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#Sprint 1 最近よく聞く“アジャイル“って何?

こんにちは、Yachiです。

前回自己紹介にも書きましたが、僕は組織・人事系のコンサルをしていて、Enterprise Agile(“環境変化に機敏に対応する組織”と定義します)を専門にしています。

いずれEnterprise Agileについては整理して書きたいなと思っていますが、その前に、今回はまず、アジャイルとは何か?にフォーカスして書きます。

1.Welcome to the agile world!

最近ビジネス界隈で、このアジャイルというワードが頻繁に使われるようになってきたように思います。皆さんの周りではいかがでしょう?

僕の周りでは、

 「それ、アジャイルでやってみよう!」

 「これをアジャイル型にした場合~」

 「とりあえず、アジャってみよう」(←ホントです)

というように、様々なシーンでアジャイルを耳にします。使用方法もバラバラでバズワード化しています。初めて聞いた時、どういう意味だろう?とググった方も多いのではないでしょうか。

ここで、アジャイルとは何か?を書く前に、僕とアジャイルの馴れ初めを少しだけ書きます。

以前銀行の人事だった時、既存のLMS(Learning Management System)を入れ替えるプロジェクトをリードしてました。

先に言ってしまうと、あまり上手くプロジェクトを進めることができませんでした。正確に言うと、明らかな失敗をしたわけではないけど、

後々振り返って、

 「もっとスピーディーに進められたんじゃないか?」

 「ベンダーやメンバーとの関係はどうだった?」

 「本当にユーザー(従業員)にとって良いシステムなったのかな?」

と、多くの疑問や反省がモヤモヤと残ったわけです。

それから、モヤモヤを晴らすべく、本や人から色々ヒントを得ようと調べているうちに、ある共通ワードに気が付きました。

それが“アジャイル“です

アジャイルは元々、ソフトウェアの開発手法に用いられた用語で、2001年の「アジャイルソフトウェア開発宣言」において、4つの価値・12の原則(図1,2)として定義されているのが代表的です。

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図1:アジャイルソフトウェア開発宣言」引用

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図2:「アジャイル宣言の背後にある原則」引用

んー、価値も原則もほぼ真逆でやっていました...。

F2Fの対話(原則6つ目)はやってたけど、前の会社は人海戦術(?)を是として、進捗が遅れたらコスト度外視で人を大量に送り込むようなところもあったので、コミュニケーションの効率性はゼロ。とにかくコミュニケーション経路もレポートラインも複雑でなかなか大変でした。(←決して悪く言うつもりではなく、多くの企業が陥りがちの罠だと思います)

さて、アジャイルの価値観にピンときて色んな本を買い漁りましたが、すぐ「やってみなはれ」(by 鳥井社長(サントリー創業者))が脳内に響き、本は横置きにScrum(アジャイル開発の代表的な手法)のトレーニングに参加しました。

そこで結局、Scrumの中の役割の一つであるScram Masterの資格を取ることになり、今ではWebアプリ開発・Service development・Project Managementなどに応用しています。

☝生産性を高めるチーム戦術として分かりやすく説明されている本。プロジェクトマネジャーや組織リーダーは必見です!

2.アジャイルとは何か?

ここで使うアジャイルとは、Scrumの手法をベースに書いていきます。

前述のとおり、アジャイルは元々ソフトウェア開発に用いられていました。とてもラフに書くと“短いサイクルでアウトプットを出し、ユーザーやメンバーとの対話や状況変化に対応しながらクイックに改善を繰り返す“というものです。

この手法や思考法は、アウトプットが求められる様々な業務において活用ができるため、最近ではプロダクト開発以外にも、品質管理やマーケティング、人事など、広く用いられています。

また、近年特に技術的な進歩を背景に、オープン化、ソーシャル化、サービス化、スマート化(API連携、クラウド、IoT、ソーシャルメディアなど)といったDX(Digital Transformation)が進み、顧客の嗜好が急速に変化し多様化しています。

マーケットの変化に対応するために、ビジネスサイクルが短期化され、その手法としてアジャイルが用いられるようになりました。なので、DXの文脈の中でアジャイルが語られることも多くあります。

