
東京市場は全面リスクオフ、米市場、メキシコへの関税発動、1ヶ月延期報道で急反発

トランプ関税発動で日本株市場全面安~米国株市場も大幅安スタート
※note執筆途中にメキシコ関税発動延期の報が入ってきたため、前半はリスクオフ相場の中での解説になっています。最後までお読みいただければ幸いです。
⬇️
覚悟はしていましたが、週明け2/3(月)日本株市場全面安の展開となりました。先週末にトランプ大統領がカナダ・メキシコ・中国への関税発動の大統領令に署名したことを受け、株式市場には悲観が広がりました。日経平均は1000円を超える下落です。

日本の金利上昇を支えに銀行株などが牽引してきたTOPIXもご覧の下落。
とはいえ、レンジの中です。このトランプ関税ショックでレンジ下限が支えられるかが今週のポイントでしょうか。2/7(金)のトランプ大統領と石破首相の会談はやや心配…。

今日色々話しを聞いて見たところ、トランプ関税はディールのツールであって、最初から公言通りの関税発動となるとは思っていなかった投資家が多かったようです。でなければこれほどの反応になりませんね。
また、このトランプ関税によって世界経済にどのような影響があるのか。改めて確認すると、この関税が長期化すると現在の株価水準の維持が難しいだろうことが理解できます。
■エコノミストの多くは25%の関税を本当に導入するか最後まで懐疑的だった。1日夕にトランプ氏が大統領令に署名したことを受け、影響の深刻さを再度見直し始めている。
■関係する4カ国で目減りする国内総生産(GDP)は年90兆円規模に上り、そのうち半分は米国自身が負う可能性がある。
■打撃を受けるのは米経済の中核である個人消費
■米個人消費支出(PCE)でみた物価上昇率も今後3〜4カ月は0.3〜0.6ポイント上振れする。

■メキシコとカナダに25%、中国に追加で10%の輸入関税を課す。
■米商務省の2024年1〜11月のデータによると、自動車や自動車部品はメキシコからの輸入総額の27%、カナダからの12%を占めた。
■24年の米国の自動車販売台数の22%がメキシコとカナダで生産された。
■メキシコ、カナダ、中国の3カ国への関税は完成車と部品を含む米自動車産業の営業利益を330億ドル(約5.1兆円)下押しすると試算
■一律関税は米国の実質GDP(国内総生産)を0.76%、日本で0.07%押し下げる

関税付加は米国自身の不利益にもなる、というわけで、今夜は米国株市場も大きく崩れています。米国株市場はクローズまで見ないとわかりませんけどね。0:05時点のチャートです。

下段 NASDAQ ラッセル200 ダウ輸送株
日本経済への影響についてはこの記事。
日本の国内総生産(GDP)の約3%を占める自動車産業への影響。メキシコは同産業の集積地で、自動車市場として世界で2番目に大きい米国への輸出拠点となっている。
トヨタ自動車 (7203.T)、ホンダ (7267.T)、日産自動車 (7201.T)、マツダ(7261.T)が工場を構える。トヨタとホンダはカナダでも生産している。
現地企業の対米輸出にかかる関税の影響で、国民総生産(GNP)に最大1兆9000億円のマイナスとみる。
取引先についていく形で多くの部品や素材メーカーが現地へ進出し、外務省の調査によると、2023年10月時点でメキシコには1498、カナダには982、中国には香港含め3万1060の日系企業の拠点がある。特にメキシコとカナダで生産した部品や素材は現地で消費されるだけでなく、米国へ輸出もしている。
日本の対米黒字が減っている(米国から見れば対日赤字は減少している)背景は、日本企業が製造拠点を日本ではなく海外にシフトしたためですね。そしてその拠点となっているのがメキシコ、カナダであると。つまり日本に直接関税をかけることがなくても、メキシコ・カナダへの関税付加で日本の自動車メーカーにとっては大打撃なのです。
今日、トランプ大統領はカナダのトルドー首相と電話会談しています。現地時間午後に再度会談する予定があるようです。またメキシコとも。
この会談で、関税付加が長期化するような結果に終わればリスクオフ相場は短期に収束しそうにないですが、もし、カナダ、メキシコが折れる方向なら突如株が反発する可能性もゼロではありませんので、トランプ劇場気が抜けません。今日パナマのムリノ大統領はパナマが中国と国交を結んだ2017年に交わした「一帯一路」の協力に関する覚書について「私の政権では更新しない」と明言し、早期終了も検討する考えを示しています。結論出すの早いですね。
米長期金利低下もドル高
リスクオフ相場となり、株が売られているため債券市場が資金の受け皿となっているようです。米長期金利は大きく低下しています。

