
トランプ関税発動、カナダ/メキシコ/中国だけじゃない?次は2/18頃

トランプ大統領、カナダ/メキシコ/中国へ関税発動
先週のFOMCは予想通りでほぼノーイベントでしたが、トランプ劇場が相場を動かしていますね。2/1からメキシコ、カナダ、中国に関税を発動するとしていましたが、トランプ氏、本当に大統領令に署名しました。
・トランプ米大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名した。
・カナダからのエネルギー製品に対する関税率は10%とする。メキシコからのエネルギー輸入には25%。23年のカナダからの原油輸入は1000億ドル近くに上り、同国からの輸入全体の約4分の1を占めた。
・不法移民や合成麻薬「フェンタニル」の流入を巡る国家非常事態が終わるまで関税を継続する
【カナダ】これを受けてカナダも報復関税を発表。
・米国の関税措置に対抗して1550億カナダドル(約1065億米ドル)相当の米国製品に25%の関税を課す
・関税は米国産のビール、ワイン、バーボン、果物、フルーツジュースなどを対象とし、トランプ氏の地元フロリダ州産のオレンジジュースも含まれる。このほか衣料品、スポーツ用品、家電製品なども対象。
【メキシコ】メキシコも報復関税の準備に取り掛かった模様。
メキシコは米国から輸入する豚肉、チーズ、生鮮品、鉄鋼、アルミニウムなどに5─20%の報復関税を課す用意をしている。初期段階では自動車産業を対象外とするという。
【中国】中国はWTOに提訴の意向を表明しましたが、具体的な報復関税などの話はまだ出ていないようです。
報道錯綜、関税延期報道で株高の局面も
実は、週末1/31(金)トランプ氏はカナダ/メキシコへの関税発動を1ヶ月延期するという報道があったんです。これで、NY市場前半は比較的堅調な値動きでした。関税はディールのツールであり実際はそれほど過激な関税発動は回避されるのではないか、として楽観的ムードが広がったあと、その報道がバッサリ否定された格好です。
カナダとメキシコに対する25%の関税措置を3月1日に延期する見通し。関係筋3人がロイターに対し明らかにした。
ホワイトハウス報道官によると、31日に関税に関する発表の予定はない。
関係者筋の話、という報道を信じてはいけませんね…。
米国株式市場、関税発動を受けて幅広く売りが広がる
米国株市場は関税発動のニュースを受けて軒並み売られる展開となりました。S&P500は1/24に昨年の高値を超えて史上最高値を更新したのですが、1/27DeepSeekショックで叩き落され、その後再度高値を目指すかと思われたのですがトランプ関税発動で再び売られる展開。

ダウ平均は去年の高値を超えられずに反落となりました。

この株価の反応が一時的に終わるのかどうか。そもそも1/31に関税発動延期という報道があったために多少楽観が広がる局面はありましたが、トランプ政権はもともと2/1から導入するとしていたので、サプライズではありません。よってこの影響が長期化するとは考えにくいのですが、マーケットにどれだけ関税引き上げの悪影響が織り込まれているかはわかりません。拳を高く振り上げたとしてもディールのツールであり本当に25%の関税はかけないだろうと思っていた向きも少なからずあったようですので、だとするならば、現実に2/4からの関税発動はまだ全て織り込まれていなかったという可能性も否定できません。今週の値動きを確認するほかありませんが、少なくても週明けの東京市場、株は売りからスタートすると見られます。
日経平均先物夜間取引派39360円まで売られています。1/31(金)東京市場終値は39572.49円でした。それほど大きな下落ではありませんが。

