝早く来て、夜まで残って「頑張っている」という頑張っているプロセスを評価するのではなく、ジョブディスクリプション=仕事の成果を明確にして、自律的にセルフマネジメントしていく形に移行していくことが肝になります。

2点目のコミュニケーションの手段使い分けは次の章で詳しく書きます。

コミュニケーション手段「オフラインの対面」or「オンライン」を使い分ける際のポイント

ポイントは、話者の信頼度と会話の抽象度の二軸で整理できます。
話者の信頼度が構築されていない状況や、会話の抽象度が高い時には、対面でコミュニケーションを行うことが効果的です。

対面会議の活用について_1

「ホワイトボードを利用して議論する会議」はオフライン対面が望ましい

更に細かく、コミュニケーションの種類を、議論・ブレスト、レビュー・指南、情報共有、報告、承認、指示などに分けると、その種類ごとに有効なコミュニケーション手段が存在します。

ホワイトボードを活用するような議論、またはメンバー育成の際に、ホワイトボードで書きながら整理してあげる必要がある人とのミーティングは、オフラインの対面が理想的です。それ以外については、ビジネスチャットが一番です。
メールはすべてのコミュニケーションでビジネスチャットの有効性に大差をあけられて負けています。複数の会社、組織で同じ結果が得られています。

対面会議の活用について_2


なので、活用レベル2で、コミュニケーションの量や質を落とさずに、テレワークを推進する場合は、ビジネスチャットにより、気軽にコミュニケーションが出来る状況にし、社内メールは使わない状況に移行する必要があり、
ホワイトボードを活用しながら議論するようなケースはオフライン対面で会ってコミュニケーションするという使い分けを実施しましょう。

テレワーク活用レベル3 「原則テレワーク」

活用レベル3で推進していくためには、サイバーオフィスを活用しきり、オンラインで常時、メンバー同士がつながっていて、ワイガヤで業務を推進する必要があります。

具体的には、常に、TV会議や音声を一緒に働く仲間と繋ぎっぱなしにしておき、思いついたときに、「あ、●●さん、△△の件なんですが・・」と話しかけられる状態への準備が必要です。

このレベルで推進になると、常にオンライン画面で顔を合わせています
株式会社ソニックガーデンの倉貫社長は、それらを実現するツールを独自で開発したり、ラジオを聴きながらWORKをするように、
メンバー同士の会話を聞きながら、誰かのミーティングの様子を聞きながらWORKをされたりしています。

オフィスで久しぶりにオフライン対面で会ったときに、久しぶり!な感覚になっていては失敗で、毎日会ってるよね。一緒に何のストレスもなくコミュニケーションしながら働いているよね。となっていないと、活用レベル3の準備としては不十分です。

もちろん、前述のように、ホワイトボードを活用するような濃密なディスカッションはオフライン対面が望ましいですが。その頻度がどれくらいあるのかは会社や組織の中でも変わってくると思いますので、組織ごとに設計していけば良いと思います。

活用レベル3の準備ができていないのに、原則在宅勤務になっている今の問題

上記で書いてきたように、原則在宅勤務の状況では、コミュニケーションに合わせたツールを活用できていないといけませんし、常時メンバー間でテレビ会議や音声をつないで一緒に仕事をしている必要があります。

おそらく、これらの準備が十分に整っていない中で、原則在宅勤務が推進されていると思います。
この後は、コミュニケーションが減った。などの問題が出る中で、
生産性が下がったと結論づけられる懸念は冒頭に書いた通りです。

テレワークは自分たちの会社や組織には難しいという結論ではなく、活用レベルに合わせた何の準備が足りていなかったのか?という結論を導き出して欲しいと思います。

ビジネスチャットが活用されていない。コミュニケーション手段の選択をどう変えるべきか?が浸透していない。そもそもペーパーレスが進んでいない。などの具体的な推進課題を出して、前に進めて行って欲しいと思います。

最後のまとめとなりますが、テレワークはパフォーマンスを最大化するためのものであることが大前提であり、在宅勤務が推奨されたからといって業績が落ち込むような結果になってしまっては、会社としては元も子もありません。

今回のnoteを通じて、現在テレワークや新しい働き方を模索している人にとって、何かしらの気づきを与えられることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

なお、具体的な準備でお悩みの経営者や推進担当の方からご連絡いただければ、出来る限りサポートさせていただければと思います。

以下は、テレワーク活用レベル3の先の働き方と、オフィスのあり方についてまとめています。効率的な働き方の先で目指す、イノベーションが起こりやすい働き方に向けて。というテーマです。併せて参考いただければと思います。



経営戦略、人事戦略、働き方について、自身の経験を通じて得た気づきや学びを書いていきます。フォローしてもらえると喜びます! リクルートにて営業→経営企画室長→広報ブランド推進室長→働き方変革推進室長→リデザインワークを創業+ベーシック取締役COO+情報イノベーション大学客員教授