米金利低下なら米ドル安になっているか、というと、そうではありません。ドル金利低下でも、ドル高です。株などのリスク資産が売られキャッシュ化する流れでドル需要が増えるためドル高となっています。リスクOFF時の通貨市場のセオリーは「ドル高であり円高」です。
通貨インデックスを見ると明らか。ドルと円が強いですね。

とかなんとか書いていましたら、今ドル円始めクロス円が猛烈にリバウンド。株も反発基調に入っています。ニュースを探すとこれっぽい。
メキシコへの関税発動、1ヶ月延期か?
MEXICO'S SHEINBAUM SAYS TARIFFS DELAYED FOR A MONTH
— *Walter Bloomberg (@DeItaone) February 3, 2025
メキシコのシェインバウム大統領、 関税は1か月延期と発言。
米国への麻薬密売を防ぐため、メキシコは国境に直ちに1万人の国家警備隊を配備すると述べたようです。
これを持って、トランプ大統領との間で、関税発動が1ヶ月延期となったということのようですが、Xのポストでしか確認できておらず、まだメディアの報道がありません。しかし、値動きからなにかニュースが出たことは明らかですので、メキシコへの関税発動が延期されたのでしょう、多分。
見てください、このクロス円の急反発を、、、、15分足。
ドル円はそれほどでもありませんね。

下段 NZドル円 豪ドル円 カナダ円
米株、先程大きく下落している時点でのチャートを貼りましたが、今はこんなチャートになっています。0:40、反発上昇し始めました。ボラタイル過ぎますね。

リスクオフ相場から急にリスクテイク相場になったために、クロス円相場が急反発となっていますが、ドル円の反発が鈍いのは、ドル金利が低下しているためかと思われます。米株は反発していますが、ドル金利が上昇する気配はなく、おそらくこの株上昇はショートカバー。売りの買い戻しです。買い戻しが一巡すれば上昇の勢いは衰えるものと見ています。債券市場に逃げた資金が株式市場に戻るという相場にはなっていないと思われます。

米経済は強い、金利低下は限定的か
ただし、トランプ相場でマーケットが右往左往、ドル金利が低下しているのですが、今夜発表されたISM製造業景況指数は強く、今年の米国の利下げ回数ははやり1~2回にとどまるだろうと思われ、どんどん米金利が下がっていくということでもありませんので、ドル円下落も限定的かな。
ISM製造業総合景況指数は1.7ポイント上昇し50.9
2022年9月以来の高水準
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は50

今日はたくさんトレードしました。東京時間はクロス円を売り、買戻し、再度売っていたところでメキシコの関税発動延期ニュースで踏み上げられて損切り。ほんとトランプ劇場気が抜けません・・・
このnoteを書きながら再度ユーロ円を159.57円、ユーロドルを4.0316ドルで売ってみました。ユーロを選択したのは、これから関税がかけられると思われるためです。
間違いなく実施ということですので、先程ユーロがリバウンドしたところを狙って売り参戦。明日起きるまでの間にまたトランプ砲で相場が急変しませんように・・・。今夜の急反発時の高値を超えたらカットします。
NOTE
OPECプラスは3日の合同閣僚監視委員会(JMMC)で、2026年末まで協調減産を実施する従来方針を確認した。原油価格を引き下げるトランプ米大統領の要求には応じず、減産方針を据え置く姿勢を示した。
日量166万バレルの自主減産の期限を25年末から26年末まで延長した。有志国による別の枠組みの日量220万バレルの自主減産の段階的な縮小は3カ月先送りして4月から開始する。
減産維持でも原油は上がりませんけどね。
