トゲル / Hiro Iwasawa

岩澤新品種支援事務所代表、聞き書き(生きてきた思いと歩みを聞いて文に書く)ボランティア…

トゲル / Hiro Iwasawa

岩澤新品種支援事務所代表、聞き書き(生きてきた思いと歩みを聞いて文に書く)ボランティア。特に、植物の新品種の開発に努力する育種家の体験を紹介します。熱き心で、夢の実現に挑戦してきた育種家の皆さんをはじめ、頑張って生き抜いてきた方々の体験に感動しながら書かせていただきます。

マガジン

  • 作り出す喜びー育種を語る

    草花、花木、果樹、野菜等の育種家が、品種改良の苦労や挑戦の様子、新品種の特徴と反響、育種の醍醐味などについて、自らが語る品種開発の体験

最近の記事

生産現場の要望に応え、育種家の少ないアスパラガスの開発に取組む・・・30年以上をかけてグリーン品種と紫品種の6品種を育成

皆さん、こんにちは~。お変わりなく、お元気でお過ごしでしょうか。  新年も早いもので、もう2月中旬となり、東京でも春一番が吹きました。1年で最も寒い月ですが、春は着実に近づいています。乾燥していますので、風邪などにかからぬように、お互いに注意していきましょう。  さて、私トゲルは、これまで21人の植物の新品種を生み出す育種家の体験記事を書いてきました。花や果物の新品種に取り組む個人育種家(主に農家)を、多く取り上げてきました。穀物、野菜等は、県などの試験場や種苗会社

    • お客の要望に応え、甘みの強い赤ブドウ「紅義」、クリ「黒ちゃん」を育成、ナシ、柿、イチジク等とともに直売

      皆さん、こんにちは~!!  今年初めてのnoteの投稿になりますが、今年は辰年、私は年男で張り切っています。昨年3月からnoteへの投稿を始めて2年目となる本年も、何とぞよろしくお願いいたします。  今回紹介する育種家は、大都会横浜の隣の地域で、ブドウ、ナシ、栗、柿、イチジク等を生産し、直売している藤沢市の青木義久さんです。青木さんは89歳になられますが、育種体験記事を書かせてほしいとの私の頼みを心良く引き受けてくださり、跡継ぎとなられた孫の拓磨さんとともに、記事の作成に

      • 果肉まで赤く、甘みの強いイチゴ「真紅の美鈴」が人気品種に

         皆さん、こんにちは~  徐々に寒くなってきましたが、東京でも最高気温が20度近くまで上がる日もあり、寒暖の差が激しくなっています。新年を迎える前に、お互いに風邪などをひかないように注意したいものです。  前回は、私が名前を変更して1回目の投稿記事で育種体験記事を休み、リング名改名五に世界王者となったボクシングのガッツ石松の話を紹介しました。今回からは、フタタ母育種家の体験記事に戻ります。他の植物より比較的多い花の育種家の記事を多く取り上げてきたので、花以外の育種家を紹介

        • リング名を改名し、世界王座を勝ち取ったボクサー

          皆さん、こんにちは~。  植物の育種家の体験記事を紹介しているトゲル/ Hiro Iwasawaです。「え?そんな名前だった」と思われた皆さん。私の記事を読んでくれている方ですね。ありがとうございます。はい。3月1日からnoteに投稿を始めた私ですが、今回の投稿から「トゲル/ Hiro Iwasawa」の名前を使わせてもらうことにしました。  投稿を始めて9か月、私の記事を読んでくれた皆さんのおかげで、これまでにビューを4,950、スキを600をいただくことができ

        生産現場の要望に応え、育種家の少ないアスパラガスの開発に取組む・・・30年以上をかけてグリーン品種と紫品種の6品種を育成

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        • 作り出す喜びー育種を語る
          21本

        記事

          南アメリカ地域の原生植物を生活に取り込める園芸品種に改良する育種に挑戦

           こんにちは~。  夏の暑さを引きずって秋に入っても暑い日が続きましたが、やっと秋を感じられるようになってきたなと感じますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。夏に集中豪雨にあった地域もあるのに、西日本の各地では水不足が心配されていると聞いて心配しています。  今回は、福岡県に住む小林泰生さんの体験です。育種家は、だれもがこれまでにない特徴ある品種を作り出すというリスクのある作業に挑戦しているのですが、小林さんはどの育種家も経験していない先の見えない育種に挑戦されてきました。  

