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白檀

お嬢様だったという祖母は、出かける用事があると、よそ行き用の着物に着替え、がま口の小さなバッグに扇子をしまい込む。幼い頃の私は、出先で退屈するたびに、祖母の扇子を借りて遊んだものだ。香の焚き染められた扇子からは、煽ぐたびに白檀の香りが立ち上っていく。私には今でも、白檀は祖母の香りだ。

【御礼】ありがとうございます♥