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NEW SALESをCSに置き換えてみた(前半)

はじめに

約半年ぶりの投稿です。シルバーウイークを夏季休暇にあて、ゆっくり珈琲飲みながらCS(カスタマーサクセス)について考え中です。
今回は「NEW SALES 〜新時代の営業に必要な7つの原則〜(著者:麻野耕司 氏)」の書籍(以下、本書)をCS関連と絡めて記載したいと思います。
約3ヶ月前に拝読し、CSにも流用できると考えた次第で、自社の下期でも使えるよう纏めてみました。僕が所属する会社は9月下期開始で既に1ヶ月経過しました。10月下期開始のご担当も多いと思いますので、ご参考になれば幸いです。

【補足】

本来、CS自体は全社概念です。寧ろセールスもインサイドもマーケもコミュニティも他諸々「広義のCS」で考えるべきで、営業フォーカスされたのがこの書籍そのものだと思います。本記事は、あくまで「狭義のCS(オンボーディング・アダプション)」にフォーカスし、僕自身の解釈も含めて記載しますので、その点ご了承ください。
※なお、本書のネタバレが若干含まれる事と元ネタ詳細は割愛しているため書籍ご購入頂いてから閲覧いただくのが良いです。また、(関係者見てないとは思うけど)ご指摘が入れば削除します。

【書籍】

NEW SALES 新時代の営業に必要な7つの原則

7つの原則とは

以下の7つのようです。Chapter Titleだけで既にCS要素入ってますよね。

  1. Story  〜「商品」ではなく「物語」を売る〜

  2. Surprise  〜「挨拶」ではなく「驚き」を届ける〜

  3. Scenario  〜「自社が主役の台本」ではなく「顧客が主役の台本」〜

  4. Sympathy  〜「自分のキャラクター」ではなく「相手のキャラクター」に合わせる

  5. Share  〜「属人的なチーム」ではなく「再現性のあるチーム」をつくる〜

  6. Score  〜「感覚的なチーム」ではなく「科学的なチーム」をつくる〜

  7. Significance  〜「金銭報酬だけのチーム」ではなく「意義報酬にあふれるチーム」をつくる〜

では、それぞれ考えていきましょう!
なお、僕が担当しているのはミッションクリティカル性の高いB2BホリゾンタルSaaSのオンボーディング・アダプション・エクスパンションを兼務してます。下記例はそのクラウドサービスではどう考えるかで記載していますので、皆さんのサービスに置き換えて御覧ください。

ストーリー

Chapter 1 Story

ご契約後のお客様を初期オンボーディングし、サービスを定着化していただくまでのストーリーを考えます。下記4点(左辺本書:右辺CS)を挙げます。

①理想:サクセスプラン

お客様の実現したい事(ゴール)までの道筋を考え、お客様との認識をすり合わせます。

  • サクセスマップの作成

  • ゴールシートへの記入

②課題:GAP

理想とのGAPが何かを洗い出します。または、スモールスタート時の現状運用とのGAP(AsIs-ToBe)を洗い出します。
クラウドサービス利用には実運用を変更いただく事で、よりよい利活用を促せるケースも多々あります。

  • 理想までの大枠GAP(フェイズ)

  • 現状の運用をヒアリングしたAsIs-ToBe

  • 現行踏襲要件の必要性確認

③価値:プロダクト・サービスでの解決

ご契約頂いたプロダクトをどのように使えば実現できるのか、また課題を解決出来るのかを提示します。
または、プロダクトを利用するうえで、どのような考え方で進めればベストかを提示します。

  • 無償サービス・有償サービスで支援できること

  • トレーニングで解決できること

  • 課題に対する実装方法、運用方法の提示

④方法:オンボーディング

実現に向かって実装・設定・構築・運用していく方法を提示します。

  • キックオフの実施

  • オンボーディング支援(無償・有償)の実施

  • サポートコンテンツの利用方法案内

  • トレーニングの利用方法案内

<メモ>
僕が新人時代は主にOLD営業全盛期で、SIerとして所属した頃の”出来る”営業さんは「ソリューション営業」でヒアリングできていました。転職後、営業支援していた際、ヒアリングせずいきなり製品紹介し始めた営業さんには驚きを隠せませんでした。”え!?お客さんの話きかないの!?”って。
それだけプロダクトが強かったんだと思いますが、今クラウドの時代はそうも行かないですよね。
CSとしては、”ふわっと”している要件のままご契約いただいたお客様にも、継続しご利用戴くため何ができるか考える必要があります。

サプライズ

Chapter 2 Surprise

CS業界で言う「ワオ!モーメント」や「真実の瞬間」の体験を如何に早く感じていただくかを考えます。下記3点(左辺本書:右辺CS)を挙げます。

①データ情報で気づき:利用状況からお困りごとを察知

トライアル段階やご契約直後の初期設定段階の利用状況ログ等からお客様が滞っている箇所を察知し、適切なアドバイスを送ります。
定量・定性のヘルススコアが取れていればそこからガイダンスも可能です。

  • クラウド利用状況ログから察知

  • トレーニング動画閲覧の離脱タイミングから察知

  • セールス段階で引き継がれたCRM情報・ヒアリングシートから察知

②トレンド情報で気づき:実績のある実装案で安心感を

他のお客様でも「こう使って運用されています」等、効果的な汎用実装案・設定案を提示し、安心していただくのも1つです。

  • ユースケース、運用シナリオ集の提示

  • 類似(利活用の)公開事例集の提示

  • お客様の会社情報・事業・拠点一覧・組織一覧からの利用想定

③セグメント情報で気づき:お客様の課題ではこの運用を

お客様個別の特性・課題に対し適切な実装・設定・運用案等を提示します。
主にハイタッチでヒアリングした場合に有効な方法と考えます。
但し、複雑な設定で実現できたとして、お客様が運用に耐えうるか(メンテナンス出来るか)は要確認と考えます。

