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HR Expo Ⅱ ; Techが効いている採用支援サービスを見つけたので、勝手に分析しました。

2020/9/16-18に幕張メッセで開催されたHRexpo(全体のレポはこちら)。

ブースの人:「完全定額制のオンライン型転職エージェントでーす。」
(おっ、やはり人材紹介も定額制サービスが出始めてきてるのかな?、結構大きなブースで出展してるどんなとこだろう。。)
私:「定額制って一人いくらの成功報酬でやってるんですか?」
ブースの人:「6ヶ月契約で月額10万円で何人採用してもいい定額制でご案内しています。」
私:「はい????? 人材紹介でそれって成立するんですか???」
ブースの人:「私、学生インターンなので、詳しいことはわからないんですけど、大丈夫なんです!」

この学生インターンの言ってることがほんとなら、月額固定で採用し放題の人材紹介サービスをビジネスモデルにしてるって、成立しないだろーー!

ということで先日、どういう仕組みになっているのか、事業部の方に詳しくお話を伺いました。

求人メディアサービスに限りなく近い転職エージェント

このサービスを提供している企業さんは、株式会社スマイループスさん。代表の方が、もともとプロダクト開発系の出身とあって、プロダクトの作り込みがしっかりしています。ここにこの会社の競争優位性を感じました。この時点で、普通の転職エージェントではないなと気がつきました。

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※サービス紹介資料より

求人メディアと人材紹介のお互いの欠点

<求人メディアの欠点>
最近の大手求人メディアは、慢性的な人材不足の市場により、膨大な掲載数があり、ただ求人情報を掲載しただけでは、採用競争力のない会社においてほとんど応募がありません。そのため、「スカウト」という企業側から求職者に直接メールでアプローチしていくことが主流となっています。

そのため、人事担当者は、「効果的なスカウトを送る文面の作成」「対象者の検索とスカウトの配信」「スカウト送信のための費用」という大きな負担を背負うことになりました。
それでも、費用を払って求人掲載しても採用できない可能性もありお金の無駄遣いになってしまうことも考えられます。

<人材紹介サービスの欠点>
人材紹介サービスは、基本的に上記のような候補者を集めてくる作業を全て代わりに行ってくれ、採用が決定するまで費用がかからないという夢のようなサービスですが、一人採用した時の成功報酬費用がものすごく高い。それもそのはずで、人材紹介会社はそれだけ時間と労力をかけて人材を紹介しているMAXプレミアムな採用代行サービスだからです。採用予算を潤沢に持てない企業は、そもそも人材紹介は使えないという話です。

両方の欠点をTechで解決する

このお互いの欠点を解決しようとするとそれぞれのゴールは、
<求人メディア>
手間をかけずに応募が担保される
<人材紹介サービス>
人材紹介する側の工数を軽減することでサービス単価を低く提供することができる
これを、スマイループスさんは、2つの独自のTech開発で、解決しています。

一つは、手間がかかっていた「スカウト」配信を、AIを使って解決。企業は、求める人物を設定しておけば、応募者の職務経歴書などのプロフィールデータをAIが読み込んで、「一人一人に適切なスカウト文面を作成」「自動的に配信」という機能を導入しています。

これにより、人事担当者は、日々のスカウト配信という不毛な業務から解放されるようになります。これだけでも価値があるサービスだと思うのですが、なんと、AIでの自動配信の方が、通常人事が送るスカウトよりも3倍の応募があったというではないですか!(*1)。もはや、自分で送っちゃいかん!という時代か。。。。

もう一つは、人材エージェントの負担を最小限にする機能を実装しています。
通常、キャリアアドバイザーといわれる人材エージェントのスタッフは、転職希望者のキャリア相談を受け求人を紹介し、応募する企業を決めてもらった上、推薦文を作り企業へ推薦。求職者の就職支援をしながら、入社までの仲介役としてずっと付き添っておく必要がありました。

これを、アプリ上で応募者とのやり取りを全てチャットベースにしたり、求人の紹介やその後のオペレーションプロセスをミニマム化することに成功しています。このことが、キャリアアドバイザーの機能はそのまま残せながらもコスト削減を可能にしています。

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※サービス紹介資料より

採用市場の課題解決型のTechだからうまくいく。

このように、今の日本の採用市場における課題解決をTechで実現しているビジネスモデルが、このサービスの強さにつながっていると思います。
それでいて、AIやアプリがしっかり作り込まれているので、使いやすいし、わかりやすい。
真新しさやイノベーティブすぎて「それってなに?」みたいなマーケットからかけ離れたプロダクトアウト型の新サービスは、よっぽどのサービスでなければ市場に浸透しません。それよりも「なんか今までのより、良くなってるよね」感が伝わる方が市場には浸透しやすいように思います。

一見すると普通の求人メディアサービスだとも取れるし、お安くなった人材紹介サービスとも取れる「ジョブクル転職」は、採用市場で上手にポジショニングして着実にスケールしていける競争優位を持っているなあと思います。

サービスの良さと、事業スケールは別もの

とはいえ、どれだけ優れたサービスがあったとしても、日本の独特の人材マーケットで事業スケールさせていくには、独特のセールスマーケティング戦略が必要になってきます。

どのような営業戦略で市場シェアを獲得していくのか。今後もウォッチし続けたいサービスのひとつです。勝手に「ここはもっとこうした方がやり易いだろうなぁ」とか企画の分析をしてしまうのは、もはや趣味です笑。

※この記事は、スマイルループさんから依頼されたいわゆるレビュー記事ではなく、私がただ話を聞いたことを主観を交えて記事にしているものです。したがって、「ほんとのところどうなの?」と興味をもたれた人事担当者さんは、スマイループさんにお問い合わせいただけますと幸いです。

↓最後までお読みいただきありがとうございました。最後に♡をポチッとしていただけますと喜びます。

<分析サービスネタ募集>
こんなサービス見つけたんだけど、これってどうなん??っていう気になるサービスがあったら、お知らせください。(趣味の範囲で)分析して公開したいと思います(人材系が得意)。

(*1; スマイループス プレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000019920.html)


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