          南アメリカ地域の原生植物を生活に取り込める園芸品種に改良する育種に挑戦

          食卓やテーブルの上でも楽しめるコンパクトな花にしたいとパンジーの育種に取り組む

          私の記事の前で足を止めてくれた皆さん、こんにちわー!ありがとうございます。  今回は、多くの皆さんが庭やプランター等で育てているパンジーやビオラの新品種を作られている育種家を紹介します。  パンジー・ビオラはかわいい花ですが、育種するのが難しい花なんです。多くの花は同じ花の雄しべの花粉がめしべについて受粉しますが、パンジー・ビオラは別の花の花粉でないと受粉できない(他植性)の花なんです。 袋入りの花の種を蒔くとどれも同じ花が咲きますよね。このように「品種」では、ど

          食卓やテーブルの上でも楽しめるコンパクトな花にしたいとパンジーの育種に取り組む

          満足しきれない気持ちが育種のモチベーションに・・・夏の暑さに耐えるシャクナゲ等を育成

           こんにちわー。今回は、7月以来の久しぶりの投稿となってしまいました。9月になっても暑さが下がらない日が続いていますが、皆さんはお元気ですか。台風や集中豪雨等で、被害を受けた皆さん、大変でしたが一刻も早い回復をお祈りしています。  今回の育種体験の語り手は、三重県津市の赤塚植物園で長らく育種をしてこられた倉林雪夫さんです。これまでは、主に農家などの個人育種家の方々に体験を語っていただきましたが、初めて種苗会社で育種を担当する職員に登場してもらうことにしました。赤塚植物園は、そ

          満足しきれない気持ちが育種のモチベーションに・・・夏の暑さに耐えるシャクナゲ等を育成

          イメージどおりの花が咲く一方、見たことのない花も出現・・・世に出る品種はわずかでも、育種は面白く楽しい

           こんにちわー  一昨日東海地方から西側の梅雨が明け、今日は関東も梅雨明けになりそうです。今年は、梅雨明け前から各地で私達の体温と同じような暑さが続いています。これからどうなるのかと思いますが、お互いに熱中症にならないよう気をつけていきましょう。  九州北部、島根県、北陸、秋田県の皆さん、豪雨の被害は大丈夫でしたか。被害に遭われた方には、心からお見舞いを申し上げます。  育種家の体験も今回で16人目となります。一人目芦川さんの体験を3月初めに投稿してから、読んでくださる皆

          イメージどおりの花が咲く一方、見たことのない花も出現・・・世に出る品種はわずかでも、育種は面白く楽しい

          江刺をどこにも負けないりんご産地に・・わい化栽培、新品種の育成・導入に精魂を込めて

           皆さん、こんにちわ~  私が書いている育種家の育種体験記も、今回が15人目となります。私が編集委員をしている全国新品種育成者の会は、毎年新時代に向けた優れた品種の開発と普及に努めている個人育成の表彰を行っていますが、2021年度に育種賞を受賞されたのが、今回話し手をしてくれた岩手県奥州市の高野卓郎(たかお)さんです。高野さんは、残念ながら今年御病気のため82歳で亡くなられました。心よりご冥福をお祈りしたいと思います。高野さんの功績は、育種の功績はもちろんですが、多くの技術等

          江刺をどこにも負けないりんご産地に・・わい化栽培、新品種の育成・導入に精魂を込めて

          誰もがやらない交配に挑戦してオリジナルな花のクリビアを育成

            ❒ 34歳でクリビアの収集・育種にのめり込んだトラックドライバー                    埼玉県越谷市で妻がやっている介護の仕事を手伝いながら、クリビア(君子蘭)を育成・販売している佐々木成孝です。始めに言いますが、私は農家ではありません。25年位前に、斑入りダルマ君子蘭▾を見て「鷲が羽を広げているようでカッコいい」と植物に初めて興味を覚え、斑入りクリビアの収集を始めました。  1997年に34歳で交配を始め、2000年に世界のクリビアマニアが花の品種改

