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英語はコスパが良い

私が子供の頃は英語教育は中学生からでしたが今は小学3年生からはじまっているそうです。日本人だから日本語だけ話せれば良いという時代は終わりこれから本格的に英語に向かい合う必要が出てきているのでしょうか?

INSEADのフェローCai Chanさんがパワーランゲージインデックスというのを公表しています。簡単にいうと人口、経済などの諸条件を考慮して言語の優位性をランキング化したものです。最新のものと、2050年の予想のランキングを並べてみます。

http://www.kailchan.ca/wp-content/uploads/2016/12/Kai-Chan_Power-Language-Index-full-report_2016_v2.pdf
http://www.kailchan.ca/wp-content/uploads/2016/12/Kai-Chan_Power-Language-Index-full-report_2016_v2.pdf

現在ですら日本語は8位となっていますが、2050年にはトップテンぎりぎ程度と予想されます。私が注目するのはKnowledge & Mediaの部分です。資本主義の世界がこれからも続くとすると経済格差は今後広がることになるでっしょう。国際間でも自国内でも同じです。そうなると情報(教育やデータなど)に対するアクセスが容易で充実している方が優位です。このエリアでの日本の順位は現在で6位、2050年で7位となっています。

英語が必要になる大きな理由は英語とその他の言語の情報の非対称性にあります。英語が読めると格段に情報を取得できるソースが増えます。そしてこれはいわゆる文系、理系に関わらず全分野で言えます。こちらは科学技術・学術政策研究所の資料ですが、英語が占めるジャーナル数は圧倒的です。そして日本国内においても英語で発表されるジャーナルが大半を占めています。

https://www.nistep.go.jp/


ジャーナルの分野においてもほぼ全てのエリアで英語での情報が他の言語を圧倒しています。最も日本語での論文が多い工学分野でも英語の方がジャーナル数が多いという状況です。

https://www.nistep.go.jp/

情報を得る状況においても、情報を発信する状況においても、文系理系に関係なく全ての分野で英語が「仕事」に使う言葉となりつつあります。今までは日本な内需中心の経済だったので英語を使えるか否かによる収入格差は大きくありませんでしたが、高等教育修了者においては英語の習得による格差が発生しつつあるという論文もあります。またアメリカにおいても低所得者層の英語取得が困難であることを指摘する論文もあります。これは経済的かつコミュニティの分断を示唆するものでもあります。

所得格差に関しては一部の業種のホワイトカラーと女性に顕著であるという研究があります。そもそもホワイトカラーになるために英語を勉強する必要があります。こちらにこのような記述があります。

英語力がもたらす経済効果
(1)賃金・雇用への影響
日本については、松繁(2002)が大手企業に多くの人材を送り込んできた某国立大学社会科学系学部の卒業生を対象に分析し、ビジネスで使用で
きる水準の英語力を習得した者は昇進・所得の面で有利になっていると指摘している。他方、寺沢(2009)は、ホワイトカラーの場合、英語力による賃金の格差は主に大都市の労働者に関わるものであり、とりわけ女性において顕著な現象である可能性を指摘している(p. 46)。また、Terasawa(2011)は、英語力が賃金水準に及ぼす影響が見られるのは「金融・保険業」や「放送・出版・広告業」などごく一部に限られ、多くの労働者について両者の関係は学歴等による疑似相関の可能性が高いことを指摘している。

https://www.mof.go.jp/pri/publication/research_paper_staff_report/staff15.pdf

今後は学歴のためだけの英語ではなく実務に必要な実学としての英語がより重要になるであろうことは想像できます。そしてこの傾向はインターネットが普及することにより加速しているように思います。私が多く英語の論文を引用するのは単に英語での論文が多く簡単に検索することができるからです。英語が好きだからとかいうわけではなく英語の方が便利だからに過ぎません。また日本の論文を見つけたとしてもそのソースが英語で書かれたものである場合がよくあります。

言語は自国の文化であり大切なものです。日本語を捨てろという気持ちは毛頭ありません。しかし「実学」として英語の教育を幅広く推進しないと我々の未来は分断と貧困に向かって進む可能性があります。興味深いことに財務省の財務総合政策研究所が「英語力がもたらす経済効果」というレポートを作成しています。なぜ財務省が英語の効用をレポートする必要があるのか。一度私たちは考える必要があるかもしれません。

英語は生涯にわたって使うことができるコスパの良い知識です。どのような分野であっても情報戦において得します。また仕事だけではなく趣味などの分野でも情報収集に利用できます。ネットが便利になった世界であるからこそ英語の学習には力を入れて生涯にわたって利用できるコスパの良い知識の習得を考えてはいかがでしょうか。 特に小さいお子さんがいらっしゃる方。どのようにしてこの実学を習得する環境を確保するのか考えることは無駄にはならないと思います。

逆説的ですが、今後日本で裕福に暮らすためにこそ英語が必要であるということはかなりの確度で言えるのではないかと思います。


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