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単に経営理論を学ぶだけの本ではなかった

先日も少しご紹介した入山章栄さんの『世界標準の経営理論』。
全体で1,000ページ程度のボリュームがある。
本を読むことが苦手な私ではあるが、今日もゆっくりじっくり読み進めていた。

もともと購入したキッカケは、

・世の中の経営戦略の根本になる理論を学び、理論ドリブンの思考から
    ビジネスを捉えることができるといったような触れ込みが気になったため
・他の類似のビジネス本は現象を紐解き理論を説明するだけ、もしくは、
   理論の説明までたどり着かずフレームワーク止まりになっていたりする中、
   思考の流れが逆であることに「なるほど」と思ったため

である。

いざ読んでみると、本当に根本の理論からの説明なので、自分が普段存在しているビジネスの世界と結びつかず「???」となることも正直ある。ただ、読み進める中で、スッと理論が腹落ちし、「あ〜、だからあの時あの人は、こういう判断したのか」と気づいたり、仕事をする上で大事にしていることが理論づけられていることで自信が持てたりする瞬間が何度もあり、その度に「この本、買ってよかったな」と、思えた。

そして、今日はさらに、本を読むことでモチベートまでされる瞬間があった。
それは、「センスメイキング理論」についての解説を読んでだった。
認識論的相対主義の視点にたった場合、ビジネス世界で起きる事象の解釈の仕方が人によって異なる多義的な状況になる。現状のコロナ禍のような将来の不確実性・不透明性が高い時だと、この多義的な状態は顕著になることはお分かりいただけるであろう。さらに、そういった状況下では、次に取る行動として「正解」の選択肢が何か?なんてわかりっこないのも明白だ。では、どうすればいいのだろうか?

行動である。


ただ無作為に行動するのではない。正解なんてわかるわけがないのだから、自分として納得感のある(センスメイクな)手法にトライ(行動)することが重要であるということだ。行動を起こすことで、主体である自身を取り囲む周囲の環境に変化を与えることができ、新しい情報を得ることができる(=現在の状況に対して、新しい認知が生まれる)。結果、不明確な事象が鮮明になり、次なる行動の妥当性が増していく。このサイクルを繰り返し実践していくことが、結果として最高の結果を導くことになるということだ。

なに当たり前のことを言っているんだと思われるかもしれない。ただ、この理論を軸に紹介される「ホンダが米国のオートバイ市場で成功した話」や「孫正義氏のリーダーシップについての話」がすごく納得感のあるものだった。

「理論」というものは、誰しもが共通して理解しているモノであるため、説明されたところで「そりゃそうでしょう。」となってしまうものである。なら、その「理論」を読んで、「なるほど!」と強く思い、「今すぐ行動を起こさなければ!」とモチベートされるぐらいに気持ちの変化が起きることは相当なことであると私は考える。

もしかしたら、私自身が今、社内のこれまでの考え方を変える行動を起こしたいという想いを胸に秘めていたからかもしれない。そうだとしても、現に早いとこ行動にうつして環境に変化を加え、周囲の納得感を醸成していかなければと背中を押されたことには間違いない。

世を見ると、例を見ない不透明な未来が待ち受けている今だ。
改めて根本である「理論」を学ぶことが、新しいステージに導いてくれるのではなかろうか。
センスメイキング理論でも説かれている通り、「行動」を起こすことが次なる環境の変化を起こしてくれるはずである。

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