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AIと二人三脚!批判的思考で学習指導案をブラッシュアップ!AI辛口指導主事にコメントをもらったら授業づくりが深まった話

皆さん、こんにちは。小学校で働くささです。今回は、AIを活用して指導案をブラッシュアップする方法について、私の実践をもとにお話しします。

「AIを使うと魂が入らない」という批判もありますが、今回はそれを否定するのではなく、AIを効果的に活用することで、より質の高い指導案・授業づくりのサポートができることをお伝えしたいと思います。


1. AIを使って質の高い授業を構想しよう!

AIを使って指導案を作ることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし、実際はそうではありません。AIは私たちの思考を整理し、表現を洗練させる強力な助手となるのです。

ただし、注意すべき点があります。AIに全てを任せるのではなく、AIと協力しながら指導案を作成していくことが大切です。

今回は、このようなAIとの「二人三脚」で指導案をブラッシュアップする方法をご紹介します。ただし、初任者・若手向けの「こうすれば速く指導案が作れる」というものではありません。

むしろ、AIを活用して指導案の質を高めていくアプローチを提案したいと思います。

2. 「教材観・指導観・研修との関わり」の文章化

指導案作成で最初に難しいのは、教材観や指導観といった授業者の思いを文章化することです。言い換えれば、ここが指導案の核心部分になります。授業者がこの教材をどう捉え、どのような指導をしたいのか、という思いを綴るところです。「だからこそ人間が…」という声が聞こえてきそうですが、今回は頭の中に「授業でこうしたい」思いがあるという前提で紹介します。まるっとAIに丸投げするのは論外ですからね。ここでAIを活用する効果的な方法をご紹介しましょう。

  1. まず、AIに次のように指示します。「これから校内研修との関わりについてについて私の考えを話すので、メモを取ってください。『いい』と言うまで返答しないでください。」

  2. 次に、教材に対する思いや引用したい参考文献、関連する指導要領の部分を、途切れ途切れでも構わず話します。

  3. 一区切りついたら、AIに会話を送信します。

  4. その後、実際の教科書や解説書の該当部分をAIに読み込ませ、記録させます。

  5. 最後に、「今の内容を○○文字程度で『である』調でまとめてください」といった具体的な指示を出し、文章を完成させます。

  6. できた文章を推敲します。


実際の様子(この部分はClaude3.5で)

私(ささ)はマイクを使って思っていることを話したり、引用したい部分を書籍を読み伝える。AIはひたすら(メモをとっています)


ひたすら喋り続けている私(ささ)。画像は これだけですが、実際には膨大な思いをひたすら録音しています。 頭の中に思いがないのに、指導を作ると言うのは、私はちょっと違うと思っています。

繰り返しになりますが、 授業を作る自分自身の思いや考えがない状態ではもちろんこの作業はできません。逆に言えば思いや考えがあるけれど、うまく文章に整理することができないときに、こういった方法が有効なのかなと思います。そういった意味では初任者や若手の先生がこの方法を真似するのではなく、ある程度 授業デザインすることができる先生たちが行う方法ともいえます。

文字指定を行い出力させる。やはりClaudeは日本語文章がとても優れている。

とはいってもまだまだである。ここから推敲を重ねていくのは自分の仕事。
このあとやり取りを重ね、結局は3稿くらい往復した。



AIは文章の要約や適切な接続詞の選択が得意です。このプロセスを通じて、自分の考えを整理しながら、読みやすくまとまった文章を作成できるのです。やはりClaudeは日本語文章がとても優れている。

とはいってもまだまだである。生成してから推敲を重ねていくのは自分の仕事。
尊敬する @johnnymaeta 前多先生も言ってる。


3. 指導案の批判的検討:AIに辛口指導主事になってもらいコメントしてもらう。

次に、作成した指導案を批判的に検討する段階に入ります。このアプローチこそ、一人で悶々と悩む授業者の強力な味方となるのです。

  1. 作成した指導案や単元計画のテキスト・PDFデータなどをAIに読み込ませます。

  2. 次に、こんなプロンプトを入れてみましょう

    「あなたは辛口指導主事です。この指導案に対して、辛口なコメントを批判的にしてみてください。私はあなたの回答に対して答えます。私の答えに対して、またさらに辛口なコメントで質問や意見を述べてください。これを私が「オッケーです。整理してください」というまで続けてください。」

