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僕たちは「本当の服」を着ているのか

先週の台風、被災された方におかれては早期の復旧をお祈りいたします。結局あれだけ騒いだ東京より北関東や東北の被害の方が大きかったし。最近の天災は油断なりませんね。

僕には尊敬するデザイナーさんが何人か居ますが、そのおひとりがコムデギャルソンの川久保玲さんです。

2017年にはニューヨークのメトロポリタン美術館にて存命中のデザイナーとしてはイブサンローラン以来となる回顧展が行われるなど、まさに日本、いや世界でも有数のデザイナーであるわけですが、個人的には「発する言葉」にとても注目していて。

時折のインタビューなどでしか垣間見ることは出来ませんが、時代に対する解釈、服の概念、信念といったものが赤裸々に語られていて首がもげるほど頷けることばかりなのです。

最近もそんな言葉に触れる機会があり、首がもげそうになったのでぜひ一緒にもげて頂ければと思う次第なのですが、
 

それは

「自分の人生について深く考える人は、本当の服を着なければならない」

という一節。

 
この”本当の服”について川久保さんは「その人に合った、その人を表す服」と定義していますが、これ、本当にそう思います。
 

ぶっちゃけて言うと、世の中「どっちでもいい服を選んでる人」の方が多いんですよ。

わざわざ選ばなくていい服。それを着たからといって毒にも薬にもならない。単に間に合わせで着るだけ、という服。そこから選んでいる人も多いのが現実です。

そういうものから選んでいたら、いつしかそれが「本当の自分」になってしまう。周りからも「どっちでもいい人」として見られることになるでしょう。

でも、本当はそんなはずない。
ひとりひとりにストーリーがあり、夢や目標があり、個性がある。それをなぜ装いで見せようとしないのか、ということです。

健康について深く考える人は食材や栄養素を厳選して摂取します。生活環境について深く考える人は住まいや身の回りに投資をします。それと同じことなのに、なぜファッションには関心が薄い・腰が重い人が多いのでしょうか?
 

僕はひとつに、目に見える結果が証明しにくいからだろうと思っています。

健康は検査によって数値化できるし、生活環境は自分や家族の実感・体感がすべてです。それに比べてファッションは「成果が出たのはお洒落したからだ」という証明がしにくいかも知れません。

だけども、最初にその人を判断するのもまたファッションです。「どうでもいい服」「似合ってない服」を着ている人と「その人しか着れない服」を着ている人が並んだらどちらが良く見えるでしょうか?そしてそれが自分がセレクションされる場面だったら?

よく考えれば、われわれは意識せずとも常にセレクションされています。ビジネスの現場で、子供の送り迎えで、SNSのプロフィール写真で、自ずと見た人会った人をフォルダに振り分けている。だから「どうでもいい服」を着てていい場面なんか本当はないはずなんです。家の中以外は。

自分の人生について深く考えたなら、”本当の自分”を表した装いでギャップのない付き合いをした方が有意義だという考えに行き着くはず。そして自分に”フィット”した服を着ることで自身の日々の満足感もアップする。良いことずくめなわけです。
 

それなのに、自分に合った、自分を表す服=本当の服を探そうという動きは、日本ではまだ一般的ではありません。ファッションは趣味やぜいたく、あるいは消耗品であるという認識がまだまだ強いように感じます。

僕が考えるに、ファッションで自己表現するという考え方は欧米から来ている。多種多様な人種が集い共通の言語がない中で、見た目や服装で階級やアイデンティティーを表す必要があったからです。一方日本は単一民族で総中流社会になっていったため、強く主張するよりも平等であることが尊ばれるようになっていきました。

ただ、今後は人も文化もグローバルな交流が活発になり、より欧米化していくでしょう。教育も個性を伸ばすようなものに変わってきています。夢や目標をどんどん語っていくことで叶えることが出来た、というようなマインドも一般的になってきました。
 

それならファッションでも、どんどん主張しましょうよ。
本気なら、本気のファッションしましょうよ。
確実に何かが動きます。

 

実際クライアントでそういう実例はたくさん見てきたし、僕自身も感じることはしょっちゅうある。「今の自分」に合った服をその都度揃えていくことで確実にステップアップしていく。内外ともに今の自分と本当の自分にギャップがないから、発言や行動に説得力が生まれるのだろうと思っています。

 
これまで、日本のアパレル業界は自己表現としてのファッションを育ててこなかった。出せば売れていたからその必要もなかった。でも販売不振が囁かれている現在。これからは違います。

 
洋服は流行追う趣味ではなく、自分を表現するためのツール。

 
そのために着たいと思える服が「本当の服」であり、それをたくさん生み出せるかどうかがアパレル復権の鍵ではないかと思っています。

 
想いのままに書き連ねていたらずいぶん壮大なテーマになってしまいました。これ以上書くと業界に余計な火種を作ってしまいそうなので、本日はこれまで。

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