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旅と建築探訪記

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#タイル

エピローグ:常滑のタイルテラスとドーナツカフェ

エピローグ:常滑のタイルテラスとドーナツカフェ

そうか、杉江製陶所のタイル救出プロジェクトからもう2年経ったのか。あの時は八角煙突の中にも潜らせてもらったなあ…。

2024年8月、私は「ちかつの窯」にいた。

「ちかつの窯」とは、とこなめ地域活動支援センター(障がいのある方の余暇活動や地域交流をサポートする常滑市の組織)とワークセンターかじま(就労支援継続B型事業所)が運営するドーナツカフェのことだ。

普段のワークセンターかじまでは、利用者

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タイルたちよ、蘇れ!

タイルたちよ、蘇れ!

「工場は仕舞う、されどタイルは蘇る」のPart 2である。

窯業の街・常滑の老舗の建築陶器メーカー旧 杉江製陶所。

老朽化に伴い工場が閉鎖・解体されることになったが、戦前につくられた貴重なタイル見本室が"再発見"されたことから、有志によるタイル救出プロジェクトが動き出した。

建物の解体は2022年5月に始まり、8月にはほぼ更地となった。

しかし6月から7月にかけて行われたクラウドファンディ

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【建築】"やきもの"の街に佇む常滑陶芸研究所(堀口捨己)

【建築】"やきもの"の街に佇む常滑陶芸研究所(堀口捨己)

愛知県知多半島の中ほどに位置する常滑市。窯業が盛んな街である。古来より壺や甕がつくられてきたが、明治以降には土管や建築陶器も製造された。大正に入ると帝国ホテルの建設をきっかけに伊奈製陶(→INAX→LIXIL)が創立され、常滑のタイルや常滑焼の名は全国に知られるようになる。
残念ながら現在の窯業はかつての勢いはないが、それでも焼き物の町として、あるいは招き猫生産日本一の町として活性化を図っている。

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工場は仕舞う、されどタイルは蘇る

工場は仕舞う、されどタイルは蘇る

谷口吉郎の名建築、愛知県陶磁器美術館。

そこに掲げられた看板
「もっと伝えたい、愛知のやきもの」

その通り! 愛知は焼き物王国なのだ!

その起源は5世紀後期までさかのぼる。古墳時代から鎌倉時代にかけて、現在の名古屋市東部から豊田市を中心に猿投窯と呼ばれる古窯が広がっていた。やがてそれは北部では瀬戸焼として、南部では常滑焼として発展した。

常滑では、初期には大型の甕や壺が、江戸時代末期には土

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