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【著作権】引用するとき注意したいこと

 自分の著作において,何かの文献を引用したいことはありますよね。この場合,いかなる引用でもよいかというとそうではありません。

 自分の著作において引用したものは,著作権法上許される要件に当たる場合でなければ,許諾なしにすることができません。

 著作権法では,「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」(32条1項)とされております。

 まず公表された著作物である必要がありますが,さすがに未公表のものを引用することは困難でしょうから,これには大抵は当たることと思われます。

 次に公正な慣行に合致することが必要です。これは,「世の中で著作物の利用行為として実体的に行われており,かつ,社会感覚として妥当なケースと認められるもの」(加戸守行『著作権法逐条講義』六訂新版p266)とされています。これを読んでも何が当たるのか示してもらいたいと思うことと思いますので同書でとりあげられている例をあげますと,同書では他人の考えを論評するために他人の著作物を引用する場合があげられております。この場合において引用する方法としては,引用する側とされる側とが明瞭に区別されていることが求められます。引用箇所を鍵かっこを用いるなどして区別することが必要です。

 さらには,報道のため,批評のため,研究のため,その他に引用の目的上正当な範囲内である必要があります。引用の目的上正当な範囲内とは何でしょうか。

 これはあくまでもメイン,主が自分の著作であり,他人の著作はサブ,従であるという関係が求められるということです。

 あくまでも自分の著作として執筆するわけですから,引用している他人の著作でほとんどが占められているようなどっちがメインなのかわからないようなものは引用の目的上正当な範囲内とは認められないということになります。

 自分の著作において必要があって他人の著作を引用するときは,以上のことを注意いただけると安心して執筆活動ができると思います。


 

 

 

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