  • 課題管理表、Q&A表から必要な情報を整理

  • 解決するための実装方法と運用メリット・デメリットの整理

  • メンテナンスの留意点のご説明

シナリオ

Chapter 3 Scenario

ゴールにまで導くためのオンボーディングシナリオ(プロセス)やアダプションシナリオ(プロセス)を考えます。下記4点(左辺本書:右辺CS)を挙げます。

①情報提供:お客様が利用できるサービス・コンテンツ

有償・無償問わず、お客様が利用できる汎用的なサービス・コンテンツなどを考えます。初期段階で躓かないようガイダンスします。
ただ、クラウドに慣れていないお客様にあれもこれも一気に提供してしまうと処理できずパンクされてしまう可能性があるため、注意が必要です。

  • サポートサイトの利用方法案内

  • サポート窓口の案内

  • ご契約後メール、ログインからのスタートアップガイド

  • 必ず準備する設定事項

  • マニュアル、FAQのガイド

  • 無償・有償トレーニングやオンボーディング支援案内

  • 追加オプションなど契約関連の手続方法案内

②課題訴求:課題や要件の整理、進め方のポイントを案内

ハイタッチであればキックオフ等のMtg.で課題の認識合わせを行い、お客様が実現したい要件を把握します。また、提供するプロダクトや支援サービスへの期待値GAPや認識齟齬があると、そこからの利活用まで時間がかかったり、悪い方向に向かうと解約に陥る可能性があります。

  • キックオフによる認識合わせ

  • 支援サービスで出来ること・出来ないこと

  • 課題・要件確認シートでの認識合わせ

  • マイルストーン表、スケジュール表の素案での進め方案内

③比較訴求:適切な設定・運用方法を案内

スモールスタートを実施するにあたり複数の実装方法、運用方法があればお客様に合った案を提示します。お客様の現時点状況(ステージ)から運用にのるまでのアプローチ方法をします。

  • 課題解決案の提示

  • 設定までの実装方法案の提示

  • 運用方法の比較検討

④決定支援:実装・運用方針を一緒に考える

実現できるスケジュールでの実装案を一緒に決定し進めます。ハイタッチであればゴールまでの線引きや必要要件など調整し、優先度を決めたりします。

  • 実装方針の決定

  • 設定の手順案内

  • 運用の留意点説明

<メモ>
ハイタッチやトップアプローチでの営業提案案件では、特に情報引き継ぎが大事と考えます。手に入れた情報の粒度が細かく、精度が高いほど適切なシナリオが描けます。
セールス関連(インサイド・プリセールスも含む)からの引き継ぎでは、これから大事なお客様をCS担当に任るため、または今後のポテンシャルへの”想い”が入るケースがあるので、その考えを汲み取りお客様に望みます。
たとえCSに任せたとしても、何か問題があった際にお客様は営業さんを頼りに営業自身に跳ね返ってくることも考えられますので、きっちり引き継ぎます。
SaaS 企業の中には、契約後のフロント(お金や契約更新に絡む)はすべてCS担当が担うケースもあるかと思います。お客様にご支援する担当の役割分担も明確に、お客様を迷わないようにするのが良いと考えます。

シンパシー

Chapter 4 Sympathy

お客様の体制やスキームを把握し関係性を考えます。お客様とコミュニケーションする際、言葉(呼び名)の定義を決めて置くことが重要です。例えば「システム管理者」と呼ぶ場合、社内N/Wやインフラ・プロダクトインストールの役割を指すのか、プロダクト内の設定を担う役割までを指すのかなど明確化が必要です。そうしないと、お客様は迷われます。
(例:「システム管理者」と「運用者」との違い)
ライセンス体系やマニュアル記載があれば流用すれば良いですが、実業務と名称が合ってない場合は要注意です。
下記4点(左辺本書:右辺CS)を挙げます。お客様によっては兼務の場合も多々あります。

①運用者:導入・設定後に実際に運用する方

ご契約後にプロダクトを触ってオンボーディング支援を受ける方です。

  • 設定・運用手順の案内

  • マニュアル・FAQの案内

  • トレーニングの実施

②利用者:プロダクトを利用する方

プロダクトを利活用する方です。

  • 操作ガイドの案内

  • 社内問い合わせ先の確認

  • 社内説明会の開催

③管理者:推進者として方針決定できる方

プロダクトの利活用推進を実施する方、または、ご契約時の必要事項を確認する方です

  • クラウドセキュリティチェックシートの案内

  • マイルストーン・スケジュールの確認

  • 課題解決までの関係者間調整

④決済者:予算を持っている方

ご契約後のオプション・サービス追加時の予算決定、減額・解約時に判断出来る方です。

  • オプション・サービス追加時の提案書提示

  • オプション・サービス追加時の価格提示

  • 減額・解約時のご相談事項纏め

チャンピオン:推進してファンになっていただける方

スモールスタートから横展開していただけるポテンシャルを持っている方です。

スモールスタート時の振り返り・効果纏め
コミュニティ・イベントへのご参加案内
横展開時の進め方・留意点説明

前半まとめ

前半戦はここまでとなります。後半は別途記載します。
CS参考書籍は下記URLにまとめてあります。

 

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