  3. AIとのやり取りを通じて、指導がぼやけている部分や、現実的でない部分、実態に合っていない部分などを洗い出していきます。


AIとの実際のやり取りの様子
今回はGeminiを使用。
①まずは指導案を読み込ませる。

今回はGeminiを使って指導案を読み込ませる。
PDFは対応していないのでテキストをまるっとコピペして読ませる。

②次に単元計画を読み込ませる。

勝手に答えないでくださいって言ってるのに、読み込んだ後めちゃくちゃしゃべってくる。

③ここで辛口指導主事に登場してもらう。

指導案検討会でも単元計画自体の協議はあまりなされることがなく、このやり取りは本当に価値あるやり取りになった。

④私(ささ)が辛口指導主事に対して回答する。

最近、ここまで単元計画について突っ込まれたことがなかったなぁ。
なんか授業を作っているって感じがビンビン!

⑤さらに辛口指導主事の攻撃!

辛口質問に対し、授業者である私が答える。その回答に対して私が答える。   この繰り返し。



このプロセスは、自分一人では見落としがちな指導案の弱点を発見するのに効果的。AIという「第三者の目」を通して指導案を見直すことで、より深い洞察が得られます。

中堅からベテランのステージにいる私は ここ最近、自分の立てた指導計画について、こんなに突っ込まれた事はありませんでした。なんか初任者に戻った気分です。 質問されればされるほど回答を重ね、 次第に授業者である自分自身の思考が良く、深くさらに広くなったような気がしました。解像度があがった感じです。

これは指導案でなくても良いのですが、大分批判的辛口質問してくれるのAIを探してとこうかなと思います。批判的ではあるのですが、やりとりを記録してさらに指導案の部分を上乗せしてくれるようなコメントも勝手に作ってくれたりします。

 もしかしたら私たちは こういった授業作りや単元計画の方、同じ学年の先生を中心に対話を繰り返しながら深めていってきたのかもしれません。

しかし、忙しい学校現場です。こういう時間にないと言う状態があったのかもしれませんね。 本当にこの批判的な質問ですごくいいと思いますよ。

4. AIを活用する上での注意点

AIを活用する際は、いくつか注意点があります。

  1. AIの提案をそのまま使用しないこと AIの提案は参考程度に留め、最終的な判断は教師自身が行いましょう。

  2. 人間の思考とAIのバランスを保つこと AIに頼りすぎず、自分の教育観や経験に基づいた判断を大切にしましょう。

  3. AIを批判的思考のツールとして活用すること AIを単なる文章生成ツールではなく、自分の思考を深めるための対話相手として活用しましょう。

教育における指導案作成は、教師の専門性や創造性が重要な役割を果たす分野です。AIを活用することで効率化できる部分もあるかもしれませんが、教育者自身が生徒の特性や学習環境を考慮しながら指導案を作成することの重要性は変わらないでしょう。

5. まとめ:AIを味方につけた指導案作成の未来

AIを活用することで、指導案作成のプロセスがより効率的で、かつ深い思考を伴うものになります。教材観の整理から、指導案の批判的検討まで、AIは私たち教師の強力な助手になってくれます。

しかし、最終的に指導案に魂を吹き込むのは私たち教師自身です。AIはあくまでツールであり、それを使いこなすのは私たちです。

皆さんも、ぜひAIを活用した指導案作成にチャレンジしてみてください。きっと新しい発見があるはずです。そして、その経験を共有し合うことで、教育の質をさらに高めていけると信じています。

さあ、AIと二人三脚で、より良い授業づくりを目指しましょう!

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