          誰もがやらない交配に挑戦してオリジナルな花のクリビアを育成

          育種とは、個性を伸ばそうと根気よく作った品種をきれいだ!と感動してもらうこと

          皆さん、こんにちは~。 植物の育種家の体験記を聞き書きしている岩澤です。 私の聞き書きを読んでくれた数人から、「育種家について、これまでこのような文章が書かれたことはない」と言われました。本当かなと思って探しましたが、確かに見つかりませんでした。 これまでになかった新品種、オンリーワンの優れた品種を生み出している育種の記録がなぜ文字に残されていないのか考えてみました。 1つには、「こうやって新品種を作った」と言うと、真似をして同じような品種が作られてしまう恐れがあるので、

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          農業改良普及員から転身し、育成したイチゴ2品種を直売

           12人目となる育種体験記は、愛知県大口町でイチゴを生産して直売を行っている水野賢治さんに語っていただきました。育種対象とする植物は、米麦や果物などは国や県の試験場が、野菜は種苗会社などが主に育種を行っていますが、草花は種を蒔いてから花が咲くまでの期間が短いこともあってか、個人育種家が草花の育種に取り組む人が多くなっています。個人育種家の集まりである全国新品種育成者の会も、30年前に設立された当時は野菜の育種家が多かったのですが、今は草花を育種する会員がほとんどを占めています

          農業改良普及員から転身し、育成したイチゴ2品種を直売

          花型・強い香りなど、輸入品にないバラのオリジナル品種を育成し、海外にも進出

             初めてノートに投稿したのが3月の初旬、それから3か月が過ぎ、   今回11回目の育種体験記の聞き書き作品を投稿する運びとなりま   した。育種という普通の人には馴染みのない世界で頑張っている   育種家の話に多くの方が目を通してくださり、10作品累計で100を   超えるスキをいただけたことに驚くとともに、うれしく思ってい   ます。4月末に71歳と1つ年を重ねましたが、長くかかる育種に粘   り強く挑戦する育種家の姿を賞賛し、皆さんに知ってもらうため   に、益々頑張

          花型・強い香りなど、輸入品にないバラのオリジナル品種を育成し、海外にも進出

          トップ自らが営業に歩き、買い手に応えた花の生産・販売に取り組む

           利根川をはさんで千葉県と隣接する茨城県河内町にある株式会社ゲブラナガトヨの荒川芳夫です。私は、花農家の後継者として昭和60年に20歳で就農しました。「ゲブラナガトヨ」の名は、園芸に結びつかない何しようと、父が創業した「長豊花園」の名の一部とオランダ語で兄弟を意味する「ゲブラ(GEBR)」を合わせて名づけました。ゲブラとつけたのは、兄弟で花生産を継承したからですが、当時は、変わった名だと話題にもなりましたね。  1990年代にデンマークを視察した際、「これからは流通を変える

          トップ自らが営業に歩き、買い手に応えた花の生産・販売に取り組む

          生育が良く、開花しても樹勢が衰えないアセビ「星野紅」を育成

          話し手  山口耕一さん  福岡県の南部にある八女市星野村で、アセビ▾、久留米つつじ、サツキ等を生産している山口耕一です。標高が高く人口密度が低い星野村は、星がきれいで「星のふるさと」として、また茶の玉露の最高品質茶の産地で、市の施設の「お茶の文化館」があることでも知られています。我が家も玉露の生産農家でした。  植物が好きだった私は、16歳で熊本県の農業研究家・教育者、松田喜一▾が昭和3年に熊本県八代市の干拓地に開いた日本初の民間農業実修

          生育が良く、開花しても樹勢が衰えないアセビ「星野紅」を育成

           リンドウの用途を広げる育種に挑戦

          長野県のほぼ中央部、中央を天竜川が流れ、西側に北アルプスの山々が連なる上伊那郡箕輪町で父が創業した有限会社スカイブルー・セトを引き継ぎ、リンドウを育種し、苗の販売と切り花を生産している瀬戸啓一郎です。 私は、農林水産省の農業者大学校を卒業して、23歳で就農しました。 切り花リンドウの栽培は、長野県の農業改良普及員の勧めもあって父が始めました。好きな山登りで見るリンドウの花を見て商売になるのではと考えたようです。そして、我が家でやっていた米、豚、果樹をすべて

           リンドウの用途を広げる育種に挑戦