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「好きを仕事に」って、「する」もんじゃなくて「なっていく」もんじゃないのかな。


「好きを仕事にしたい」よく聞きます。
Youtubeのキャッチコピーの「好きなことで、生きていく。」の影響もあるかもしれません。好きなことを仕事にしたい、好きなことで生きていきたい。素晴らしいと思います。が、

現実は、「好きなことを仕事にしなきゃ」と囚われて、かえって苦しんでいる人も多いのではないかと思うのです。


「好きを仕事にしている」ように見える人に聞いてみた

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「さわらぎさんみたいに、好きなことを仕事にしたいです」
セミナーに来てくださる方に、よく言われます。

とても喜ばしいことではあるのですが、キラキラとした目でそう言われると、「うーん」と後ずさりしたくもなります。

胸を張って「好きなことを仕事にするって最高だよ!」「みんなもしようぜ!」みたいな気持ちにはなれない。だって、好きなことで起業したけど、お金を稼げず、子どもに当たって自己嫌悪になったり、夫婦仲が悪くなったり、体調を壊したりしてしまった人もたくさん知っているから。

私の周りには、「好きを仕事にしているように見える」人がたくさんいるので、ある時、50人ほどに聞いてみました。

「どうやって、好きを仕事にしたのですか?」


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「好きを仕事にしたという意識はない」

というのが、聞いた人たちの共通する答えでした。

曰く、
◎その時、その時でできることをやっていたら今になっている。
◎好きかどうかは別にして、得意なことをしてきた。

いちばん多かった答えは、

◎他にできることがなかった

これは私もすごくわかる気がします。10年前に会社を辞めなくちゃいけなくなった時、「じゃあ個人でできることは何か」を必死で考えました。
血迷って良くわからない資格を取ろうとしたり、再就職もチラリと頭をよぎりました。
でも、「今の自分にできることからやろう」と思い、自分にできることと言えば文章を書くこと、人の話を聞いて文章にまとめること、それぐらいしかないなと思い、ライターとして活動することにしたのです。

「こうなりたい」「こんな仕事をしたい」という意識は持っていたけれど、できることは、「今目の前にある、自分のできること」でしかない。

「好きを仕事にしたい」と言って、苦しかったり、うまくいかなかったりする人は、

「理想の自分」と「現実の自分」の間にあるギャップに押しつぶされてしまっているのかもしれないなと感じました。

でも、やっぱり「目の前にある、今の自分にできること」の積み重ねでしか、未来は作れないのです。


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好きを仕事にしている(ように見える)人には、2パターンいる

まわりの人に聞いてみたり、いわゆる「成功者」と言われる人の本を読んだりして、「好きを仕事にしている(ように見える)人」には、2パターンがあると気づきました。

① 好きな「こと」を仕事にしている人(DO,やり方

このパターンの人は、「好きなこと」を仕事にしている人です。つまり、絵を描くのが好きだから絵を描く仕事をしている。歌を歌うのが好きだから、歌を歌う仕事をしている。

多くの人が憧れるのがこれではないでしょうか。でも、現実にはこういう人は、本当に、そのジャンルのトップ1%もいるかどうか。一握り中の一握りです。

そして、こういう人たちは、純粋に「その行為自体が好き」だから続くのです。つまり「小説を書くのが好き」な人が小説家になれるのであって、「小説家になりたい」人が小説家になるのはむずかしい

小説を書くのが好きな人は、小説家になれようが、なれまいが、小説を書きたくてしょうがないから、書き続けられるのです。だから、結果的に小説家になれる。

好きな「こと」を仕事にしている人は、純粋に、もう何があっても、その「こと=行為」に対する情熱が圧倒的なのです。


② 好きな「状態」で仕事をしている人(BE,在り方)

もう一つは、その行為というよりも「それをしているときの自分が好き」な状態です。私の周りにいる「好きを仕事にしているように見える人」は、ほぼこのパターンだと感じました。
( ♪ あなたといるときの自分が一番好き~ とドリカムが昔歌っていました)

そして、(あくまでも私の主観ですが)、こちらのパターンの人の方が、幸福度は高そうです。

自分は、どんな状態で仕事をするのが幸せなのか?