関税発動これで終わりではない、2/18頃半導体、鉄鋼なども
今週はカナダ・メキシコ・中国への関税発動の影響を見極める週となりますが、これで終わりではないということがリスク回避をさらに大きくするかもしれません。
トランプ氏は3か国への関税とは別に、石油や天然ガス、半導体、鉄鋼、アルミニウム、銅、医薬品など幅広い品目に関税を課す考えも示した。
対象国や税率には触れず、「恐らく2月18日頃に実施されるだろう」と述べた。日本も対象に含まれる可能性がある。
トランプ大統領は2/18頃にエネルギー、半導体、鉄鋼、アルミなどの関税を発動する考えを示しました。また、次期は明らかにしていませんがEUに対しても発動の考えがあることも明言しています。
第2期トランプ政権は、第1期と違いその政策実行のスピードが早い。相当に準備されてきたものと見られます。矢継ぎ早に関税が発動されそうですが、この環境下でリスクテイクできるでしょうか。株式市場、調整が大きくなるリスクは高まっているような気がします。
関税発動で米金利は再上昇となるか?
報道を受けて長期金利は上昇しています。関税発動によって米国のインフレ再燃警戒が改めて織り込まれる動きということでしょう。株下落の資金の受け皿となったのでしょうか、短期金利は低下しています。

米金利上昇となればドル高ですね。為替市場では再びドル高の様相を強めています。

関税発動でこのまま米金利上昇が持続するか否かが重要なポイントです。米金利上昇でドル高、というだけでなく米金利上昇で株が大きく崩れれば、リスク回避相場となり、リスク資産のキャッシュ化がドル高をもたらす可能性もあります。
リスクオフはクロス円相場の下落をもたらしますが、ドル円だけは大きく下がらないという相場になるかもしれません。1/31(金)はそんな値動きでしたね。

下段 NZドル円 豪ドル円 カナダ円
関税発動1ヶ月延期報道でクロス円は上昇していましたが、これが否定されたことで上ヒゲを付ける形で円高方向に振れて週末の取引を終えています。しかしドル円相場はドル高ですね。この辺リの値動きを先読みするのは難しいです。。。豪ドル円96.52円ショートはコスト近辺でカット。さほど利益にならずにポジションを切らされる展開が続きます・・・クロス円は再度売ろうかと考えたのですが、トランプ相場は週跨ぎのポジション保有は避けたほうがいいかな、と手が出ず。
NVIDIA、ジェンスン・フアンCEOトランプ大統領と会談
先週市場を驚かせた中国のAI、DeepSeekですが先端GPUを使っていないというのは疑わしい、NVIDIAの製品を迂回輸入していたのではないかと指摘されています。
・DeepSeek、シンガポールの仲介者を使い、中国への販売が禁止されているエヌビディアの半導体を購入したか?米当局が確認を進めている。
・シンガポールはエヌビディアの売上高の約20%を占めている。
・エヌビディアの広報担当者は、シンガポール関連の売り上げは中国への迂回(うかい)を示すものではないと説明。
Did DeepSeek illegally buy Nvidia's chips?
— The Kobeissi Letter (@KobeissiLetter) January 31, 2025
Since DeepSeek was founded, Nvidia's sales to Singapore are up a WHOPPING +740%.
The US is now PROBING if DeepSeek bought Nvidia's GPUs through third parties in Singapore.
This will have MASSIVE implications.
(a thread) pic.twitter.com/Jyxrd8zEIc
DeepSeek が設立されて以来、NVIDIAのシンガポールへの売上は 740% 増加しました。 米国は現在、DeepSeekがシンガポールの第三者を通じてNVIDIAのGPUを購入したかどうかを調査しています。
どうやらNVIDIAのGPUはシンガポールを経由して中国に流れていたようです。輸出規制を搔い潜ってという話ですがNVIDIAはわかっていて輸出したのか、気がつかなかったのか。というわけで、NVIDIAのCEOジェンスン・フアン氏とトランプ大統領が会談しています。
トランプ氏は記者団に対し、フアン氏との会合は良好だったとしながらも、「最終的には半導体に関税を課すことになる」と主張した。
話し合いは穏やかに行われたと見られますが、中国への先端GPU輸出をこのまま放置するわけがないですよね。NVIDIAの株は、DeepSeekショックで下落した後、反発しきれずにいます。

