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世界の色を見ていきたい

Photoshop上でタータンチェックのデザインを作っていて、久しぶりに熱中している。

今までなんとなくしか理解してこなかった、実際の構造について考えながら、デジタルでデザインするときに「それっぽく」見せるためには何が必要だろうか、というのを考えて、やり方等々も調べて。一応それっぽいものが作れるようになったので、後は色の組み合わせとパターンを考えていくだけになった。

タータンチェックは好きな柄だ。スコッチウイスキーが好きなのだが、タータンもスコットランドのもの。どちらが先かというとタータンの方が先に触れているのだけど、ウイスキーが好きになってタータンがさらに好きになった。どちらも歴史的に絡み合って現代に流れ着いているのと同じような。

タータンに関していえば、一部の色の組み合わせはあまり好きではなかった。深い緑に紫とか、補色に近い組み合わせなどが入ったものは、なんでこんなに変な組み合わせなのだろうと思っていた。

緑に紫のタータン

その疑問が氷塊したのは3回目くらいの旅行のとき、初めて夏のシーズンに訪れたときだった。ハイランドの雄大な自然の中をドライブしていて、ふとスコットランドでは見慣れたヒースの花を見た瞬間に気づいた。

ああ、この光景が、タータンになっているんだ。

ヒースの花が広がる山辺にて

スコットランドの夏は短い。鮮やかな緑とヒースの花の組み合わせは、1年のなかでもほんの少しの間しか見ることができないのだ。だからこそ、その風景をなにかにとどめたくなるのでは。まるで、日本人が桜を想うように。


ところで、思いかえせば、昔から色に関しての興味が大きいように思う。

「日本の伝統色」のカラーガイドを取り寄せてはひたすらに眺めていた。京都を訪問した際は、西陣織の染め物工場をあちこち伺ってみた。ちょうど祭りの際に訪れることができたときには、和の色で染められた布がはためく界隈に心が踊った。

襲の手法で表す季節感を知ったときは、単色とは違った可能性と、過去の人たちの生活が見え隠れする文化の繋がりのようなものが興味深く感じられた。それは、タータンにも通じるような。国は違えど、季節を想う人間の心には共通性がある、と感じた。

海外の方面でいうと、絵の具が何から出てきているのかを調べるために図書館に通い詰めた。タータンチェックについても調べたかったが文献があまりなく、インターネットが普及し始めてから、タータンが正式には登録制でデータベースで検索ができることを知った。

モスク内部の天井はまるで宇宙のよう

最近では、中東の色彩と模様についても興味がある。ウズベキスタンで出会った数々のデザインは、東南アジアともヨーロッパとも当然に異なり、当然にその土地の歴史を反映しているはずで、なぜそのようなデザインが出来上がったのか、というところに興味がつきない。まるで曼荼羅のような微細なパターンの美しさには、なんというか宇宙を感じさせられる。そういうところが好きだ。

もっと小さい頃のことを思い返せば、小学生の頃に買ってもらった24色の色鉛筆が大好きだった。

絵そのものはからきしなのだけれど、色合いというか色使いというか、そういうものは割とセンスがあったというか、人よりも興味があったのだと思う。割といろいろなものに色鉛筆で様々な模様を描いていたせいか、他の人の2倍くらいのスピードで色鉛筆が短かくなったのを憶えている。

近年でいうと、カメラと写真。空の色合いが好きで、一見なんでもない空を撮りたくなってしまう。山や雲などの意匠の面白さと空の組み合わせ、というのも良いけれど、ここ数年、純粋に空を撮るだけのことも多い。

さきぶれ

朝焼け、夕焼けのグラデーションに心躍る。

フォトショップでグラデーションツールを使えば一発なのかもしれないけれど、今日の空に対して自分が見た色合い、という一期一会な部分に心が惹かれるのではないか、と思っている。

世界は色で溢れていて、色のことを考えてみると、なんとも楽しい。

今までは考えたこともなかったけれど、織物をやってみるのも面白いかもしれない。もしくは、染色だろうか。

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