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バズらない人は技術を鍛え、バズる人は舞台を整える

よく、記事のバズらない原因に自分のしゃべり方や文章力などの技術の器用さがないと思っている人が多い。

小手先のテクニックを鍛えて、そのたびに失敗している人を見かける。

かくいう僕もそうであった。

しかし、あるアドバイスをいただいて、実はテクニックを磨くことよりも、舞台(ステージ)を整えることが肝要であるということにふと気が付いた。

これは舞台演劇などでよく言われる基本的な柱の部分なのだが、埋もれている人の殆どはこの基本的なこと知らない。

その基礎になる柱というのは大きく分けて三つある。


1.舞台設定や立ち位置をはっきりする。


例えば静かな口調で

「みんなのおかげで今日の私がありました。ありがとうございます」と

一定のリズムで、話しかける人がいたとしよう。

普通スピーチではこの話し方はNGとされる。誰の心にも残らないからだ。

ただ、例えば闘病生活で余命一か月を宣告された女性が最後の気力を振り絞って身内に残したメッセージと考えるとどうだろう?

余命一か月の人の話だから、話し方やテクニックは二の次にして、とりあえず耳を傾けようとなるのではないか?

これがリズミカルに、話し方教室などの教書どうりに、にこやかに挨拶されてしまうと逆に病が嘘くさく感じられてしまう。

この舞台設定というのは誰が、どこで、何時、だれに向かって、どういう状況で話しているのか?という具体的な関係性である。

余命一か月の身内の話という舞台装置ができたことで、普通の話よりも話し手の説得力が倍増した。

舞台は身内との話だったが、例えばビデオレターなのか病院で家族に向けてなのか、具体的な状況を煮詰めて組み立てるべきである。

これがもし全く知らない他人の余命一年の話を長々と聞かされたとしたら、話術にアラのほうが目立つだけなので、同情よりも不快感が上回ってしまうようになるだろう。

突如出てくるスマホの広告などが不快に感じてしまうのも、受け手の「知の共有」ができていないからだ。

この舞台設定の演出が抜群に上手かったのが、あのスティーブ・ジョブズやヒトラーであったように思える。

日本の選挙の応援演説なんかでは演説のテクニックをどう磨いたところで、あのパフォーマンスには叶わない。話者の場面設定というのは、説得力を持たせるうえで重要なポイントであるように思う。

立ち位置を具体的にすることで自らの持つ知識を生かす。


2.賛成か反対か、自分の立場をはっきりさせる


これはネットでは敵を作りたくない人、炎上が怖くて八方美人でいる人が良く陥りがちな罠である。(これは自分がよくなりがち・・・)

「みんな違ってみんないい」は意見やイデオロギーとしては問題ないが、自分の好みに口をつぐんだ方便に見えてしまい、感想やレビュアーとしては失格だ。

勿論、中立の立場でもいいけれども、自分の意見を言わないで、紹介をしただけだと、美辞麗句をどれだけ並べても、ただの贔屓の引き倒し。

周りからは宣伝マンのように見えてしまい、信頼はいつまでたっても得られない。

自分に向けて愚痴を溢すなら構わないが、相手に何らかのメッセージを届けたいときは細かいことは抜きにして、感情をぶつけて自分なりの説得をしないと論点がまとまらず、何が言いたいのか相手に伝わらないまま、尻切れトンボで終わってしまうことが多いので注意が必要だ。


3.演題(タイトル)は重要


最後に最も重要なのがタイトルだ。

タイトルは聴衆(ターゲット)を自分のステージにどれだけ引き込ませるかという非常に大切な項目である。

誰をたいして、自分という人が、どう導きたいのか、共感もしくは意見を述べるのか、コンセプトをはっきりしておくことが望ましい。

ここを疎かにしてはいけない。

2007年1月9日にジョブズがiPhone発表をしたとき、その演題はいたってシンプルでかつ革新的なものだった。

「iPhone。本日アップルが電話を再開発します」

このキーフレーズは聴衆の心を鷲掴みにし、ジョブズの言葉はiPhoneとともに聴衆のポケットにしまい込まれた。

タイトルは呼び掛ける対象に対して、大まかになりすぎると、中身もそれに引きずられてしまい、論点がぼやけてくるし、逆にニッチ過ぎると引いてしまって誰もついてこれない。

魅力的なタイトルを考えたなと、自分の頭の中でふっと考えても、そのステージが相手にうまく伝わるかどうかは疑わしい。

言葉に酔ったオヤジギャグや電通的センスが滑って炎上し、失敗している事例が如何に多いことか。

タイトルはステージを創造する上で重要なファクターになる。そのため商業出版などでは、クリエイターの思いよりもマーケティングを観察して優先したほうが、思いのほか上手くいくケースがある。そのためタイトルはクリエイターがぶつかる壁となることが多い。

ブログやノートのタイトルの内容が全く同じでもタイトルを変えただけで、アクセスが数百倍にも跳ねることだってざらにある。

シンプルなキーワードで観客のステージを作り上げることが重要になる。


自分の舞台を作ること


技術の前に自分のステージができていないと意見表明も共感も始まらない。

読書感想文もセミナー講演もブログ投稿も全てにおいて、自分のステージを作り上げてからがまず始まりになる。

高度な技術をもっている職人は、舞台を持っていない一方で、ステージを獲得していれば、タピオカを食レポするだけでもそれなりに評価がつく事がある。

ネット空間は、いくつかパーソナライズしておかないと、意見を言ったとて誰の心にも残らない。

プライバシーの問題と引き換えになるが「私は誰だ」と主張して、ステージを確保しておくというのは非常に重要になってくる。

SNSは舞台の演出を整える手段としてはいいかもしれない。

もっとも背伸びしたセルフブランディングは自分の首を絞めるだけになるのでお勧めしない。

最後に、バズらない、出世しない人はトークスキルや文章力に問題があると思いこみ、アウトプットのテクニックを闇雲に鍛えようとする人が多い。

しかし、本人のスキルよりもステージを整えることができていないことが問題なのだ。

小手先の知識やテクニックはネットで十分。身内が構えるステージを整えるということが大切である。

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