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【歴史・時代小説】『本能寺燃ゆ』第一章「純愛の村」 22

 それ以来、姉はちょくちょく夜分に起き出し、十兵衛の客間へと行く。
 権太も、それを見計らって、小便に出る。
 という口実で、十兵衛と姉の行為を覗き見た。
 毎回、十兵衛は姉に覆いかぶさり、体を揺らし、姉もそれに合わせるように体を揺さぶり、艶めかしい声を出していた。
 権太は、嫌らしいと姉に軽蔑の目を向けながらも、自分の大きくなったものをいじり続けた。
 初めは姉に対する嫌悪感と、興奮と、徐々にそれが気持ちよさに変わり、最後は腰が抜けるような快感が胸に残った。
 それが何回か続くと、快感が大きくなることに気がついた。
 十兵衛や姉も、気持がいいのだろうか?
 十兵衛は、自分でいじっている気配はない。
 姉は、男のものはついていないはずだ。
 どうやって気持ちよくなっているか分からないが、ああやって抱き合って体を動かしていると、気持がいいのだろう。
 なぜなら、おえいも、十兵衛と睦合うたびに嬉しそうで、両手で男の身体を抱きかかえ、露わにした太ももを男の腰へと回して、自ら腰を押し付けるようにしながら体を動かし、最後は喜びに満ち溢れた顔をして、十兵衛を見つめていた。
 ときには、姉が十兵衛に跨って体を動かしていることもあった。
 座ったままの十兵衛の膝の上にのり、男の頭を抱きかかえ、自ら胸を押し当てるようにしながら、全身を揺さぶっていた。
 そして、そのときは月を仰ぎ見るように背中を仰け反らせ、まるで秋の山鹿の咆哮のように激しい喜鳴をあげた。
 その癖、翌日には何事もなかたように振る舞うのだ。
 十兵衛も、姉も。
 もちろん権太もそうだが………………

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