では、アジャイルの特徴は何か。Scrumの場合、大きな特徴が2つあります。

1つめの特徴は、ロール、プロセス、アウトプットの基本フレームがあることです。

 ・Scrumチームの中の“ロール”

 ・Scrumを進めるための“プロセス“

 ・プロセスの過程で生まれる“作成物“

この3つが定義されています。

決められたフレームがあるため取り入れ易く、従来の伝統的な組織もスモールスタートで取り入れ始めていて、社内で成熟させたAgile Practiceを横展開しているケースも増えてきています。

よくアジャイルは、

 ・フラットなチームで役割がない

 ・プロセスはいつでも柔軟に変更できる

といった誤解がありますが、基本の型はあります。(あくまで基本フレームで、対話や変化の中で変更はしていきます)

このフレームを押さえていないと、ウォーターフォールを力技で短く回す“なんちゃってアジャイル“になります。

実はアジャイルには守・破・離※の考え方が用いられたりします。“型を押さえていないと、型を破れない”というのは、まさにその通りです。

※守・破・離:千利休の訓をまとめた『利休道歌』にある、「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」を引用したもの。「本を忘るな」とあるとおり、教えを破り離れたとしても根源の精神を見失ってはならないということが重要であり、基本の型を会得しないままにいきなり個性や独創性を求めるのはいわゆる「形無し」である。(Wikipedia引用)

2つめの特徴は、メンバーやユーザーのPeople Experience(PX)を重視することです。

具体的に言うと、Scrumはメンバーやユーザーの声を常に拾い、日々のプラクティスやアウトプットを改善していくため、メンバやユーザーの価値(experience)を非常に重要視しています。

例えば、Scrumのタスクは、原則メンバー主動で見積もられ、メンバーが自ら担い遂行されるので、メンバー各人の“ヤル気”がとても重要になります。また、アウトプットは未完全であることが前提のため、失敗を許容する雰囲気や心理的安全性は不可欠です。

対ユーザーにおいても、改善のための明確なフィードバックが得るコミュニケーションをとることが必要です。

例えば、システムの進捗報告をする際、パワポの説明だけでは、「うーん...特に問題はなさそうだけど、なんかイメージと少し違うような?よくわからん」という反応なりがちです。ですので、ユーザーからリアルなフィードバックが得るためにMVP(minimum value product)を作り、動作するプロトでデモを繰り返す事(図3)が重要です。

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図3:MVPからユーザーが試運転を繰り返し、改善する

このように、Scrumの場合は大きく2つの特徴をあげることができます。いずれもScrum Practiceの中で常に用いられる重要な要素ですので、もしScrumを始めてみる時には意識をしてみてください。

ただ、Agile の価値観に沿って考えると、明確な“あるべき姿”(到達点)があるわけでなく、プロジェクトやメンバーの特性、ユーザーのリクエスト、状況・環境などを考慮しながら、チームでチャレンジする意識が大切です。

目的やビジョンを揃えることは大事なことですが、スタートラインに立つために時間を費やすことは、アジャイルの価値観においては劣後されます。優先されるべきは、価値を提供するユーザーとのタッチポイントを一つでも多く設けることです。

上手くいかなければ、話し合い協力して、アジャイルにしていけば良いのです。

☝Scrum Masterの主人公が初めてScrumを導入し一連のプラクティスを回すストーリーをマンガで学べます。エッセンスがしっかり盛り込まれてるのでオススメです。

3.まとめ

最後に要点をまとめます。

・アジャイルとは、“短いサイクルでアウトプットを出し、ユーザーやメンバーとの対話や状況変化に対応しながらクイックに改善を繰り返す“手法・思考法

・Scrumの特徴①:ロール、プロセス、アウトプットの基本フレームがある

・Scrumの特徴②:メンバーやユーザーのPeople Experience(PX)を重視

自分でも思考の棚卸になればと思い書いていますが、アジャイルの手法や思考法はチームワークやアウトプットが求められるケースに広く応用できますので、是非チャレンジしてみてください。

次回は、方法論や思考法について整理をしていきたいと思います。

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