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【32】ビジネス 所感

もう戻らないんじゃないかと思っている。

何がかと言うと

シェムリアップの観光客数が
コロナ前の数字に戻ることはないのではないか。

そんな気がしている。

コロナ禍に関係なく
2018→2019年でカンボジアを訪れる入国者数は
増えたものの、アンコールワット入場者数は
前年と比べて大きく下回った(前年比 85%)

入場料金を上げたからなのか(20ドル→37ドル)
アンコールワットを訪れる人が一巡したからなのか
諸説あるが、観光地で事業を営む僕にとっては
大きな問題だと思っている。


現場に立って多業種のお客様のお話を聞いたり
毎日、街を回ったりしていて気づくことがある。

観光客は戻っているように見えるが、
あくまでコロナ禍との対比でしかない。

空きテナントはどんどん増えている。
コロナが明けて開業したのにもう閉業したり。

今なら一等地のテナントでも
簡単にレンタル出来るだろう。

体感値だがコロナ前の3割か3.5割くらい
しか回復していないのではないだろうか。

そんな感じがする。

特に空港が移設されたことによって
国道6号線の閑散具合は何とも言い難い。


コロナ禍以降の観光客数だけで言えば
伸び続けてはいるものの伸び率は鈍化している。

それに対して多くのホテルなどがビジネスを再開
したため、観光客が増えても予約は分散され、
1ホテルあたりの宿泊者数はそこまで増えない。

そんな印象だ。

↑こちらは今年の旧正月のニュース。
経済状況が良くない中国人がどこに渡航するのか
その理由などを簡潔にまとめたものだ。

非常に分かりやすいニュースだが、
ここでのポイントは各国政府が行う観光誘致
に他ならない。

ビザを撤廃することで入国しやすくなるし
その分、滞在コストも下がる。
旅行会社や代理店にとっても嬉しい話だろう。

しかしながらカンボジアは観光誘致にあまり
積極的ではなく、目新しい施策は特にない。

実質(コストベース)

①1ヶ月の観光ビザを取得するのに30ドルかかる。
これは観光客であれば誰でも必須だ。

②空港は1時間半離れたところに移設され、
それに伴い、空港から中心部までの移動料金は
約35ドルかかる。

シャトルバスなどの手段も増えてきたが、
残念ながら観光客にはまだ認知されていない。

③アンコールワットの入場料は
数年前に値上げされ今日では37ドル(1日)だ。

観光でシェムリアップを訪れる目的のほとんどは
アンコールワット観光であることから
この時点でシェムリアップの滞在に約100ドルの
コストがかかる。


それ以外にホテルや食事、お土産などを購入する
と思うので、そのコストパフォーマンスに見合った
魅力があるのかと言われると難しいところだ。

遺跡に興味のある人であれば良いが
そうでない人に対して観光スポットが少なすぎる。

アンコールワット
プレアヴィヒア
ベンメリア
サンボープレイクック
コーケー(最近世界遺産に登録された)

これらは全て遺跡で、
遺跡に興味のない人からすればお腹いっぱいだ。

それ以外にナショナルミュージアムや
トンレサップの水上生活、ホームステイツアー
地雷博物館などもあるが、

どうしてもインパクトが弱くなる。

夜はパブストリート以外の選択肢はほぼない。


これらのオプションを鑑みた時に、
もっと観光客にとって魅力的なオプションや
アクテビティを充実させていくことが
必要不可欠だと思っている。

しかしながら
仮にこれからアクテビティを増やしていっても
幾つかの問題が存在する。

①建築期間
②出来上がったものが認知されるまでの期間
③世界的に見たクオリティー

遺跡の強みは歴史的な価値でそれは不変だ。
だからこそ人を惹きつける。

新しく建造するものに関してはそれがない。
そのため万人ウケするアクテビティーが
求められるのかもしれない。

少し脱線したが、

1都市に対する必要最低コストが高ければ高いほど
滞在日数は減る傾向にあると仮定した場合、
シェムリアップの滞在日数はいっときに比べて
短くなっているのではないかと考えている。


つまり以前(ピーク時の2018年)あたりは
シェムリアップの平均滞在日数が仮に4泊くらい
だったとした場合に、現在は2泊-3泊ほどに
減ってしまっているのではないだろうか。


そんな気がしてならない。

そうなると当然、街に還元される機会も減る。
例えば飲食店の場合、

1日目 せっかくだからカンボジア料理を食べよう

2日目 カンボジア料理は昨日食べたから
   慣れ親しんだウェスタン料理にしよう。

以前はこの後に滞在日数が数泊残っていたため、
欧米人観光客が日本食や韓国料理を食べる機会も
あっただろうが、そういう機会は滞在日数が
短くなるにつれ減ってしまうのではないだろうか


ここまでの話はあくまで仮説でしかないが、
仮にそうだった場合には飲食店を営む僕としては
戦略を見直さなければならない。

分かりやすい戦略としてはローカライズだ。
地元のカンボジア人に対してより集客の
アプローチを強めていく。

この強みは観光に依存しないことだ。
コロナ禍でホテルを運営していて経験したが、
観光に依存する事はとてつもなくリスクが大きい

いつの時代も地場に愛されるビジネスの方が
安定するし長続きする。

ここ数年でカンボジア人も気軽に日本食に触れる
機会が増えてきているので、
当店もターゲットを現地の人に寄せていく予定だ。

観光が回復しない中でシェムリアップの人たちの
所得がどのように上がっていくのかは分からない。

しかしながら方向性としては
間違っていないと確信している。


もう一つは飲食事業以外の柱を作ること。
これは以前から話している通りだが、
シェムリアップというマーケットだけに捉われず


そして焦らずに築き上げていきたい。


その事業が不動産なのか貿易なのかは分からないが
この場で良い報告が出来るようになればいい。


つづく…




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