2/18頃の半導体への関税発動が示唆されていることもあり、NVIDIAの株が急反発する地合いではなさそうですが、この株がさらに下落すると市場のキャッシュ化はさらに進みそうです。つまりドル高が加速する可能性がある、ということです。クロス円では円高かな。
今週は雇用統計、年次改定の数字にも注目
今週の注目イベントは米1月分の雇用統計発表ですが、今回は年次改定の数字も発表されると合って注目度が高い。
NFP、Bloomberg予想中央値で前月比17万人増と、堅調な伸びが見込まれている。
年次改定
昨年8月に発表された推計値では、2024年3月まで1年間の雇用者増が81万8000人の下方修正となることが示された。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)はこれより少なめの約70万人の下方修正になる公算が大きいとみている。
2/7発表 1月分米雇用統計予想

12月分の非農業部門雇用者数がハリケーンや大規模ストライキの影響からの回復を反映して、大幅な伸びとなっていたため、それと比較すると予想は控えめですが、それでも15~17万ならそれほど悪いということもありません。何と言っても前回失業率が4.1%にまで低下していましたので、労働市場にそれほど懸念がある状況ではありませんが、予想値に対してどんな数字が出てくるか。年次改定は8月に出された81.8万の下方修正から70万人程度の下方修正なる予想ですので、それほど市場をクラッシュさせることはなさそうですが、これが100万など増加方向に修正されるとドル金利低下方向に動くと思われます。
NOTE
ようやく石破首相とトランプ大統領と会談が実現します。しかし、この報道ちょっと違和感がありますね。
トランプ米大統領は31日、石破茂首相が来週ホワイトハウスを訪問すると明らかにした。
トランプ氏と石破氏の会談は2月7日行われる見通し。トランプ氏は記者団に対し、石破首相との会談を楽しみにしていると語った。
トランプ大統領が発表する形で明らかになったようです。日本側から正式にこの会談について報道がないようですが日本側の調整はついているのでしょうか。報道らしい報道はこれ。トランプ大統領の会談前に首相の勉強会が開かれたというもの。
勉強会でググるとこんなニュースも。すでに自民党内ではポスト石破に向けて動き出しているようです。やはり石破政権は短命か。
トランプ大統領は記者からの
「2月7日に日本の首相と会談し、何を話すつもりか」という質問に、
彼は来週、来る。私は(何を話すのか)分からない。彼が会談を求めてきた。私は日本に大きな敬意を抱いている。日本が好きだ。安倍晋三首相(当時)はとても親しい友人だった。彼に起こったことはとても悲しいことで、最も悲しい出来事のひとつだったが、彼らは私と話すためにやって来るので、楽しみにしている。
と話したと報じられています。安倍前首相の名前を挙げた一方で、元首相の石破氏は「彼」と呼んでいます。名前を覚えていないのでしょうか。
会談は2/7(金)雇用統計の日ですね。
うまくやれる気がしないのですが、マーケットのリスクイベントとならないことを願います。ニュースが出てくるのは8日土曜かな?週明け月曜のマーケットに響くようなネガティブな会談となりませんように。
今週の主な予定
■2/3(月)
●日銀金融政策決定会合の主な意見(1/23~24開催分)
●1月新車販売台数(14:00)
●1月軽自動車販売台数(14:00)
●中国1月財新製造業PMI(10:45)
●EU消費者物価指数(19:00)前2.4% 予2.4%
●米1月ISM製造業景況指数(24:00) 前49.2 予49.6
■2/4(火)
●1月マネタリーベース(8:50)
●米12月雇用動態調査(JOLTS)求人件数(24:00)前809.8万件
●米12月製造業新規受注(24:00)前▲0.4% 予0.5%
■2/5(水)
●NZ雇用統計(6:45)失業率 前4.8% 予5.1%
●12月毎月勤労統計調査(8:30)前3.9% 予3.8%
●米1月ADP雇用統計(22:15) 前12.2万 予15.3万
●米12月貿易収支(22:30) 前▲782億ドル 予▲804億ドル
●米1月ISM非製造業景況指数(24:00)前54.1 予54.5
■2/6(木)
●1月都心オフィス空室率(13:00)
●イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表(21:00)
0.25%利下げ予想
■2/7(金)
●12月家計調査(8:30)
●12月景気動向指数(14:00)
●米1月雇用統計(22:30)
●米2月ミシガン大学消費者マインド指数(24:00)前71.1
●米12月消費者信用残高(2/8 5:00)