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SASAnote Vol.40 困難にも変わらぬスタイルで目指す『みなかみから世界へ』-3x3 MINAKAMI TOWN.EXE

群馬県内では様々なスポーツチームが活動している。その中で、ここ最近、活発な活動を見せているのが、みなかみ町を拠点とする3人制バスケットボール「3x3(スリー・エックス・スリー)」のMINAKAMI TOWN.EXE(ミナカミ・タウン・ドット・エグゼ)」だ。

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競技に、まだ馴染みがない人もいるかもしれないが、3x3は、東京五輪の公式種目に採用されたこともあり、注目度が上がってきている。

チームは、群馬初のプロ3x3チームとして、2008年に誕生し、今年で3年目を迎える。国内外の強豪チームで構成する3x3のプロインターナショナルリーグ「3x3.EXE PREMIER」に参戦している。都市部に拠点を置くことが多い他のチームと異なり、人口2万人を切り、少子高齢化が進む、みなかみ町に拠点を置きながら、「地域密着」と「みなかみから世界を目指す」というスローガンを掲げる「異色」とも言えるチームだ。

3年目を迎え、競技ではチーム強化を図り、更なる躍進を目指し、地域活動では、これまでの活動が認められ、東京五輪・パラリンピックの聖火リレーを町の代表として走る事が決まったが、新型コロナウイルスの影響を受けることになってしまった。

困難を迎えたチームが、どの様に立ち向かっていこうとしているのか話を聞いた。

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日向にいると初夏を思わせる強い日差しが降り注ぐ。それでも、練習場所の体育館を吹き抜ける風は心地よい。そんな体育館に、屋外でのトレーニングを終えた、大塚 俊選手と、キャプテンの日下謙人選手が姿を見せた。

チームの代表も務める大塚選手によれば、「今季は外国人選手含め、8人体制で臨む予定だが、新型コロナウイルスの影響もあり、合流ができていない状態。」だという。現在、拠点のみなかみ町でトレーニングを行っているのは、大塚選手と日下選手のふたりだけ。ボールを使ったトレーニングも行っているが、できる事は限られる。そこで、みなかみ町在住のトレーナーで、チーム所属の鈴森拓海選手の弟である、鈴森風土さんにも協力してもらい、陸上の要素を取り入れながら、股関節の動きと足首の固定、肩の動きを意識したトレーニングなども行っている。

また、選手が合流できなくても、チームは『#みなタウ33チャレンジ』という企画を行い、選手たちがチャレンジ形式で自主トレの様子をSNS上にアップし、チームメイトの関係を深めるとともに、ファンへの交流を行ってきた。日下選手は、「選手が課題を見つけ、楽しみながら発信できた。初めてだったが、自分なりにチャレンジできた。」と振り返り、大塚選手も、「チームメイトとはZoomを通じてやり取りをしている。まだまだ、互いを知らない選手もいるので、オンラインを通じて、今のうちから、仲良くしようと取り組んでいる。」と話す。逆境ではあるが、それを逆手にとってしまう企画力があるのもこのチームの魅力だ。

今後、新型コロナの状況にもよるが、各選手がチームに合流し、都内のクラブチームを中心に練習試合を行い、チーム強化を図っていく計画だ。

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そんな今季のチームについて日下選手は、「去年とコアメンバー変わっていないが、選手の半分を入れ替え、外国人選手も変わった。ベースは変わっていないが、心機一転もできた。いいチームになれるようにしたい。」と話し、大塚選手も、「これまでは気持ちでぶつかっていくチームだったが、華やかなプレー、カッコいいチームと言われるように頑張りたい。」と笑顔で話した。ともに新シーズンの戦いを楽しみに待っている。

他方、新型コロナウイルスの影響で、主戦場となるリーグ戦の「3x3.EXE PREMIER」は、開幕延期から、7月以降の開幕を目指していたものの、中止になってしまった。だが、代わりに10月から来年1月にかけてカップ戦を開催することになり、チームはそこを目指す事になった。楽しみは少し先に延びるが、カップ戦での活躍を期待しよう。

新型コロナウイルスの影響で、もうひとつ残念だったのが、東京五輪・パラリンピックの延期と、それに伴い、町を代表して走る予定だった聖火リレーの延期だ。

大塚選手は、「率直に言えば走りたかったが、この決断は仕方がなかった。でも、多くの人に取り上げてもらい、町の皆さんにも注目してもらえたし、「バスケの人だ」「一緒にがんばりましょう」と声を掛けてもらえた。チームの事を知ってもらうきっかけになれたので、来年は、リベンジをしたい。」と話し、日下選手も、「中止と聞いて、すごく残念だった。ただ、2年間の活動が認められて町の代表として走れるようになった事、それを知ってもらって、町の多くの人に声を掛けられたことは大きな事だったし、間違っていなかったと思えた。」と話した。

五輪競技を扱うチームだが、活動としてはわずか2シーズンだ。それでも、こうした大役を任されたのは、チームの活動が、みなかみ町を盛り上げるのに寄与していたことの証明なのだろう。

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もちろん、チームは、そうした地域貢献活動をさらに進めていくつもりだ。

地元・みなかみ町の住民と言う立場で鈴森トレーナーは、「係わりがある人には知られているが、そうでない人にはまだまだ知られていない。もっと、いろんなスポーツとも合流して欲しいし、子どもたちにもいろいろ体験させて欲しい。」と期待を寄せる。

チームとしても、バスケをはじめ、スポーツを通じた町内外での活動を続けている。その活動の幅は、子どもから大人、シニア層まで幅広い。バスケ教室やチアスクールの活動にも力を入れている。大塚選手は、3x3の可能性について、「3人制は、少子化の中で、子どもたちのニーズがあると思う。チームは、4人編成で、コートに立てるし、出られない事はない。チームも多く編成ができ、やり易いスポーツだと思う。」と話す。少人数でも楽しめ、ボールとゴールがあれば、どこでもできてしますのも魅力だろう。さらに、大塚選手は、「3人制に対する魅力も伝わる機会も増えるだろうし、子どもたちには、3人制専門のプロになって欲しい。」と先を見据えている。

その為には、MINAKAMI TOWN.EXEのチームとしての戦い、そして、地域の皆さんとともに、みなかみ町をはじめ、群馬県での地域貢献がさらに重要になってくるだろう。

日下選手は、「地域を盛り上げる事を根底としたプロチームとして、ファン獲得、勝負に勝つことを目指したい。地に足を付けて、町内外にファンを増やして応援できるチームを目指します。」と語り、大塚選手も「私たちのチームは、『みなかみから世界へ』がテーマ。勝って、応援してくれる皆さんと喜びたい。そして、み『なかみから世界へ』を達成できるチームを目指したい。」と思いを語ってくれた。

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新型コロナウイルスの影響により、MINAKAMI TOWN.EXEもまた、困難と向き合っている。だが、このチームには、それを乗り越えるだけの思いと、アイディア、そして、チームを支え、応援してくれる地域の皆さんの力を持ったチームなのだ。

3x3やバスケットボールの知識に関係なく、このチームは、応援してくれる人々に笑顔を届けてくれると感じた。ぜひ、『みなかみから世界へ』を目指すMINAKAMI TOWN.EXEに注目して欲しい。

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