◎周りにはどんな人がいる?
◎朝起きてから夜寝るまで、どんな時間の使い方をする?
◎働く場所は?環境は?
◎どんな気分で過ごしたい?

そういうことを、一つ一つ考えて、言葉にして、「何をやるか」よりも「どういう状態でいたいか」を決めると、何をやっていたとしても「好きな状態で仕事ができる」のではないでしょうか。

圧倒的な一握りの天才以外の人は、②のパターンを目指すのがいいんじゃないかなぁと思ったりします。そして、②のパターンを極めていく過程で、自分の「好きなこと(DO)」が見えてきたら最高かなと。

自分で言うのは何ですが、今の私はその状態にいる気がいます。会社を辞めて独立した当初は、正直、あまりやりたいわけではない「請負のライター仕事」をやっていました(1記事○円みたいなこととか、締め切りがキツイ仕事も)

でもその中で、模索し、「自分の好きな状態(BE、在り方)」に近づくように調整することで、「これをやっている時が最高に楽しい!」と思える仕事を作れたのです。

そう、私の場合は、「好きな仕事に出会った」のではなくて、やっていくうちに気づいた「こういうことを、こういう状態でやれば最高」という仕事を自分でつくったのです。

だから、「好きなことを仕事にしたい」という人には、はじめっから、パッケージングされた「好きなことを仕事にできる仕事はこちらです」みたいなものは、売っていないよ。と言いたいのかもしれない。


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「好きを仕事にしたい」と思うけどうまくいかない時は、逆転の発想で

「好きを仕事にしたいけど、何をしたらいいかわからない」「好きなことで資格を取ったり勉強をしたりしたけど、うまくいかない」という人は、

「自分の好きなこと」に囚われすぎているんじゃないかな、と思ったりします。

当たり前ですが、「好きなことをやる」だけでは「仕事」にはなりません。仕事とは、誰かに価値を提供して、その対価にお金をもらうもの。

価値とは何かというと、「変化」です。

つまり、仕事とは相手に変化を起こせること。

私たちはつい、自分の「やりたいこと」「好きなこと」から仕事をつくろうと思ってしまいがちですが、そこにニーズがなければ、仕事になりません。


だから、逆転の発想で、「自分がやりたいか、好きか」はいったん横に置いて、世の中のニーズを見るのです。

私が「好きなことを仕事にしたいけど、何をしていいかわからない」「好きなことを仕事にしたけど、うまくいかない」という人におススメする脱出方法は2つです。


Ⓐ 自分がやりたいこと・好きなことは度外視して、世の中のニーズを見る

これは、慣れないうちは難しく感じるかもしれません。でも「自分の仕事」や「自分のやりたいこと」のメガネを外すと、世の中のニーズが見えてきます。

今、目の前にいるこの人は、
どんなことに困っているのか、
どんな悩みを抱えている人がいるのか、

カフェで隣に座っている人から聞こえてきた愚痴、ネットで誰かがつぶやいていたこと、友人からの相談。
それらがニーズです。

それに「自分ならどんな方法で答えられるか」を考えるのです。

「自分はこれがしたい」だけでは、そこにニーズはない可能性があります。でも相手のニーズから発想すれば、間違いなく「ニーズ」はあるのです。

Ⓑ 自分が当たり前にできることから仕事にしていく

私が独立後、やったのはこのパターンです。自分が当たり前にできて、あまり苦痛ではないこと、気づいたらスルッとできていること、それを「小さくてもいいから」仕事にしていくのです。

やっていて苦痛ではないこと、時間を忘れて集中できること、自分では当たり前にやっているけど誰かに喜んでもらえること、

そういうことを仕事にできれば、「自分のやりたいこと」から発想するよりも、「自分もまわりも気分よく」仕事ができるんじゃないかなと思ったりしています。


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